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検察に狙われたらお終いなのか 小沢秘書判決 また分かった検察と裁判グルの仕組み
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2011/9/28 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
この国では裁判で1審無罪となることはメッタになく、死刑囚が何十年も経ってから冤罪だったという事例が文明の今でも続いている極めて異常な仮面先進国の野蛮な正体
--「疑わしきは罰せず」という原則は放棄され「天の声」とかいう妙な状況証拠で有罪にされたら知恵を絞って生きている一般庶民は浮かばれない
「非常に危険な判決だと思いました。たとえば“天の声”の問題です。東京地裁の裁判長は、小沢事務所が“天の声”を利用して献金を集めていたとか、岩手県や秋田県では公共工事の談合において小沢事務所が決定的な影響力を持っていたと判断しましたが、そんなことはありません。私もこの問題は徹底的に取材しました。東北の談合は小沢事務所が仕切っていたといえば構図が分かりやすいし、そういう固定観念があるのは事実ですが、真相は違い、結論は小沢事務所に出る幕はなかったというものです。それを、なぜ裁判官は簡単に決めつけたのか。1億円の裏献金問題も同じです。明確な金銭授受の証拠は最後まで出ていない。だから地検特捜部も詰め切れなかった。それなのに裁判官は、渡した側が渡したと証言しているから間違いないんだ、被告たちの供述は信用できないと一蹴です。ハッキリしないこと、明白でないことが多いのなら、“疑わしきは罰せず”が裁判の基本なのに、疑わしきことを有罪と決めつけてしまう。こんな判決が恒常的になったら、人権が守られず、裁判制度そのものがおかしくなってしまいますよ」
政治評論家の森田実氏はこう語った。その通りだろう。「疑わしきは全部有罪」という東京地裁(登石郁朗裁判長)の今回の判決は、どう考えても暗黒裁判だ。判決を聞いて検察は「満点」の評価らしいが、東京地検特捜部が決め手を得られずに立件を断念した「1億円裏献金」を、裁判所が勝手に踏み込んでデシャバってクロと断定してしまう。これじゃあ、検察そのものが不要。ムチャクチャすぎるというものだ。
◆「憲法違反」の声も出るデシャバリ判決
元外交官で評論家の天木直人氏はこう言った。
「裁判官が勝手にストーリーをつくってしまうという点であるまじき判決ですよ。これまでの裁判は、検察調書を99%根拠にして有罪判決にしていたが、今回は満足な調書もないのに、状況証拠だけで有罪にしてしまった。裁判の慣例がいきなり変わったのです。それなら国会でまず制度改正をすべきなのに、裁判官個人が勝手にやってしまう。こんなことがまかり通っていいのか。それに裁判官は1億円裏献金を事実と認めた。これは大変なことです。それならばなぜ贈収賄事件に切り替えてやらないのか。巨悪事件を追及しないのか。なぜ被告たちに裁判官は執行猶予をつけたのか。おかしなことだらけなのです。反小沢、親小沢といったことを超えて、国民的に疑問視しなければならない大問題判決ですよ」
検察が有罪を立証できない事件を、裁判所が代わってアレコレ類推解釈して検察捜査の欠陥まで補強して有罪にしてしまう。「憲法31条、39条違反」の指摘も出ているが、それが今回の小沢秘書裁判の本質だ。空恐ろしい話である。小沢問題に関係なく、これが当たり前になったら、知恵を絞ってどうにか生きている庶民はやってられない社会になってしまう。検察に狙われたが最後、オシマイということだ。
◆検察官と裁判官は身内。改革者を抹殺してきた戦前と同じ体質を維持
なぜこんなデタラメが起きたのか。要は、検察と裁判所が一体のグルであることが改めて証明されたのだ。今回は、検察の権威失墜を仲間の裁判所が救ってやったということなのである。
厚生労働省の局長だった村木厚子さんのデッチ上げ冤罪事件で大阪地検特捜部は壊滅状態。おまけに東京の小沢捜査においても、石川知裕被告などに対する強引な特捜部捜査が明るみに出て、「政治謀略」の批判の中、検察は瀬戸際だった。そこで東京地裁は、いったん検察調書をことごとく却下するという作戦に出て、いかにも公正中立に審理する形をとりながら、小沢事務所を厳しく断罪した。そうやって検察捜査にお墨付きを与え、威信を回復してやったのである。これで東京地検特捜部は危機を脱し、安泰だ。
官僚機構をよく知る前出の天木直人氏は「ここで逆の判決を出したら、検察機構の信用は失墜した。裁判官も官僚。検察を守ることがプラスか、小沢につくことがプラスか、当然計算して保身の道を選んだ」と言ったが、そういうことなのだ。
これまでの刑事裁判を振り返れば、どんな無実の人であってもデタラメ捜査で逮捕・起訴されれば、裁判所は検察捜査を丸のみ追認し、有罪にしてきた。それで死刑を宣告されながら、何十年後に冤罪になった事件が免田事件、財田川事件など数多くあるし、最近も足利事件、布川事件の冤罪が証明された。検察と裁判官の持ちつ持たれつ、ズブズブの関係が優先され、とても文明国と思えない人権無視のファッショ司法が続いてきたのだが、その野蛮な正体は根幹の部分では今になっても変わらないのである。
◆疑問点を封じ込む大新聞もグルだ
「検察官と裁判官は交流が多いし、司法研修所などで同じ釜の飯を食った関係で、身内意識が強い。彼らが国家体制維持のためにファミリーで団結するのは自然のこと。検察に目をつけられた小沢一郎氏が不幸であり、甘かったのです。権力の組織体と、個人である政治家が戦っても、絶対に個人が負ける。戦前から政治色の強い事件が何度も起き、決まって政治家が排除されてきた。いくら力のある政治家であっても、権力に狙われたら潰されてしまうのです。おまけに大権力である大新聞が体制側にいる。きのうの朝刊で大新聞は1面で“天の声”と“ゼネコン裏献金”認定をデカデカ報じていました。一番疑問があり、ジャーナリズムが検証しなければいけない問題なのに、1面で強調して、読者国民に疑いを持たせないように、疑問点をコンクリートで固めてしまった。これで読者国民は小沢氏のクロを信じて疑わなくなる。それだけに、ひっくり返すのは簡単なことじゃない。非常にきつい裁判闘争になるでしょう。私は、離党して、政治と離れて裁判に専念すべきだと思いますよ」(森田実氏=前出)
この国の沈滞衰退の元凶である官僚支配を少しでも崩そうと政権交代を仕掛けた小沢一郎は潰され、暗黒デタラメ判決を称賛する大マスコミと息を吹き返した特捜検察。支配層の高笑いが聞こえてくる。それに丸め込まれ、利用される野田民主党政権。「これでいいのか日本は」と、ますます絶望的な気持ちになるしかないのだ。
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