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増税は取りあえず先延ばしになったようだが
ソブリンリスクに揺れる欧州債券を多く保有する英だけあってFTは増税に好意的
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/23863?page=3
党税調で演じられる「増税反対」の田舎芝居 民主党が「自民党型」に回帰するわけ
2011.09.28(水)
池田 信夫
復興増税をめぐって民主党税制調査会が紛糾している。9月26日の総会では、藤井裕久会長が所得税などを2013年1月から増税する方針を示して「会長一任」を求めたのに対して、多くの国会議員から異論が噴出して決定が延期された。本稿を書いている時点では、まだ決着がつかない。
こういう光景には「既視感」がある。20年ほど前、NHK特集で「自民党税制調査会」という番組をつくったことがある。当時の山中貞則会長の許可を得て、カメラマンがロッカーの中に隠れて税調の一部始終を隠し撮りし、編集した映像を山中氏にチェックしてもらって放送したのだ。
「ガス抜き」で荒れる民主党税調
放送された番組は当たり障りのない話ばかりだったのだが、私は(担当者ではなかったが)その素材ビデオを見せてもらって驚いた。
報道陣をシャットアウトした総会では、「バカヤロー」とか「話が違うじゃないか!」といった罵声が飛び、灰皿を投げつける議員もいた。山中会長は一言も発しないで、最後に「原案どおり決します」と結論を出す。これを「ガス抜き」という。
今回の民主党税調の光景も、それにそっくりだ。灰皿こそ飛ばないものの、「増税反対」の大合唱で、特に若手の議員が「デフレのとき増税するのはおかしい」とか「無駄の削減が先だ」といった紋切り型の批判を繰り返し、テレビのインタビューにも語気荒く答える。
しかしデフレのとき増税しないというなら、インフレにならなければ永遠に増税しないのか。「無駄の削減」を掲げた行政刷新会議の数千億円の実績を見れば、それが10兆円以上の増税の代わりにならないことは明らかだろう。
こういう議員は、マスコミ向け(というか選挙区向け)に「私は増税に反対した」という芝居をしているのだ。
税調は、役職のない議員が執行部への不満をぶつけるとともに、選挙区で「私は反対したが執行部が増税を強行した」という型をつくる場なのだ。
官僚の脚本で政治家が演技する
もともと党と政府に2つ税調がある自民党の仕組みがおかしいと批判していたのは民主党だった。政権交代とともに党税調は廃止され、「族議員」の巣窟になっていた政務調査会(民主党では政策調査会)も廃止され、政策決定は政府に一元化された。
ところが内閣と政務三役で「政治主導」で決めるはずだった政策が決まらず、他方で役職からはずれた議員の不満が強まった。
そのため政調会も党税調も復活して、党の事前の了解がなければ閣議決定もできない、自民党と同じ方式になった。そればかりではなく、末端の議員の不満を総会でガス抜きする「儀式」まで同じになったのは興味深い。歌舞伎のように「型」通りに進めるのが日本的な意思決定なのだろう。
この背景には、日本独特の政治家と官僚の関係がある。憲法の原則では、国会が立法府で官僚機構はそれを執行する行政機関なのだが、自民党政権では国会に提出される法案の8割以上は「内閣提出法案」、つまり官僚の書いた法案だった。民主党政権は議員立法を禁止したので、国会議員は立法機能を失い、仕事は選挙区の世話しかなくなってしまった。
つまり日本の政治家は、欧米の典型的な民主主義とは違って、国民を代表して立法する仕事ではなく、官僚機構の決めた政策を事後承認する機関にすぎないのだ。
大部分の法案は原案のまま決まるが、税制改正のように利権のからむ法案には多くの政治家が関与して、選挙区に利益誘導しようとする。また増税のように国民に「苦い薬」を飲ませるときは、憎まれ役を引き受けることも政治家の役割だ。
だから政治主導で意思決定を内閣に一元化しようとした民主党の制度設計が失敗し、自民党型に戻ってしまったのは偶然ではない。自民党の方式は長期政権の中で定着したもので、こうした日本の政治家の実態を反映している。
つまり国会は、官僚が書いた脚本で政治家が演技する劇場なのである。
演出家のいない「国会」という劇場
このように政治の建前と実態が大きくかけ離れているのが、日本の政治が混乱する原因である。政治家は官僚の決めた政策を国民に見せる芝居をしているだけだから、首相が誰になっても政策に大きな違いはないので、首相も閣僚も簡単に辞めてしまう。自民党政権が民主党政権に代わっても、大きな変化は起こらない。
それでも自民党が絶対多数だった時代には、与党が敵役、野党が正義の味方という役を演じて、一定の型ができていた。「国会対策費」と称して与党が野党に現金を渡す慣習もあり、増税のような難しい問題については、国会が紛糾したり「強行採決」したりする歌舞伎のような見せ場をつくって国民のストレスを解消した。
ところが1990年代に自民党が分裂して細川政権ができた頃から、こうした芝居の役割が分からなくなってきた。万年野党できれいごとを言う役だった社会党が政権を取ってしまい、安保や自衛隊を容認して自滅した。衆参のねじれが起こって、55年体制の演劇装置がうまく機能しなくなった。与党が憎まれ役を引き受けて増税する演出家がいなくなったため、問題が果てしなく先送りされて財政赤字が積み上がった。
