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どじょう首相“ダンマリ”決め込むワケ…泥にもぐり増税一直線
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110924/plt1109241508003-n1.htm
2011.09.24 夕刊フジ
野田佳彦首相(54)が、首相官邸記者らによる“ぶら下がり会見”から逃げ続けている。訪米中の23日午後(日本時間24日早朝)、ニューヨークでの内外記者会見には応じたものの、街頭演説で鍛えたという弁舌は、ほとんど封印。どじょうが泥の中に潜っているかのような沈黙を続けている。「首相は財務省主導で『不況下の増税』に突き進んでおり、揚げ足を取られないように発言を封じられている」(自民党閣僚経験者)との見方もある。恩師・細川護煕元首相は増税に失敗したが、これを反面教師として「無言首相」を貫くつもりなのか。
就任直後の今月2日以来、3週間ぶりの会見となった内外記者会見は、米軍普天間飛行場移設問題などの外交課題が中心。前日夜、野田首相はカメラを回さない記者懇談には応じたが、増税問題などについて丁々発止のやり取りを披露する気はなさそうだ。
野田首相が逃げているぶら下がり会見は、小泉純一郎元首相時代に導入された。2002年に首相官邸が新しくなり、警備体制が強化され、それまで番記者が官邸内で行っていたぶら下がり取材をやめる代わりに、「1日2回のぶら下がり会見」が慣例となった。
09年の政権交代直後、鳩山由紀夫元首相の周辺では「言葉尻を捉えられる」「この機会に廃止すべきだ」という意見もあったが、鳩山氏は「国民に語りかけたい」と続行。あの菅直人前首相でさえも東日本大震災までは毎日続けていたが、野田首相は最初から一切応じていない。
この理由について、自民党閣僚経験者は「財務省のみこしに乗って、国民に抵抗感が強い『増税路線』を突き進んでいるからだろう。政界の恩師である細川元首相の轍を踏まないようにしているのではないか」といい、こう続ける。
「細川氏は1994年1月末、国民が期待した政治改革関連法案を成立させて、支持率80%という人気絶頂にあった。ところが、成立から4日後の深夜、国民福祉税(事実上の消費税増税)構想を突然発表して、野党だけでなく与党内や国民からも猛反発を浴びた。2日後に撤回するが、これが政権の寿命を一気に縮めた。『災いは口より出でて身を破る』。野田首相は当時、日本新党で初当選したばかりで『増税の恐ろしさ』『政治家の言葉の怖さ』を身に染みて感じたはず。加えて、財務省が首相発言をコントロールしている気配もある」
日本経済が、長引くデフレと超円高、大震災、原発事故といった四重苦にあえぐなか、野田首相は国民生活を直撃する「増税路線」を邁進している。被災地の復興費用は5年で19兆円と見込まれており、これを増税でまかなう考えだ。
だが、何にいくら使うかという明細書は出されておらず、民間資金の活用策もまったく議論されていない。このため、与党内からも「こんな時に大増税に踏み切るのは狂気の沙汰だ」という反対論が吹き荒れている。
そもそも野田首相自身、かつては「不況下の増税」に反対していた。
野田首相は09年8月の政権交代まで、夕刊フジで連載コラム「俺がやらねば」を担当していたが、09年1月29日号で、リーマン・ショック中に増税を模索していた麻生政権に対して、「これだけの世界同時不況の中で、(消費税)増税の話をしている。そんな国は世界唯一である」と書き、増税に反対していたのだ。
現在、ギリシャ国債のデフォルト観測が強まっており、株式市場では「リーマン・ショック以上の経済危機がくる」とささやかれている。野田首相の持論通りならば、とても増税している場合ではない。
ここは、はっきりと自分の言葉で意思を表明してもらいたいところだが、野田首相や閣僚らの「無言」ぶりは増税だけでなく外交分野でも顕著だ。
韓国は、日本固有の領土である竹島のヘリポートを大規模改修して基地化を進め、ソウルの日本大使館前にいわゆる「従軍慰安婦」の記念碑建立を許可した。ロシアは今月初め、空軍爆撃機を日本1周させたほか、宗谷海峡で海軍艦艇24隻を通過させるなど挑発行為を続けている。
ところが、野田首相は何もメッセージを発していない。21日にニューヨークで行われた李明博大統領との日韓首脳会談でも、竹島問題や記念碑問題には触れなかった。玄葉光一郎外相も、同日の日露外相会談でロシア軍の挑発に抗議も懸念表明もしなかった。
外交で「沈黙は金」にはならない。「追認」「従属」「臆病」などとみなされるのが普通だ。
話を増税に戻そう。増税の名目は復興だが、増税以外に復興財源がないわけではない。
日本は世界屈指の債権国であり、国は莫大な金融資産を抱えている。みんなの党の渡辺喜美代表らは、(1)震災国債の日銀引き受け(20兆円以上)(2)国債整理基金特別会計の余剰金活用(10兆円)(3)労働保険特別会計の雇用勘定の一部活用(5兆円)などを指摘している。
それでも増税するというなら、歳出削減をセットにするべきだ。野田首相誕生に尽力したとされる細川氏も、産経新聞の取材に対し、野田首相の増税路線を支持したうえで、「国民福祉税の轍を踏まないためには、歳出削減をかなり目に見える形で思い切ってやらないと納得を得られない」と助言したと語っている。ところが、野田政権が歳出削減をする気配は見えない。
野田内閣発足直前、事業仕分けで凍結されていた総事業費105億円の朝霞国家公務員宿舎(埼玉県朝霞市)の建設工事が再開された。震災後にカットされていた国会議員の歳費も来月から満額支給になる。これで、政治や行政が身を削っていると言えるだろうか。
野田首相が無言を通せば通すほど、疑念や不満は募るのだ。
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