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小沢一郎、背水の陣
自らの公判開始直前の元秘書3人の有罪判決で打撃を受けた小沢一郎氏。機運が高まってきた選挙制度見直し論議も、復権シナリオに影を落とす。背水の剛腕。延命へ「新党」立ち上げに動くとの見方もくすぶる。
小沢一郎・民主党元代表の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件を巡り9月末、元秘書3人に有罪判決が出たことで、政界に大きな波紋が広がった。
まず、3人とも有罪という結果が事前の大方の予想と異なったことだ。
収支報告書の虚偽記入などを認めた石川知裕・衆院議員らの捜査段階の供述調書が「任意性がない」として証拠採用を却下されていたことなどから、法曹関係者の間でも「3人全員が有罪になるとは限らない」との声が出ていた。
それが、ふたを開けてみれば、「小沢事務所と企業との長年の癒着がある」と小沢事務所の「ゼネコン利権」の存在まで認める検察側の全面勝利だった。
6日から始まる小沢氏の公判では、小沢氏が収支報告書の虚偽記載などの報告を受けて了承していたかどうかが大きな争点となる。
秘書3人の有罪判決がどう影響するのかは不透明だが、「事務所ぐるみの犯罪と認定されたことで、少なくとも小沢氏の道義的責任は免れない」(岩井奉信・日本大学教授)といった見方は民主党内でも広がっている。
狂う復権シナリオ
「政治とカネ」を巡る問題で党員資格停止処分中の小沢氏。そのグループは、8月の代表選の敗北を受け、団結にほころびが目立つ。小沢氏自らが指示した複数グループの統合案が見送りになったのはその最たる例だ。
「石川氏ら3秘書のうち1人でも無罪判決が出れば、流れが変わる。来年4月と言われる小沢さんの無罪判決を経て、来年9月の代表選で完全復活を果たす」
小沢氏に近い議員の間ではこんなシナリオが語られていたが、「まさかの全面敗北」(小沢グループの議員)で、小沢氏の求心力の低下は避けられない。
これを受け、自民、公明両党は小沢氏の国会での証人喚問要求で足並みを揃えた。「党内融和」を掲げる野田佳彦首相や民主党幹部は慎重な立場だが、日本経済新聞社とテレビ東京の世論調査では証人喚問や議員辞職など何らかの対応を取るべきとの回答が9割弱に達した。
「来年度予算案編成や、来年の通常国会の最大の焦点となる消費増税法案への野党の協力取りつけの交換条件として、小沢氏の国会招致カードを切る可能性もある」と、自民党幹部は読む。
これまでその政治力を背景に国会での証言を拒んできた小沢氏だが、国会対策上の交渉材料にされる事態もあり得るというわけだ。
3秘書の有罪判決に加え、与野党で機運が盛り上がりつつある衆参両院の選挙制度見直し論議も、小沢氏に逆風になりそうだ。
というのも、衆院に関しては比例代表の定数を維持しない限り、民主党の比例代表の獲得議席が減る可能性が大きく、比例で議席を獲得した議員が多い「小沢チルドレン」の大幅な減少が見込まれるためだ。
選挙制度改革は今年3月、最高裁が2009年衆院選の「1票の格差」2.30倍を「違憲状態」と判断したことで喫緊の課題に浮上した。現状のまま次期衆院選を行うと、選挙無効判決が出かねないためだ。
議員の死活に関わるため、議論は進んでいなかったが、民主党の輿石東幹事長が2日のNHK番組などで来年の通常国会に見直しの法案を提出する意向を表明。ここにきて与野党協議に向けた空気が醸成されつつある。
この課題に関して、「高めのボール」を投じたのが、公明党だ。現行の「小選挙区比例代表並立制」に代わる制度として「小選挙区比例代表連用制」「小選挙区比例代表併用制」「中選挙区制」の3案をまとめた。
公明党はかねて中選挙区制の復活を提唱し、民主、自民などでも賛同する議員は少なくない。ただ、小選挙区を中心とする現行制度の定着を踏まえて、連用制と併用制を現実的な案として打ち出した格好だ。
連用制、併用制は投票の仕方は並立制と同じだが、当選者の決め方が異なる。並立制は各党の比例代表の得票数を「1、2…」と整数で割った後の数字が大きい順に当選者を決める。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20111006/223052/?P=1
これに対し、連用制は各党の得票数を「小選挙区の当選者数プラス1」、「同プラス2」…と割る方法で、小選挙区で勝った党ほど割り算をした後の値が小さくなるため、比例では中小政党が有利になる仕組みだ。併用制は政党の得票数に応じて議席を比例配分する比例代表が基本になる。どちらも比例の重みが今よりはるかに増す制度だ。
下に、自民党関係者による試算を示した。2009年の衆院選の結果を連用制に当てはめると、民主党の議席は過半数に届かず、公明党は21から50に増える。大政党の衆院の過半数獲得は難しくなり、第3党がキャスチングボートを握る構図が常態化しそうだ。
これに対し、議席の大幅減を避けたい民主と、政権奪還を目指す自民はともに現行制度の手直しで乗り切りたい考えだ。民主党は比例定数を180から100 に削減したうえで、定数300の小選挙区を「5増9減」か「6増6減」する2案をまとめた。自民党は比例代表を30削減し、小選挙区の定数を5削減する案を打ち出した。
時間の制約もあり、今のところ与野党の間では公明案のような抜本改革は困難との見方が一般的。ただ、「ねじれ国会」の中、民主党内では、法案審議などで公明の協力を得るにはこの問題での配慮が必要との指摘も根強く、今後の議論の行方は不透明だ。
いずれにせよ「増税という痛みを求める前提として議員定数削減は必須」が世論の大勢。公明に譲歩して比例定数を維持するという選択をしない限り、次期衆院選での民主党の比例獲得議席の減少は避けられそうにない。それは前述のように、「数は力」という小沢氏の政治力の低下に直結する。
浮上する「年内新党」説
こうした情勢を踏まえ、「比例組」の小沢グループ議員などの間では、年内の「小沢新党」を模索する動きが水面下でうごめいている。ある民主党議員は「座して待っていても展望は開けない。来年の通常国会で消費増税法案が通れば、来秋以降、いつ総選挙があってもおかしくないので急ぐ必要がある」と語る。
背景にあるのが、政党交付金の受給資格問題だ。一定の要件を満たしたうえで1月1日時点で政党として届け出ることが条件となるため、来年の選挙に備えるには、年内の新党立ち上げが必須というわけだ。「増税反対と、TPP(環太平洋経済連携協定)反対を旗頭にすれば、一定の数は確保できるはず」と語る議員も少なくない。
復権への戦略に狂いが生じた小沢氏はこのまま影響力を失うのか、政治的延命へ動くのか。20年近く前の選挙制度・政治改革論議の中心にいた小沢氏がその見直し論議の最中に政治生命の危機にあるというのは、歴史の皮肉と言うほかない。
日経ビジネス 2011年10月10日号12ページより
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20111006/223052/?P=2
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