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今週発行のサンデー毎日(10月16日号)のトップ記事は「秘書判決はトンキチ推理小説だ!」とのタイトルである。全部で6ページを費やし、陸山会事件判決を批判している。その編集方針と内容は、山田道子編集長が編集後記で書いているように、「秘書判決を含め、小沢氏の政治姿勢や『政治とカネ』問題への評価と、検察や裁判所の判断の評価を混同してはならない」と、一本筋が通っている。
陸山会事件を巡って、これまでは検察を批判する声が多かった。だが、今回の判決は日本の司法・裁判所にも問題があることを浮き彫りにした。今回の判決について言えば、多くの法曹人が指摘しているように、これまでの法律適用とは全く違っている。これまで検察は、刑事訴訟法317条「事実の認定は、証拠による」に従い、証拠の立証に力を注いでいた。処がこの裁判では、その必要が無かったのである。
この判決で登石裁判長は、刑訴法318条の「証拠の証明力は、裁判官の自由な判断に委ねる」を最大限に拡大解釈した。検察の証拠立証よりは、自らの心証に合えば、1枚のレシートでも有罪の証拠として採用し、心証に合しない証言は全て棄却した。これを、「裁判官が偏向していると思っていないことが何よりも恐ろしい」と政治評論家の佐藤優氏は言う。裁判官も人の子、先入観に左右されただけならまだいい。
この判決が、登石裁判長という一判事の「裁判官の独立性」に立脚したものならば、一過性の判決として法律家である検察OBは冷ややかに見過ごすはずだ。処が、「画期的だ」とか、「捜査当局に向けたメッセージ」だなどと彼らは評価している。その理由をサンデー毎日は、「裁判長のスタンドプレーでできるはずがありません。裁判進行にも間違いなく最高裁の考え方が大きく影響を与えています」と書いている。
憲法第76条3「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される」とある。処が、サンデー毎日には「個々の裁判官の独立性が担保されているのは表向きで、最高裁の支配が末端まで及んでいる」と書いてある。つまり、憲法第76条3を、他ならぬ最高裁が破っていると書いているのだ。3人の秘書の有罪・無罪より、もっと重大で、深刻な話ではないか。
予ねて、「その良心に従ひ独立してその職権を行ふ」裁判官は、人事面で冷遇されるとの噂があった。そして「ひらめ」裁判官が言われている。これを以って直ちに司法権のトッである最高裁が憲法違反を犯しているとは言わない。だがサンデー毎日の記者は、「裁判官に強い影響を与える最高裁。判決に限らず、裁判の進行にも反映されているようなら、それは危険な司法独裁ではないか」とその問題点を指摘している。
これまで国民は、最高裁が正義の最後の砦だと信じていたが、それは幻想でしかないようだ。この特集記事を読んで感じたことは、前回の本欄で指摘したように裁判所・司法権が検察・行政権とタッグを組んで、主権者である国民の代表である立法府・議員の上に立とうとしていることだ。それを、前述の佐藤優氏は、「裁判の底流にあるのは官僚と政治家、官と民の権力闘争です」と述べている。
司法権が国家権力であり、裁判官がその司法権を行使できるのは、全て憲法をはじめとする法律に定められているからである。その法律は全て国民の代表である国会議員によって定められている。従って、裁判官が立法の精神とは異なる判決を行なえば、立法府はそれをチェックする義務と権限がある。処が、国会議員・立法府が裁判所を批判すると、「司法への介入」だと言う。それでは誰が司法権をチェックするのだ。
三権分立には、三権が相互にチェックすることも含んでいる。処が、日本の司法・裁判所は、相互チェックではなく、「相互無干渉」を三権分立だと思っているようだ。それは明治24年に起きた大津事件で、裁判官は行政の干渉から司法の独立を勝ち得た歴史的な背景があるからだと思う。だが、当時の裁判官は天皇に代わり国民を裁く司法官僚であった。当に「お上」そのものだったのである。
その「お上」意識を持続・増長しているのが、法曹界や官僚に共通する「難しい司法試験に受かった」とのエリート意識だろう。彼らは、国民は無知蒙昧で、その国民から選ばれた政治家は馬鹿で、その政治家に国を任せられないとの思いが強いようだ。その政治家の本丸が民主党最大の政治家・小沢一郎。だから小沢一郎を潰す。これが霞ヶ関に巣くう「税金でメシを食っている」裁判官を含む官僚の統一意思として、今回の判決の背景にある。サンデー毎日を読んで、筆者はそう受け取った。
http://www.olive-x.com/news_30/newsdisp.php?n=115275
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