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http://www.okinawatimes.co.jp/article/2011-09-22_23767/
[普天間問題]「構造的差別」断ち切れ
2011年9月22日 09時14分
ニューヨークでクリントン国務長官と会談した玄葉光一郎外相は「推進」と言い、ワシントンで講演した地元沖縄の仲井真弘多知事は「反対」を主張する。実に「異様な光景」だ。
米軍普天間飛行場の移設問題で仲井真知事は、県議会与野党、市町村長がこぞって辺野古移設に反対していることを強調した。
県知事がわざわざ米国に出向き、「沖縄の総意」を伝えたにもかかわらず、日本の外務大臣は、同じ日に米国で、沖縄の総意に反する約束をしたのである。
沖縄側から見ると、「どうぞ使ってください」と卑屈な態度で沖縄を米国に差し出し、ご機嫌をとっている、ように映る。
地元沖縄の切実な声を米国に伝え、県外移設に向けて努力する。それが日本政府のとるべき当然の態度であるはずなのに、当然のことさえ主張することができない。
沖縄の米軍基地は、憲法が適用されない米軍政下に、米軍が思うままに建設したものである。1950年代には、講和条約によって独立を回復した本土から、米海兵隊が沖縄に移駐した。
復帰の際には、那覇空港に配備されていた米軍の対潜哨戒機の本土配備計画が時の政権の反対でつぶれ、嘉手納基地に移駐された。そして今度は、「本土には受け入れるところがない」との理由で普天間飛行場の辺野古移設を強行する。
沖縄だけがいつまでも基地の過重な負担を背負い続ける構図は「構造的差別」そのものだ。
負担軽減とは、基地をめぐる「構造的差別」をきっぱり断ち切ることに他ならない。
それは十分、可能である。
それを実現することが日米関係を強固なものにするのであって、逆ではない。辺野古移設を強行すれば日米関係はずたずたになるだろう。
残念ながら民主党政権からは、普天間問題に対する「解決意欲」も「解決能力」も、伝わってこない。全国メディアを巧妙に利用し、「辺野古移設が実現しなければ普天間が固定化するぞ」と脅しをかける。嘆かわしい限りだ。
普天間を県外に移設しても、ハワイ、グアムを拠点にしたローテーション展開や、空軍、海軍の打撃力、即応力が維持されていれば、致命的な抑止力低下にはならない。
「海兵隊は沖縄でなければならない」という主張に対しては、誰が、どういう背景の下で、それを主張しているかを見極める必要がある。
居心地がいいからという理由。組織の既得権防衛や自己保存本能。問題の全国化を恐れる政権党の政治的判断。建設利権がらみの話。たいていの場合、それらがすべて絡み合っていると言っていい。
「沖縄という特定の地域を犠牲にした安全保障」をいつまでも続けることは、著しく公平・公正さに欠ける。
巨額の国費は、「構造的差別」を固定化するためではなく、安定した日米関係を築くために支出すべきである。国民と国会が声を上げれば、政権を動かすことは可能だ。
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