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昨日の東京新聞「こちら特報部」は、9月30日に公表された九州電力の「やらせメール問題」に関する第三者委員会の最終報告書をめぐる動きを伝えている。
その中で私が笑ってしまったのは、第三者委員会の委員長である郷原信郎氏に対して九州電力社内から『「ストーリーありきの特捜部的手法」と感情的に非難する声も上がった。』という部分だ。そういう声が出ていることはすでに他のメディアに出ていたので知っていたが、こうして改めて見ると、「原発推進のストーリーありき」でせっせと「やらせ」をやっていた連中の倒錯ぶりは、もはや喜劇的ですらある。
彼らこそがまさに、「特捜部的な手法」の使い手であるわけだが、私としては、ここは時流に乗って、「ストーリーありきの裁判所的手法」という形容をしておこう。
それにしても、福島第一原発事故は、この国の倒錯ぶりを浮き彫りにしている。破局事故を起こした側の連中が、「予見できない天災だった」と開き直る一方で、一貫して原発を批判してきた小出裕章氏が、「このような事故が起こることがわかっていたのに止められなくて申し訳ない」と謝っている。
事故を起こした直後に、トップ自らが「逃げたい」(全面撤退)と言っていた超無責任企業が、いまだに事故処理を任されており、資料を出せと言われれば黒で塗りつぶし、福島の方々へ補償をするについてもデタラメと横暴の限りを尽くしている。
にもかかわらず、この会社に強制捜査が入る気配は微塵もなく(もうすでに、重要な書類はすべて破棄しているだろうが)、腹立ちまぎれに(たかだか)いたずら電話をした男が偽計業務妨害容疑で逮捕されるのである。べつにいたずら電話がいいとは言わないが、しかし根本的なところが倒錯している。
話を東京新聞に戻すと、この記事中には以下のような部分もあった。「本来は県議会がチェック機能を果たすべきだが、最大会派の自民党は及び腰だ。同党の原子力安全対策特別委員長が九電還付から個人献金を受けた責任を取って辞任する始末だから無理もない。三十日の県議会本会議で、地方自治法に基づく調査特別委員会(百条委員会)設置を求める動議が提出されたが、自民党などの反対多数で否決された。」
つまり自民党議員(これは地方議員も国会議員も同様)には電力マネーがたっぷりと回っているわけだが、回っているのはカネだけではない。実は私はこの部分を読んで思い出したことがある。
それは少しばかり知り合いの地方議員のことだ。彼は自民党ではなく民主党で当選回数もまだ浅いのだが、日頃から熱心に地元を回って支持者との会合を持っており、時には後援会でバス旅行などもしている。その企画の一つとして、これは私にも案内が来たのだが、ある時、「原発見学ツアー」がというのがあった。当時、私は「なんでそんな所へ行くのだろう」と少しく訝ったものだったが、その理由は選挙の時にわかった。彼は東電の支持が欲しかったのである。いったい、その選挙区内に東電票がどれだけあるのかは私にはわからない。
だが、彼の秘書から聞いた話では、とにかく東電の支持が欲しいとのことだった。その後、首尾よく支持をとりつけたのかどうかは知らないのだが、結果的に彼はギリギリと言われた選挙を乗り切って当選した。
議員にとって何よりも欲しいのは票とカネであるが、このケースを見ると、電力会社はカネだけでなく、票も持っているわけで、まさに選挙を戦う人間にとっては拝み倒してでも支持をとりつけたい相手ということになる。そして、おそらくは長らく自民党にのみ流れていたこの票とカネが、ある時期から民主党にも流れ始めたのだろう(それは多分に政権交代への保険であろう)。
私には今でも非常に印象に残っているシーンがある。それは第一回目の政府、東電、保安院の統合会見でのことなのだが、この時細野豪志が受け答えのなかで「東電さん」と言ったのである。私はその瞬間に「ああ、これはダメだナ」と思った。原発事故担当大臣が、この期に及んでも史上最悪の事故を起こした企業を「さん」付けで呼んでいる。
これでは政府の側が主導権を握ることはできないと思ったからだ。そして、その状態は今もって続いている。この倒錯が解消されない限り、福島第一原発事故の収束はないと私は思うのである。
http://fusenmei.cocolog-nifty.com/top/2011/10/post-87e1.html
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