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近聞遠見:老壮コンビのハーモニー=岩見隆夫
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毎日新聞 2011年10月1日 東京朝刊
目が離せない、気になる政治家がいつの時もいた。実力者とは限らない。先駆的、策士的、破壊的、いろいろだ。
半世紀ほどを振り返り、10人に絞るとすれば(首相経験者を除く)、西尾末広、江田三郎、園田直、松野頼三、金丸信、宮本顕治、後藤田正晴、野中広務、亀井静香、小沢一郎。異論もあるかと思うが。
結党したばかりの民社党初代委員長だった西尾は、60年安保騒動のあと、退陣を決意した岸信介首相の側近、福田赳夫農相に、
「政権を引き受けてもらえないか」
と説得されたが、断った。筋金入りの政略家である。ほかも、いずれ劣らぬユニークな闘将ぞろいだ。
いまは、民主党の輿石東新幹事長が気になる。風采あがらず、75歳の後期高齢者、山梨県教組委員長の履歴、参院議員といずれも与党幹事長の適性に疑問符がつきそうだが、野田佳彦首相(代表)は最初から輿石に決めていた。
固辞する輿石に、野田の最後の口説き文句は、
「私のおやじと思っている」
だったという。
代表選のスピーチで、野田がどじょううんぬんと相田みつを(書家・詩人、91年67歳で死去)の言葉を引用したのも、相田ファンの輿石へのリップサービスだったらしい。しかし、輿石が好きなのは、相田の次の詩だという。
<あなたがそこにただいるだけでその場の空気があかるくなる
あなたがそこにただいるだけでみんなのこころがやすらぐ
そんなあなたにわたしもなりたい>
政治家に似つかわしくない文句にも思えるが、輿石は、
「政治も存在するだけで安心できるという方向を目指したい。私は非力だが、顔合わせ、心合わせ、力合わせで、皆さんの協力を得たい」
と大真面目で言う。発想が教育者的だ。輿石と懇談していると、教師時代の思い出話が必ず出てくる。
中学の卒業式の翌々日に父が亡くなるが、危篤状態の父に母が問いかける。
「東(あずま)は将来何に?」
「警察官か先生だ」
が遺言になった。わんぱく坊主だったので警察官には向かないと思い、教師を目指したという。
輿石を慕う民主党の若手議員が結構多く、その一人は、
「組合屋みたいに言う人がいるが、あの人の原点は教育者だ。『和』の精神で人を育てようとする。鳩山(由紀夫)さん、菅(直人)さんが首相演説で使った『居場所』とか『出番』も輿石さんが言い出した教育的な言葉だから」
と言う。
とはいえ、輿石の出番は相当難儀なことになりそうだ。党内政争を打ち止めにし、融和をはかるには、小沢一郎元代表の側近、輿石の幹事長起用しかないという野田の決断について、党内にほとんど異論がない。とりあえず、融和策は奏功している。
だが、融和が目的ではなく、融和のあとに直ちに処理すべき政策課題、<政治とカネ>の問題など、待ったなしだ。野田と小沢のギャップも埋められたわけではなく、いつ火種になってもおかしくない。
一方、野田は細川護熙元首相、藤井裕久元財務相ら先輩の評価がとみに高く、<じじ殺し>の評も聞いた。輿石との老壮コンビ、独特のハーモニーを奏でそうでもあるのだ。
山梨県出身の与党幹事長は3人目、内田常雄(三木内閣)、金丸信(中曽根内閣)に次ぐ。三人三様だ。就任時の内田69歳、金丸70歳を引き離す輿石の歴代最年長、75歳がどんな味わいを出すか。
全国の高齢者も見つめている。(敬称略)
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