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26日の陸山会裁判の判決にも驚いたが、29日の東京高裁の判決にも驚いた。沖縄返還を巡る「日米間の密約を示す文書」の開示を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は、一審の東京地裁が国に開示を命じた判決を取り消し、原告側の請求を退けた。一言で言えば、「捨てて無くした物は出せない」と言う判決だが、本当にそれで良いのだろうか。今回の判決も間違いなく外務省を助けた判決である。
これまで何度も書いたことをまた書くが、先進民主国家での三権分立とは、主権者である国民を、強大な国家権力から守るために、三権が相互チェックを果たすものとなっている。民主国家では、主権者である国民を代表する議員から成り立つ立法府が、国権の最高機関となる。日本国憲法もそのように定められているが、日本の実態は、そのようにはなっていない。
26日の陸山会判決、29日の密約外交文章を巡る判決はもちろん、遡っては原発を巡る訴訟での判決でも、いずれも、司法・裁判官は行政、即ち検察、外務省、経産省の言い分を認めた判決を下している。つまり行政をチェックするはずの司法が、国家権力である行政側に立っている。おそらくそれを以って、裁判官は国家の威信が保たれると誤解しているのだろう。それはとんでもない大間違いである。
革命や独立戦争で、国民自らが血を流し、命を代償にして手にした民主主義なら、国民はそれを必死で守る。フランスやアメリカはもちろん、韓国・台湾などでは、そう云う意識が高い。だが、日本はマッカーサーによって与えられた民主主義のためか、戦前、或いは明治以前からの「お上」意識が抜けきれない者が多い。そのため、国家権力を「お上」として、崇める者が多い。そう言っても間違いではないだろう。
それはある意味で、戦後の民主主義教育が不十分であったことでもある。そして国民のその「お上」意識を最大限に利用しているのが、霞が関を中心とする日本の官僚機構である。国民は自らが選んだ国会議員を、「お上」である官僚に陳情する窓口くらいにしか思っていない。そして国会議員の方も、自分たちが主権者である国民の代表として、行政と司法の暴走をチェックするとの意識・自覚が非常に希薄である。
だから、陸山会公判で石川議員に有罪の判決が出ると、途端に辞職勧告などと自ら国会議員の地位を貶めることを平気で口走る。憲法で国会議員には不逮捕特権がある意味を全く理解していない。司法の判断を尊重することと、それが「正」だとすることは同じではない。司法が主権者である国民側に立たなかった場合、それを弾劾するのが立法府の仕事である。閑話休題。
昨年4月の1審判決は、密約文書の存在を認めた上で「国が廃棄したことを証明できなければ『文書がない』との主張は認められない」として、国に開示を命じていた。処が今回の高裁の判決では、機密文書が存在したことを認めながら「秘密裏に廃棄された可能性がある」として、原告側請求をすべて棄却した。これだと、今後は文書を廃棄したと言えば、開示しなくて宜しいとのお墨付きを与えたことになる。
判決は「今さら隠す文書ではない。調査チームが徹底的に調べたが出てこないのは、限られた職員しか知らない方法で管理され、処分された」との推認である。尤もらしいが、外務省が組織を挙げて調査に協力したのなら、その限られた職員が名乗り出るだろう。これは主権者である国民の知る権利に関する訴訟である。司法が国民の側に立てば、外務省の代弁者のような言い訳を書くはずがない。
原告の一人西山太吉さんがこの秘密文書について、「もともと、沖縄返還にともなう対米支払いをめぐる【からくり】は、その金額において、又、その方法において、さらには、それが後々に及ぼす影響(いわゆる後年度負担)において、そのどれをとってみても、まさに空前絶後のものであり、それからみれば、納税者全体が、その実態を徹底追及すべき性質のものであった」と言うように、依然として沖縄の基地問題に影響のある文書のようである。
最後に、問題を西山太吉さん個人の名誉に矮小化するつもりはないが、原告側の請求を全面的に棄却したことは、その存在を明らかにしたため、罪に貶められた原告の西山太吉さんの名誉回復がならなかったことになる。如何に裁判官が、国民の人権を無視しているかの証左ではないか。
http://www.olivenews.net/news_30/newsdisp.php?n=114950
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