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9月24日(土) 早く普天間基地を辺野古に押し付けろという圧力の数々
野田首相は、訪米した機会にオバマ米大統領と会談しました。そこでは、オバマさんから「早く普天間基地を辺野古に押し付けろ」という強力な圧力を受けたようです。
野田首相は21日午後、米ニューヨークの国連本部でオバマ米大統領と初めての会談を行い、日米同盟を深化させていくことで一致しました。大統領は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設について、具体的な結果を出すよう野田首相に要求し、首相は同県名護市辺野古に代替施設を建設する日米合意の早期の履行を迫られたと報道されています。
会談時間は約35分間だったそうです。首相は会談で、「日米同盟が日本外交の基軸との信念は、震災をめぐる米国の多大な協力で揺るぎのない信念となった」と伝え、大統領は「同盟関係を21世紀に適したものとして近代化していきたい」と語りました。
普天間問題について、首相は「引き続き日米合意に従って協力を進めたい。沖縄の人々の理解を得るように全力を尽くしたい」と強調し、大統領は「これからの進展に期待をしている」と語りました。会談に同席したキャンベル米国務次官補は終了後、記者団に「両国は結果を求める時期が近づいている、と理解している。その点は大統領が非常に明確にした」と説明しています。
ここで協調されている「結果」とは何でしょうか。それは、普天間飛行場を名護市辺野古に移設するという「日米合意」を履行することです。
つまり、名護市や沖縄県などの地元が反対していても、代替施設の建設を強行しなさいということです。野田さんは、アメリカに出かけていって、辺野古への基地の押しつけを、オバマ大統領に押し付けられたというわけです。
「押し付け」の「押し付け」です。これが「自由と民主主義」に基づく国のトップ同士の話し合いだというのですから、呆れてしまいます。
この日米会談に先立って、沖縄の仲井真知事はアメリカで講演し、県内全41市町村長が反対や異論を表明していることを挙げ、「辺野古でつくるのは大変時間がかかる」として、「大勢の人が反対している中で強行しようとすれば、逆に日米安保体制にも悪い影響が出る。県民と米軍との関係も悪化すると予想している」と強調しつつ、「移設先は沖縄県外の日本の別の地域に探した方が断然早い」と述べました。
つまり、「辺野古は無理だ。日本の別の地域を探した方が早い」と言ったのです。県外移設こそ現実的だというのが、仲井真さんの主張です。
しかし、県外移設を受け入れるところはないということで、政府は検討すらしようとしていません。反対があるから県外移設はできないという一方で、反対があっても県内移設なら強行できるというわけです。何というダブル・スタンダードでしょうか。
沖縄県民の立場に立つのであれば、このような押し付け論には賛成できないはずです。しかし、日本のマスコミの多くは、沖縄よりアメリカ政府の立場に立っているようです。
各紙の昨日の「社説」では、『産経新聞』は「普天間移設を軸とする在日米軍再編こそが同盟近代化のカギを握る」として、「日米がともに守る同盟近代化の道を真剣に検討してもらいたい」と書き、『読売新聞』は「普天間飛行場の辺野古移設が実現しなければ、危険な現状が固定化するし、在沖縄海兵隊のグアム移転にも悪影響が出る」として、「政府は、移設の前進へ沖縄県との協議を加速させなければならない」と主張しています。
もっと露骨なのは、『日経新聞』です。「もはや普天間問題の先送りは限界に近い」として、「野田政権はこうした認識に立ち、進展に向けた目に見える行動に出てほしい」と圧力をかけています。
これに対して、『東京新聞』は、「国外・県外移設を求める県民の声はなぜ届かないのか」として、「辺野古への移設は、名護市をはじめ、公有水面埋め立ての許可権を持つ仲井真弘多県知事が反対しており、実現はかなり難しいのが実情だ。首脳同士の初顔合わせは厳しい現状を直接伝える好機だったが、首相は逸してしまった」と批判しています。沖縄の声をちゃんと伝えるべきだったというのは、当然の指摘でしょう。
不思議なのは、このような当たり前の意見が、どうして他の全国紙の社説として掲載されないのかということです。日本の新聞は、『東京新聞』だけなのでしょうか。
仲井真沖縄県知事の講演については、他の全国紙も報じていました。それを無視してアメリカの要求に押し切られて結ばれた「日米合意」を実施するべきだというのでは、まるでアメリカの新聞ではありませんか。
『東京新聞』は、「国外・県外移設を求める県民の声はなぜ届かないのか」と、問うています。それは、ある意味では当然です。
日本の政府・与党の誰も、その声を届けようとしていないからです。今回の野田首相の発言や先の前原民主党政調会長の講演を見てごらんなさい。
2人とも、「国外・県外移設を求める県民の声」など一顧だにせず、辺野古移設を約束した「日米合意」の忠実な履行を明言していたではありませんか。それが実現できるというはっきりとした見通しなど全くないというのに……。
こうして、一方では履行できる可能性のない「空手形」を乱発し、他方ではそれを信じて早くやれと圧力をかける。しかし、やはりそれは実行できず、しびれを切らしたアメリカは「もっと札束を厚くして力一杯ひっぱたけ。そうすれば言うことを聞くだろう」と圧力をかけるというのが、これまでの経過でした。
今回もやはり、その繰り返しです。野田内閣は、「沖縄の理解」を得るために、もっと使い勝手の良い「沖縄振興一括交付金」を新設すると言います。
お金の力によって現地の反対を切り崩そうというのは、原発推進のための電源3法交付金と同じやり方です。一体、いつまでこのようなやり方を繰り返そうというのでしょうか。
地元の反対を無視した強権的な手段やお金による「買収」では、真の問題解決にはなりません。こんなやり方を繰り返しているうちに失われるのは政府や政治への信頼であり、「日米同盟」の基盤となるべき両国民の信頼関係であるということに、どうして気がつかないのでしょうか。
と、ここまで書いたときに、驚くべきニュースが飛び込んできました。野田首相はニューヨークで同行記者団と懇談し、首脳会談でオバマ大統領が、普天間問題に「結果を出す時がきている」と強く迫ったとされることを否定したというのです。野田さんは、オバマ大統領からは「進展を期待している」と言われただけだと強調したといいます。
これが本当だとすれば、先に紹介した各社の社説は一体何だったのでしょうか。それらが前提としていたオバマ大統領の発言はなかったというのですから……。
どちらかが、嘘をついているということになります。野田首相か、それを「取材」したはずのマスコミか。
野田さんが嘘をついているとすれば、アメリカの圧力などなかった、日米関係はそれほど緊迫したものになっていないと言いたいがためでしょう。これが嘘なら、国民を欺いたことになります。
マスコミが嘘をついているとすれば、アメリカは我慢の限界だから、早く言うことを聞いて普天間の解決を急ぐべきだという世論を生み出すためでしょう。これが嘘なら、許されざる情報操作です。
いずれにしても、日本の外交がアメリカに振り回されているという点では変わりません。アメリカの顔色をうかがいながら、それに一喜一憂するという外交のあり方自体に問題があると言うべきでしょう。
今回もまた、日本が陥っている対米従属の深さが暴露されたように思われます。アメリカの意向に左右されず、沖縄県民の要求に基づいて普天間問題が解決できるようになるのはいつのことでしょうか。
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