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この20日、滞米中の仲井真知事は、地元の同意を得られない普天間移設は、日米両国の友好にとって決してプラスにならないとの趣旨の発言をした。当に正論である。鳩山元首相の言った「最低でも県外。できれば国外」。この旗を、日本のマスコミと外務官僚は見殺し、国民をミスリードした。だが、これは決して間違ってはいない。沖縄県民は、第二の孫寧温の出現を望んでいるだろう。もちろん筆者もだ。
国連総会に出席するため玄葉外相がニューヨークに行き、19日クリントン国務長官と会談し、米軍普天間飛行場移設を着実に実施する方針を確認したそうだ。同じく訪米中の仲井真沖縄県知事は、19日ワシントン市内の大学で講演し、普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸部(=辺野古)に移設するとした日米合意について、「大勢の人が反対しているなか、現実に進めるのは無理」と述べた。
玄葉・クリントン会談で確認した方針とは、仲井真知事が「現実に進めるのは無理」と述べたキャンプ・シュワブ沿岸部への移設。この日米両国政府の方針に、沖縄県知事が米国の首都ワシントンで反対しているのだから、冷静なアメリカ人なら、日米合意の実施は無理だと感じるし、当然理解するだろう。次期米国防副長官に指名されたアシュトン・カーター国防次官が、そう感じたか一人かどうかは知らない。
9月15日の琉球新報社説によると、普天間の嘉手納統合や、在沖縄海兵隊のグアム移設計画見直しを求めるレビン上院軍事委員長の質問に対し、アシュトン・カーター国防次官が、普天間飛行場の名護市辺野古移設計画などの再検討を示唆したそうだ。玄葉外相は当然この情報を知っていたはずだ。それにも拘わらず、移設を着実に実施する方針を確認するなど、どこの国の外相かと言いたい。
処で、沖縄県石垣市出身の作家・池上永一氏の著「テンペスト」が、NHKBS時代劇で10回にわたり放映され、その最終回は先週18日日曜であった。原作は、19世紀の琉球王朝を舞台にした一大ロマン。これが史実にどこまで近いのかどうかは、浅学にして承知しない。だが、清と薩摩の二重支配下にあった当時の琉球王朝の苦悩の姿が描かれており、それが今日の沖縄に通じるものだと分かる。
原作は「野性時代」07年1月号〜08年6月号に連載された。96年4月の橋本・モンデール合意によれば、普天間は沖縄県民に返還されるべき時期であった。それにも拘わらず、進展を見ない基地返還の現実。池上氏がそれをどう捉えていたかは知らない。だが、英国船漂着事件での対応と、国交と那覇開港を求める米国ペリー提督との交渉を描いた中に、日本外交に対する作家の痛烈なアイロニーを感じるのだ。
琉球に難破して漂着した英国籍のインディアン・オーク号の船員は、「原住民はいつ我々を襲うかわからない」と言って警戒する。その船員たちをもてなす琉球の人々。その船員を巡って、阿片戦争で敗れた清国は処刑せよと迫り、海外の情報を得たい薩摩藩は奴隷として引き渡せという。この外圧に対し主人公孫寧温(そんねいおん)は主権を主張し、朝貢国同士の漂流民協定に準じて、琉球の海事法に則り処置する。
朝貢国同士の協定となると、清国は反対できないし、鎖国の薩摩藩は口を挟めない。孫寧温は、琉球王朝の海事法に基づいて、難破船に見合う新造船を無償で与え、航海に必要な食料や水、物資についても無償で与えた。この措置に対し、ビクトリア女王は主人公に感謝状とナイトの称号を与えた。史実かどうかは知らないが、主人公の外交能力が、大英帝国に海洋王国琉球の存在を認めさせた事件となる。
圧巻は、米国海軍ペリー提督との交渉である。武力を持たない琉球王府が、大艦隊の武力を全面に押し出して国交を求めてきたペリー提督と対峙する。主人公は、「彼ら(米国)がほしいのは太平洋航路の確保と補給基地」と読み、日本が開港すれば必要がなくなる石炭補給基地を琉球王府の経費で準備すると仮約束して、ペリー提督を日本に追いやってしまう。まさに外交交渉の真骨頂を描いている。
沖縄県人の作者は、沖縄の現実を前にして日本外交に失望しているのだろう。作者は主人公孫寧温の同僚・朝薫(ちょうくん)をして、「王府は米国の主権を侵害するような発想をそもそもしない。なぜなら友好的な態度とは相手国の主権を尊重することだからだ」と言わせる。今の米国は、日本の主権、特に沖縄県人の主権を尊重しているだろうか。作者は琉球王府の知恵と主権を守る気概を見習えと言っているようだ。
http://www.olive-x.com/news_30/newsdisp.php?n=114248
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