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◎40億の違約金は野田の“背任罪”に相当する:朝霞宿舎凍結
http://thenagatachou.blog.so-net.ne.jp/2011-10-05
2011-10-05 06:57 永田町幹竹割り
105億の建設を凍結して違約金40億円支払わされたら、民間企業なら株主集団訴訟で社長は確実に背任罪に問われる。地方自治体の首長でも住民訴訟で個人的に違約金を払わされる可能性がある。首相・野田佳彦が打ち出した朝霞公務員宿舎建設5年間凍結をめぐる問題は、肝心の損得勘定が抜けている。40億円は国民の血税だ。政権ばかりかマスコミも野党も、何をトチ狂っているのか。野田にしてみれば自らのリーダーシップで凍結させたという筋書きだろうが、自分が財務相時代に決定した建設計画なのだからマッチポンプそのものだ。再開必至の八ッ場ダムの建設が、中止でかえって建設費を日日増大させているケースと酷似して、「パフォーマンスの民主党」が野田政権でも復活した。
野田が5年間凍結ということの意味は、5年後には建設再開を意味するのだろう。そうでなければ凍結にはしない。中止にする。財務省役人とのズブズブの関係を象徴している。そこを突かれたくないから財務相・安住淳が5年後の中止に言及するのだろうが、「うそをつくな」と言いたい。そもそも1年後も定かならぬ政権が5年後を語れるのだろうか。民主党が存在しているのかすら怪しい。マスコミもマスコミだ。「被災地そっちのけで建設するのか」という、感情論にとらわれ過ぎて、現実の損得勘定を無視してきた。のほほんと親方日の丸のサラリーマン稼業を送っている「記者貴族」では見極められまい。全国紙の全ての社説が、朝日「公務員宿舎官の論理を押し返せ」、読売「状況に応じて従来の政策を柔軟に軌道修正するのは、大切なことだ」、毎日「朝霞宿舎凍結、このぶれは評価したい」とノーテンキにも凍結に無条件で賛成している。
凍結賛成は勝手だが、結果がどうなるかが分かっていない。辛うじて朝日の社説だけが違約金に気付いているが、違約金を支払えという論理構成だ。凍結決定前の社説で「政権は億単位の違約金を払ってでも建設を取りやめ、残りのお金を復興費用にあてるべきだとは考えない」と批判している。しかし総建設費の4割の違約金は業者にとっては笑いが止まらない。濡れ手で粟の臨時収入だ。仕事をしなくても利益が生ずるのだ。朝日は「建設凍結、世論の圧力」という勝ち誇ったような見出しの記事の中で「工事凍結による損害賠償は最大40億円との見方もある。せっかくの首相決断も色あせそうだ」と、「違約金払え」の社説とは全く逆に野田の失政に言及している。大矛盾だ。
歴代民主党政権の「ぶれ」を恐れて、ひたすら低姿勢で通してきた野田も、ここに来て馬脚を現した形となった。パフォーマンスの事業仕分けで中止となった建設を、自分が財務相になってから同省の役人に気を遣って2010年に再開を決定したまではよいが、大震災が発生してさすがにストップ。震災のほとぼりが冷めるのを待つかのように9月1日にこそこそと着工したが、マスコミのやり玉に挙がった。10月3日の工事現場視察とその後の対応は、泥の中から顔を出したドジョウが、マスコミカラスを見て慌てて首を引っ込めた構図だ。視察するまでもないことを3流補佐官らの入れ智恵で、たったの9分間視察してみせる。まるで猿芝居であり、紛れもない民主党型パフォーマンス政治の復活だ。
建設会社が違約金を請求するのは当然だ。請求しなければそれこそ株主総会ものだ。国も債務不履行(契約不履行)となるのだから、当然支払いの義務が発生してしまうのだ。血税40億円もの損失を計上しないためには、民間企業なら絶対に違約金を支払わない方策を模索する。例えば建設を継続して完成させた上でマンション業者に売却するなどの手段だ。知り合いの大手不動産業者によれば「朝霞は立地条件が都心に近くてよい。すぐに売れる」とのことだ。とにかく親方日の丸で金はかかっても自分の責任だけを回避すればよいというものでもあるまい。もっともこの時期に40億円の損失は例え他の公務員宿舎の売却で10億円程度のプラスになっても、国の財政に打撃を与えることは紛れもない。どう言い訳しても野田の責任は免れない。野田は自ら違約金40億円を支払うべきだ。当然行政訴訟が発生してもおかしくない問題だ。
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