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「検察の正義」がない裁判なら小沢氏は無罪 田原総一朗
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20111012/287029/?ST=business
自らの政治資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐり、政治資金規正法違反(虚偽記入)罪で強制起訴された小沢一郎被告の初公判が10月6日、東京地裁で行われた。
小沢氏の意見陳述の怒りがよくわかる
これは普通の裁判ではない。
小沢氏はこれまでに東京地検特捜部の捜査を受け、2度にわたり「不起訴(嫌疑不十分)」になった。その間、検察審査会の審査が行われ、2010年4月に「起訴相当」と議決。さらに検察審査会は同年9月に強制的に起訴すべきだとする「起訴議決」を決め、翌10月に公表した。
これにより、裁判所が指定する弁護士が検察官役となり、小沢氏は「強制起訴」され、今回の初公判が行われたのである。
小沢氏は初公判で8分間にわたって熱のこもった意見陳述を行った。怒りのこもった主張と言ってもよいだろう。私には、小沢氏の怒りがよくわかる。
多額の裏金をつくっていたとされる準大手ゼネコン「西松建設」の政治献金に絡み、小沢氏の公設第1秘書で、陸山会の会計責任者を務めていた大久保隆規氏が政治資金規正法違反の罪で逮捕されたのが2009年3月である。
政治家・小沢一郎をねらった攻撃ではないか
この時期は衆院総選挙を間近に控えたころであり、小沢氏にすれば明らかな選挙妨害であっただろう。衆院総選挙で民主党と自民党が雌雄を決する、まさに「天下分け目」の戦いだ。民主党の政権獲得をかけた選挙であった。
その大事な選挙を目前にして、当時民主党代表であった小沢氏の秘書を逮捕するとは、政治家・小沢一郎をねらった攻撃ではないか。小沢氏は意見陳述の中で「検察という国家権力機関が、政治家・小沢一郎個人を標的に行ったものとしか考えようがありません」と述べ、次のように強く主張した。
「一昨年の衆院総選挙の直前に、何の根拠もないのに検察当局は捜査逮捕権という国家権力を乱用して、いきなり野党第一党の代表である私を狙って強制捜査を開始したのであります。(略)とりわけ2年前の総選挙は、各種世論調査でも戦後半世紀ぶりの本格的な政権交代が十分予想された特別なものでありました。そのような時に総選挙の行方を左右しかねない、恣意(しい)的な権力の行使が許されるとするならば日本はもはや民主主義国家とはいえません」
大久保氏が逮捕された後、小沢氏は2009年5月に民主党代表辞任を表明し、8月30日に投開票が行われた衆院総選挙で民主党は圧勝し政権交代を果たした。
検察が不在で「初めてまともな裁判が行われた」
さて、小沢氏が意見陳述で露にした怒りそのものはよくわかるのだが、「その陳述が誰に向かって行われているのか」という疑問も抱かないわけではなかった。
なぜなら、小沢氏の意見陳述を法廷で聞いているのは、東京地検特捜部ではなく、検察官役の指定弁護士だからだ。今回の裁判では、検察の手を離れ、指定弁護士にその役割が移っている。
つまり、「検察の正義」を振りかざして何が何でも「有罪」に持ち込むという検察は、法廷にはいないのだ。初公判を傍聴したジャーナリストの江川紹子さんは、そのことを踏まえて、「初めてまともな裁判が行われた」という印象を持ったそうだ。
検察は過去に何度も「検察の正義」にこだわってきた。田中角栄氏のロッキード事件、江副浩正氏のリクルート事件、最近では堀江貴文氏のライブドア事件などが象徴的である。特にロッキード事件では、「田中は巨悪だ。金権政治の親玉だ」と言って「検察の正義」を振りかざしてきた。
ところが2010年9月、郵便不正事件で厚生労働省元雇用機会均等・児童家庭局長の村木厚子氏に無罪判決が出され、検察の違法な捜査を疑問視する声がかつてないほど高まった。「『検察の正義』の矛盾」が露呈した事件だったと言ってよい。
元秘書の裁判では「推認」による有罪と断定
小沢氏の初公判に先んじて9月26日に行われた石川知裕被告、池田光智被告、大久保隆規被告の元秘書3人に対する判決では、東京地裁は有罪とした。中堅ゼネコン「水谷建設」の元幹部が石川氏、大久保氏に裏金としてそれぞれ5000万円を渡した点を指摘されたのである。
実はこれまで小沢氏を起訴するかどうかについては、事情聴取は行われたものの、物的証拠がないために不起訴となった。
それなのに9月26日の判決では、政治資金収支報告書を元秘書らが共謀したとする外形的な事実を認定し、それを有罪の根拠とした。物的証拠なしに「推認」による有罪と断定したことから、相当踏みこんだ判決だったと思われた。
小沢氏の初公判では、この裏金問題はまったく出てこなかった。検察が事情聴取をして作成した供述調書を中心に審理された。しかも、その供述調書のうち、石川氏が「2004年、2005年の虚偽記載は小沢氏に相談し、小沢氏が了承した」と供述したのは尋常ではない取り調べによるものということで削除され、そのうえでの裁判である。
さらに、3人の元秘書が関わったとされる水谷建設問題も触れられていなかった。
石川氏の供述調書は検察の脅迫によるものであったのか
私は、陸山会の土地取引をめぐる小沢氏への検察の捜査には最初から違和感を抱いていた。東京地検特捜部は小沢氏を何としても有罪にしたい。いわゆる「検察の正義」を振りかざし、遮二無二に捜査を行っているように感じられたからだ。
「小沢という政治家は悪いやつだ。だから有罪にしなければならない」。およそ客観性があるとは思えない、この検察というプロフェッショナルによる捜査の結果は、2度とも不起訴になった。
それを、プロフェッショナルでない人たち、つまり裁判所によって選出された国民(有権者)11人で構成する検察審査会が2度にわたり「起訴相当」と判断した。この経過にも、私は違和感を覚えている。
小沢裁判の次回の審理は10日14日午前に行われる。銀行からの4億円の借り入れに関わった行員の尋問が行われるほか、石川氏の取り調べを録音したICレコーダーが提出され、その音声データの再生も行われる。石川氏の供述調書が検察の脅迫によるものであったかどうかを確認するためだ。
石川氏の主張は検察の脅迫によるものとしているが、本当はどうだったのか。次回の審理では、脅迫されたものかどうかが明らかになるが、これは小沢裁判の一番のポイントになるだろう。
やはり小沢氏は無罪である
私は9月26日の元秘書3人に対する有罪判決を聞き、「これは小沢氏を有罪へと持っていくのではないか」という印象を受けた。そのことは小沢氏の初公判が行われた日に執筆した前回の本コラムに書いた。
しかし、6日の初公判の冒頭陳実をよく読み、その後取材を重ねてみたところ、小沢氏の裁判は、9月26日に元秘書に有罪判決をした裁判とはまったく別のものであるという思いがしてきた。
私はこれまで一貫して「小沢氏無罪」を主張してきた。来年4月まで裁判は続くが、「正義」を振りかざす検察が事実上不在であり、もし「まともな裁判」が行われるのであれば、私はやはり「小沢氏は無罪になる」と考える。
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