それでもいまだに民主党議員は「増税反対」を叫んで時代錯誤の田舎芝居を続け、執行部も彼らを使って「やむをえず増税する」という型を演じている。
しかし復興増税は序幕にすぎない。この程度の話にこれほど手間取っているようでは、これから必要な消費税の増税や社会保障の削減などの「劇薬」を飲ませるのは無理だろう。
政府債務が900兆円を超えた日本で、増税しないで国債を償還できるはずもない。反対派もそれは認めているが、ただでさえ危ない次の選挙の前に増税したくないというのが本音だろう。
こういう大根役者を一掃して、脚本から演技まで指導できる強力な演出家が出てこない限り、日本の政治の混迷は続く。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/23833
震災復興のために増税に動く日本政府
2011.09.28(水)
Financial Times
(2011年9月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
米国と英国で最高税率を巡る議論が白熱する中、日本の当局は異なるアプローチを採用しているようだ。密かに富裕層からカネを搾り取るのだ。
日本の高額所得者は既に、所得税の最高限界税率が50%に上っている。英国の保守党議員の多くが断固反対する水準だ。だが、日本の政府関係者は3月11日の津波で壊滅的な被害を受けた被災地の復興をまかなうために、富裕層に臨時増税を課そうとしている。
この計画は今後も政治的な障害にぶつかるとはいえ、日本の政策当局者たちは少なくとも、最富裕層への増税案を巡ってバラク・オバマ米大統領に浴びせられている「階級闘争」の批判を免れている。
密かな金持ち増税
日本の復興税に備わっている再分配の要素は、但し書きの中にしっかり埋め込まれている。政府は所得税について本来の税率に一律5.5%を上乗せすることを提案したが、低所得者層の標準的な納税額を減らす税控除は、本当に負担するのは富裕層だということを意味している。
政府税制調査会の試算によれば、夫婦と子供2人の世帯で働き手が1人、年収が500万円(中央値に近い水準)の場合、5.5%の税率上乗せによる負担増は年間4300円にしかならない。だが、同じような家族構成で年収が1000万円だと負担増が3万6700円になり、年収1億円の世帯は追加で184万円払わなければならないという。
臨時増税は、日本の富裕層の税率がここ数十年間低下してきた流れにとって、小さいながらも潜在的に重要な転換点となるわけだ。
このような転換は意外ではないはずだ。日本人はかつて「中流階級国家」を築いたことを誇ったが、平均賃金の低下と臨時・契約雇用へのシフトは、「終身雇用」のサラリーマンという戦後の夢を概ね打ち砕いてしまった。
所得格差に対する懸念は、2009年に中道左派の民主党が政権を取る一因となった。主だった政治論争は、金持ちを甘やかすことで「富の創造者」を増やす方法ではなく、いかにして「圧迫される中流階級」の苦労を軽減するかに終始している。
日本の最富裕層は相応の税金を払っていないと言う人もいる。こうした見方は、2009年に当時首相だった鳩山由紀夫氏が6年間にわたって遺産相続した母親からもらった10億円以上のお金について必要な税金を払っていなかったことが明らかになって一気に広まった。
鳩山氏は未払いだった数億円の税金を納付したが、寛大な当局は、課税時効が成立していたために納付金の一部を還付した。
いずれにせよ増税は不可避
裕福な納税者は、臨時増税についてあまり騒ぎ過ぎない方が賢明だろう。何しろ、国内総生産(GDP)の17%相当しか徴収しない税制(先進国では最低水準に数えられる)にとっては、復興増税など微調整に過ぎないのだ。
3月11日の大震災に直面して冷静な態度を示し、世界中の称賛を集めた東北の被災地住民の苦しみを和らげるための増税に反対することは、悪趣味に見える。
富裕層の増税を支持する最善の議論の1つは、それにより、すべての所得階層が運命をともにしていることへの国民の信頼感が高まる可能性があるということだ。結局のところ、日本はまだ幸いにして、米国の一部都市を台無しにしているような犯罪が多発する立ち入り禁止地域や今夏英国各地に広がった暴動などがない国だ。
野田佳彦首相は今月、中流階級からこぼれ落ちる人々の「あきらめはやがて失望に、そして怒りに変わり、 日本社会の安定が根底から崩れかねない」と述べ、社会の安寧が保証されているわけではないことを示唆した。
最高税率を払っている納税者の多くはきっとまだ、弱含みの景気回復への懸念から臨時増税が少なくとも先送りされることを期待しているだろう。だが、日本の悲惨な財政動向は、全般的な増税がほぼ避けられないことを意味している。今回の増税計画は、富裕層により多くの税金を払わせようとする最後の試みにはならない。
By Mure Dickie in Tokyo
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