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「小沢一郎暗黒裁判」後に行われた小沢記者会見で、「国会で出て説明しないのか?」と質問して、小沢一郎に「もっと勉強してら質問しろ」と恫喝された上に、当時の記者会見ルール無視の質問だったことが暴露され、大恥をかいたTBS記者とは、「ニュース23」のキャスター松原耕二だったらしい。
「小沢事件」「陸山会裁判」「小沢一郎暗黒裁判」を通じて、もっとも重要な問題は、「有罪か無罪か」、あるいは「検察の暴走」という問題であることは間違いないだろうが、むしろこの一連の「小沢事件」が暴露した問題で忘れてはならない、より深刻な問題は、「マスコミの暴走」と「マスコミの狂気」という問題だったと言っていい。
何故、日本のマスコミは、小沢事件報道で暴走したのか。何故、マスコミは、小沢事件報道にあたって狂気の捏造報道や扇情的な中傷報道を繰り返すのか、という問題である。明らかに日本のマスコミは、「小沢一郎」というと、前後の見境なしに狂気の暴走報道を続けている。青山繁晴と関西テレビ、あるいは「みのもんた」とTBS、星浩と朝日新聞・・・だけではない。
実は、「小沢一郎暗黒裁判」の直後に行われた「小沢記者会見」で、小沢一郎を激怒させたTBS記者とは、遅ればせながら、TBSの「ニュース23」のキャスター松原耕二だったことが分かった。もっと若い駆け出しの記者かと想像していたが、予想は外れた。鉢呂経産大臣の辞任会見の時のヤクザ顔負けの「暴言記者」は時事通信の鈴木某とかいう記者だったらしいが、鈴木も松原も駆け出しの記者ではないだろう。
おそらく彼らの傲慢、不遜、かつ居丈高な発言や質問は確信犯的なものだろう。何故、日本の新聞やテレビは、朝日新聞も産経新聞も、そしてテレビ局も、同じように「小沢一郎」に異常反応するのか。問題は「小沢一郎」にもあるだろうが、それ以上に「マスコミ」そのものにあるのではないか。つまり、日本の自称「保守派」や「愛国派」が追い詰められているように、マスコミもまた追い詰められつつあるということではないのか。
日本の戦後マスコミがもっとも恐れているもの、あるいはもっとも頭が上がらないもの、それは米国、つまり米占領軍、GHQ、CIAである。決して政府でも読者でもスポンサーでもない。そのことを深く追求したのが江藤淳の名著『閉ざされた言語空間』である。日本では、戦前は言論統制、言論弾圧の「暗い時代」だったが、戦後は「言論・表現の自由」が保障される「明るい時代」になったという神話がある。
その「戦後神話」を打ち砕いたのが江藤淳の『閉ざされた言語空間』である。戦後もまた、巧妙なからくりのもと、言論表現の自由は奪われている、という衝撃的な論文である。この論文は有名だが、深く読み込んでいる人は多くない。この論文は、江藤淳が提起した「無条件降伏論争」とも絡んでいる。
さて、江藤淳は、ポツダム宣言受諾という形で無条件降伏したのは日本の「軍」であって、国家や国民ではないと言う。それ故に、ポツダム宣言受諾後も、日本の新聞やラジオ、通信社は自由な報道が可能であった。その時点では、米軍の動向、米軍兵士の犯罪、国際情勢・・・なども自由に報道されていた。
しかし、米軍は、日本のメディアを放置したままでは、日本占領がうまく行かないことを憂慮して、日本の新聞社、通信社などに発行停止や業務停止を命じ、それ以後再開されたとしても、米占領軍による厳しい検閲が行われることになった。戦後、言論表現が自由になったというのは、米軍が許した範囲での自由、つまり米軍の検閲を経た後の自由であった。
しかるに、日本のマスコミは、戦後、一貫して言論表現の自由を謳歌してきたかのように、自己も国民も欺いてきた。日本のマスコミは、戦後の米軍GHQの占領体制の補完装置として出発したという事実を隠蔽し、国民をだまし続けてきた。米国からの自立、在日米軍の撤退を模索する政治家・小沢一郎を激しく攻撃する日本のマスコミは、今、マスコミ自体が、米軍占領体制から抜け出ていないことを証明している。
むろん、彼等、日本のマスコミの面々が、米CIAの情報統制下、情報管理下にあるということではない。かつて、GHQ、米CIAの情報統制下、情報管理下にあって、恐怖と共に利益を貪ってきたという記憶が内面化し、一種のトラウマとなり、彼らの思考や行動を無意識のうちに拘束しているということである。
江藤淳が、『閉ざされた言語空間』で明らかにしたのは、そのことであった。つまり、日本のマスコミは、それは記者クラブの面々だけではなくフリージャーナリストをも含めて、「アメリカ的なもの」と正面対決することに恐怖心を抱いているということである。その恐怖心の反動が、「東アジアの米軍は第七艦隊で充分だ・・・」と、「対米自立」を模索する国民政治家・小沢一郎への総攻撃となっているのだろう。
彼らは、自分たちもそうやりたいが、どうしても出来ないようなことを堂々とやり遂げようとする剛腕政治家に憎悪を感じるのだ。それは、自民党議員や保守思想家たちにも言えることだろう。愛国だ、保守だ、伝統だと言いながら、独立も果たせず、在日米軍という侵略軍による植民地的他国支配の屈辱を受け入れることを肯定してしまっている人たちである。
対米自立を模索する小沢一郎こそ保守・愛国派ではないのか。その保守・愛国派の国民政治家を、座間に駐留する在日米軍司令部の指令のもとに、米軍が戦時物資の隠匿事件摘発のために創設したという後ろ暗い誕生秘話を持つ東京地検特捜部を筆頭に、進駐軍の幻影から抜け出せない官僚組織、マスコミ、自民党・・・の面々が、寄ってたかって総攻撃しているのであるから、歴史と言うものは皮肉なものである。
真の売国奴は誰か。分かりきっているだろう。江藤淳に『日米戦争は終わっていない』という著書があるが、まさにその通りと言うことだろう。(続く)
http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/20111010/1318238996
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