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植草一秀氏が語る日本国家論(4)〜中間層大没落と貧困化 政治2011年9月29日
私は、1993年から96年にかけてアメリカにいたことがあります。当時のアメリカは、ドル表示の1人当たりの所得が必ずしも高くはなかったのですが、実際の市民の生活水準は、決して貧しくはありませんでした。当時の為替レートで換算すると米国の物価が日本よりもはるかに安いということもあり、それが仮に日本の2分の1だとすれば、日本の所得と比較するには為替レートで円換算した金額の2倍が米国人の所得ということになりますから、決して低い所得ではなかった。さらに、余暇時間に屋外の有り余る大自然と豊富に供給されている無料のアウトドア施設を活用できることから生まれる豊かさを含めれば、米国人の生活が持つ圧倒的な豊かさは歴然としていました。
アメリカのホワイトカラー層の年収が3〜5万ドルの水準でしたが、物価が日本の半分とすると実質の所得は円換算金額の2倍ということになりますから、圧倒的に豊かだったと思います。ただ、当時は日本でも年収500〜600万円の中間層がかなり幅広く存在していましたが、その後の市場原理主義経済政策によって労働者は二極分化して年収200〜300万円の層が激増しました。ある種の新しい貧困問題が、ここ10年で急速に生み出されてきたのではないでしょうか。
日本の労働市場の乱暴な規制緩和にともなう労働者の非正規化という流れは、とくに中国の影響が大きいと思いますけれども、経済のグローバル化に伴う現象でもあり、グローバル化の進展、世界の競争激化のなかで、企業として生き残りをかけてコストを抑えなければいけない必要から推進されたものです。最大の固定費である人件費がコスト削減の最大のターゲットになりました。そのなかでもとくに中間層のホワイトカラーの人件費が狙い撃ちにされ、これを派遣社員やパートタイム労働者などの非正規社員にしたことで労働コストが減少し、企業の利益率が回復したわけです。
けれど、その結果として中間層の大没落が生じました。このような企業行動はBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)と呼ばれましたが、アメリカ在住時代に私はこのメカニズムを洞察し、これが時間差をともなって日本に波及することを予測しました。アメリカでは1990年から2000年の間にこの動きが急加速して二極化が進んだのです。
80年代にレーガンが登場して規制緩和を実行しました。その延長でとくに90年代後半にITの急激な進化を背景にBPRと呼ばれるビジネスモデルの大転換が急速に進み、ホワイトカラー中間層の大没落が進行したのです。
これが10年遅れで日本に広がった。小泉竹中政治は、この流れが進行するなかで、没落する労働者を支えるのではなく、企業による中間層没落運動の背中を押すという、恐るべき対応を示したのです。最近では、『TPP亡国論』を書かれた中野剛志さんが、グローバリゼーションをより加速させるTPPが、製造業の賃金下落圧力をさらに強め、日本の格差問題、貧困問題、を一段と深刻にさせるとともに、日本のデフレをさらに進行させると指摘し、TPP反対の論陣を張っています。これが正論です。市場原理主義を推進する経団連癒着の松下政経塾政治がTPPを推進しようとし、マスメディアがこれに加担していますが、これを放置すれば、日本はさらに深刻な崩壊に向かってしまうと思います。
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