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安住財務相は、パリで開催されたG20で、「消費税率を5%引き上げるとともに、社会保障費の抑制を進める」という表明を行ったという。
財務省官僚のレクチャーを受け発言したものだろうが、財政や社会保障は外国から言われても理に合わないことははねつけるべき重要国策なのに、自ら、自分の手を縛るような“国際公約”をする愚にはあきれかえってしまう。
閣僚のなかでも重要ポストと言われる財務相でさえこのレベルなのだから、野田政権にTPP問題を前に進めさせるわけにはいかない。
野田政権にTPP問題を任せると、TPPへの参加ではなくTPPの協議への参加といったわけのわけらない説明で“一点突破”を図り、とどのつまり、参加を国際的に約束したから批准しなければ、国際公約違反になり国際的に孤立もするというトンデモない理屈で押し切ることになるだろう。
“慣例”だが、大手メディアも後押しの大合唱でサポートするはずだ。
財務省官僚は、民主党内反増税派など財務省官僚の意向に反する勢力を抑え込むために、自らで仕掛けるというわけのわからない“外圧”を利用する魂胆だと思われる。
政治的問題はさておき、消費税率をアップしたからといって、税収が増加するわけでも、財政が健全化されるわけでもないことは、この20数年の日本の歩みが如実に示している。
関連データの表を添付したが、89年の消費税3%導入は、税収的にはバブルの余韻で少しのあいだ増加したが、現在に続くデフレ不況の要因となる“バブル崩壊”のトリガーとなり、歳出に占める税収の割合もずるずると低下していく動因となった。
消費税率を2%(1%は地方自治体分)アップした97年は、拓銀や山一証券の破綻という金融危機につながり、税収/歳出が50%台まで落ちる悲劇的財政状況を生み出すことになる。
(05年〜07年のあいだ税収/歳出がアップしているのは、円キャリー取引でもたらされた“円安景気(輸出企業の高利益)”によるもの)
名前に引きずられて、消費税を米国州税のような売上税と同じ税制と考えているひともいるが、消費税は欧州の付加価値税(VAT)と同種の税制であり、給与・諸経費・利益など企業活動が生み出す付加価値にずっぽり課税されるものである。
ただ、その負担が、納税者(企業)ではなく。“サブプライムローン”のように付け回しされる仕組みになっているというものだ。
そのような制度をもって、近視眼的で論理的にものごとを考えない企業経営者などが、消費税を負担するのは“消費者”だから問題ないと思っているのを見聞きすると笑ってしまう。
担税能力がぎりぎりの人も等しく負担することになる消費税は、国民経済の総需要をじりじりと減少させていき、つまるところ、企業の売上・収益を減少させることになるのだ。
輸出優良企業は、消費税を負担しないどころか、“補助金”まがいの還付金を受け取れる仕組みになっているから、消費税を礼賛しそのアップを声高に叫んでいる。
自動車メーカーは国内ディーラーが納税(購入者が負担)する消費税と還付金を考慮しても、自動車を製造・販売することで生み出した付加価値に対する消費税をまったく負担していないどころか還付金という名の“補助金”を受け取っている。
日本の一大産業である自動車は、素材や部品のメーカーは消費税をそれなりに納税しているが、完成車メーカーは、納税どころか。輸出免税制度でおかしな還付金を受け取っている存在なのだ。
輸出企業の還付金は、消費税率がアップすればするほど増大することになる。
消費税が財政にどのような影響を与えてきたのかを考察(説明)しないまま、税率アップの必要性を唱えたり、諸外国に消費税の税率アップで財政を健全化すると表明する言動は、「原発安全神話」の流布に匹敵する犯罪行為である。
【税収・国債発行(単位:兆円)及び税収/歳出の推移】
税収 国債 税収/歳出
88年:50.8 7.2 82.7%
89年:54.9 6.6 83.4% ※消費税導入
90年:60.1 7.3 86.8%
91年:59.8 6.7 84.8%
92年:54.4 9.5 77.2%
93年:54.1 16.2 72.1%
94年:51.0 16.5 69.3%
95年:51.9 21.2 68.4%
96年:52.1 21.7 66.0%
97年:53.9 18.5 68.7% ※消費税税率アップ
98年:49.4 34.0 58.6%
99年:47.2 37.5 53.1%
00年:50.7 33.0 56.8%
01年:47.9 30.0 56.5%
02年:43.8 35.0 52.4%
03年:43.3 35.3 52.5%
04年:45.6 35.5 53.7%
05年:49.1 31.3 57.4%
06年;49.1 27.5 60.2%
07年:51.0 25.4 62.3%
08年:44.3 33.2 52.3%
09年:38.7 52.0 38.4%
10年:37.4 44.3 41.0%
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安住財務相、消費税5%上げを国際公約 G20会議:基礎的財政収支を20年度に黒字化
2011/10/15 22:47
【パリ=木原雄士】安住淳財務相は20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、消費税率を5%引き上げるための関連法案を来年の通常国会に提出すると説明し、日本の財政健全化の取り組みに理解を求めた。増税と同時に社会保障費の抑制を進め、基礎的財政収支の赤字を2015年度に10年度比で半減、20年度に黒字化することも併せて表明した。
消費税の増税をめぐっては、景気への悪影響などを理由に与党の民主党内にも反対論がなお残る。今回、安住財務相が期限を示して消費税の増税を国際公約したことで、今後の国内の議論に影響を与えそうだ。
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