http://www.asyura2.com/11/senkyo119/msg/893.html
Tweet |
小沢氏元秘書1審判決 どう見る 市民感覚/司法に禍根 「政治とカネ」抜け道にノー 捜査の失態、裁判所が”救う”
「東京新聞」 2011.09.28 朝刊「こちら特報部」(前半)
民主党の小沢一郎元代表の元秘書3人が有罪判決を受け、小沢事務所の金権体質が糾弾された―。 画期的判決と評価する声がある一方で、検察の証拠不足も指摘され、状況証拠による「推認」を積み重ねた判決に疑問の声も上がっている。小沢氏の政治責任や道義的責任は重いが、政界実力者と検察が互いに不信払子式(ふっしょく)をかけた“死闘”の第1ラウンドを、識者はどう見ているか。(秦淳哉、佐藤圭)
従来の裁判では、取り調べで作成された供述調書を証拠として重視する傾向が強かったが、今回は裁判所が供述調書の証拠採用をほとんど却下。慶応大の小林良彰教授(政治学)は「供述調書は間接的証拠にすぎず、法廷証言が重視された」と解説する。
裁判員裁判の制度導入影響
小林氏はその理由について、裁判員制度導入と関係があると指摘。「裁判員制度では裁判員の『印象』が判決を左右する。社会通念上、誰が見てもおかしい対応なのに自然かつ合理的な説明ができない場合、政治家でも有罪になることを示した。納得できる内容だ」と評価する。
政治資金に詳しい岩井奉信・日大教授(政治学)も「これまでの政治資金規正法違反事件では、はっきりしない部分があれば、被告に有利だったが、今回は被告が合理的に説明できないとして有罪にした。法律的には議論の余地が残るが、国民の常識的な感覚には近い。積極的、挑戦的な判決だ」と話す。
岩井氏は、判決が今後の政治とカネのあり方に「大きな影響を及ぼす」とみる。判決は、西松建設の政治団体について「実体はなく、西松建設の隠れみのにすぎない」と断定。岩井氏は「政治資金収支報告書を提出していたのにダミー団体と認定した。このような抜け道的な手法は、企業や団体で一般的に行われている」として、司法が厳しく対応するようになると予測する。
これに対して、「検察不信を払拭し、司法を守ろうと無理を重ね、逆に司法全体の信用が揺らいだ。不信の上塗り』ではないか」と厳しく批判するのは、政治ジャーナリストの角谷浩一氏。検察は公判で供述調書の大半が却下される中、状況証拠を積み重ねていくしかなかった。
「小沢氏の政治家としての評価、過去の言動が判決に強い影響を与えているように思える。もっと言えば『政治家は悪さをする』という前提に立っているようだ。公平にジャッジされたのかどうか疑問だ」
評論家の佐高信氏も裁判所に批判的だ。「判決には無理がある。検察が立証していない水谷建設からの裏金問題も認定しており、(大阪地検の証拠改ざん事件など)検察の捜査の失態を裁判所がカバーした印象だ。真っ正面のゴロをトンネルした検察を、裁判所が救った形で、とんでもない判決だ」と指弾する。
交流人事行い 判検一体体質
「判決には、裁判所と検察が交流人事を行う『判検一体』の体質が影響したのだろう。確かに小沢氏のカネの問題は残るが、今回の判決とは区別しなければ、今後の司法界に禍根を残す」と懸念する。
--------------------------------------
状況証拠重ねて「有罪」 検察戒め/冤罪の温床 ”寛容”民主党 何事も無責任 来月末初公判 小沢氏、不信ぬぐう説明を
「東京新聞」 2011.09.28 朝刊「こちら特報部」(後半)
「判決は もろ刃の剣。一定の効果と弊害を併せ持つ」と指摘するのは、ジャーナリストの大谷昭宏氏。「政治資金規正法適反や贈収賄事件は密室犯罪のため立証が難しい。客観的証拠がなくても状況証拠の積み重ねで犯罪があったと合理的に判断し、有罪を導き出すことを示した点は画期的だろう。検察に対しても、強引な供述調書を取らなくてもいいと戒めた意味合いもある」という。
一方で「下手をすると冤罪の温床になる危険がある。検察からすれば、供述調書や客観的証拠がなくても合理的説明さえつけば有罪を勝ち取れることになる。客観的証拠を探すより、ますますストーリー先行の捜査に陥る可能性がある。世論が許せないと思った人を、検察が安易なポピュリズム(大衆迎合)から罪に問うことになりかねない」と心配する。
元秘書三人は二十七日、控訴したが、小沢氏自身も十月六日に初公判を迎える。政治責任や道義的責任をどう果たすべきか。
大谷氏は「元秘書が有罪判決だから即責任を取れという論理はおかしい。小沢さんは推定無罪の原則から起訴内容については法廷で決着をつけるペきだ」という。ただ、国民への説明が不十分と批判する。
「小沢氏は、ネットメディアやフリーの記者を謹んで記者会見するケースが多いがこれは姑息だ。政治家として広く国民に説明する義務がある。裁判を理由に逃げ込むなと言いたい」
小林良彰氏も説明責任を果たすよう求める。「小沢氏は自身の裁判前に、国民が明らかに『シロー』と判断するに足る説明を国会や記者会見で行う必要がある。もし本人が拒むなら、国民が抱く政治不信をぬぐうための措置が必要」として、証人喚問の必要性を認める。
“寛容”民主党 何事も無責任
民主党全体の「無責任体質」を問題視するのは角谷氏だ。野田佳彦首相は、福島第一原発事故に絡む不適切な言動による鉢呂吉雄前経済産業相の辞任について「任命責任は私にある」と表明したが、責任をとったわけではない。政治とカネの問題でも、野田首相や前原誠司政調会長、菅直人前首相の外国人献金問題などを抱えているが、いずれも説明責任を果たしているとは言い難い。
角谷氏は「民主党は何事にも責任を取らない。誰も説明責任を果たさないという意味では、寛容な政党だ」と皮肉る。
小沢氏が国会での説明を一貫して避けてきたことについて、岩井氏は「秘書がやったでは済まされない。小沢氏の周辺には、政治とカネの問題があまりにも多い。国民の前で説明しないのであれば、政治家としての資格はない」と手厳しい。
進退の判断は有権者に仰ぐ
一度議員辞職し、身の潔白を証明してから、政界復帰を目指すべきだとの声には「小沢氏を衆院議員に選んだのは有権者。「辞めろ、と短絡的には言えない」と慎重な見方を示す。
政治評論家の小林吉弥氏も、小沢氏の進退について「自分を無罪と信じる小沢氏が辞めるはずがない。一般的な倫理観からすれば、議員辞職を求める意見もあるだろうが、次の衆院選で有権者の判断を仰ぐしかない」という。
今後の国会動向については「野田首相も小沢グループを刺激したくないため、野党の国会招致要求には応じないだろう。小沢氏の判決が出るまでは、この問題で政界に大きな動きはない」とみる。
<デスクメモ>
「原発事故の収束と震災からの復旧復興が最優先課題」と誰もが理解している。小沢氏をめぐる裁判の行方が与野党の駆け引き材料に使われ、課題処理に悪影習を与えないように望む。疑惑追及は厳粛に、復興は迅速に取り組むペきだ。言わずもがなのことだが、永田町の常識は世間の非常識だから。 (立)
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK119掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。