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【永田町黒革の手帳】民主“死闘第2幕”始まる!野田が仕掛けた“地雷”
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110920/plt1109201609003-n1.htm
2011.09.20 夕刊フジ
民主党代表選で「ノーサイド」を宣言し、「挙党一致」を掲げて発足した野田内閣は、世論の高い支持率を得ている。国内では復興増税をめぐる議論が過熱しつつあるが、野田佳彦首相(54)は前任の2首相とは違った政治的安定感を演出し、増税の流れを一気に進めたい考えだ。随所にしたたかな面を見せる野田首相は、いつ「増税反対」などで反旗を翻すか分からない小沢一郎元代表(69)を牽制するため、閣僚・党役員人事でも巧妙な地雷を仕掛けていた。政治ジャーナリストの宇田川敬介氏が、永田町の真相に迫る。
「野田首相はあなどれない。相当なタヌキだ。あの低姿勢で『正心誠意』『挙党一致』などと言いながら、小沢を押さえ込む地雷をしっかり埋め込んでいる。山岡賢次国家公安委員長(68)がそれだ。わが党も風貌に惑わされてはならない」
自民党閣僚経験者はこう語る。「地雷」の意味については後述するとして、野田政権は、鉢呂義雄前経産相(63)の舌禍辞任と会期延長問題でやや迷走しながらも、60%以上という高支持率に支えられて、なんとか離陸した感がある。
ただ、被災地復興にかかわる増税論議は難航必至だ。
先週16日、政府税制調査会が臨時増税案をまとめ、民主党の税制調査会=藤井裕久会長(79)=も同日、初めて総会を開いたが、「財務省の傀儡」とされる野田首相が「まず、増税ありき」という姿勢のためか、出席者からは批判が続出した。
「増税を前提に議論するのはおかしい。税外収入だけでやろうという選択肢はないのか。党は増税はないという立場で政府と交渉してほしい」(宮崎岳志衆院議員、41)
「デフレ時の安易な増税は景気を冷やすだけだ」(大谷啓衆院議員、40)
「増税は最後の手段だ。今、増税したら被災地は死んでしまう」(斎藤恭紀衆院議員、42)
その後も、政府保有株売却や公務員人件費削減でまかなうべきとの主張が相次ぎ、結局、増税賛成論は出なかった。
日本経済は、長引くデフレと超円高、大震災、原発事故といった四重苦にあえぎ、瀕死の状態にある。「こんな時に、大増税に踏み切るのは狂気の沙汰だ」というのが増税反対・慎重派の主張で、党内の小沢グループや中間派、野党陣営にもこれに同調する声は多い。
加えて、政府は復興費用を5年で19兆円と見込むが、何にいくら使うかという明細書は出されておらず、民間資金の活用策もまったく議論されていない。
野田首相は国民の批判をかわすため、日本たばこ産業(JT)や東京地下鉄(東京メトロ)などの政府保有株の売却や、財政投融資特別会計の剰余金の活用などで5兆円を捻出する意向を示しているが、これも規模が小さすぎる。
一方、みんなの党の渡辺喜美代表(59)らは、(1)震災国債の日銀引き受け(20兆円以上)(2)国債整理基金特別会計の余剰金活用(10兆円)(3)労働保険特別会計の雇用勘定の一部活用(5兆円)など、「増税以外に、復興財源はたくさんある」と主張している。
小沢氏の主張も増税反対だ。現在の小沢氏は、民主党代表選で敗れて静かにしているが、今月29日に行われる陸山会事件の判決公判で元秘書3人に無罪判決でも出れば、「増税反対」などの政策論を前面に押し出して反転攻勢をかけてくる可能性は高い。そこで、野田首相の仕掛けた「地雷=山岡氏入閣」が効いてくるのだ。
山岡氏をめぐるスキャンダルは枚挙にいとまがない。ネットワーク商法の議連会長として恩恵を受けていたことや、革マル派との接点、韓国大使館との親密な関係、過去に姓を何度か変えたことなど、そのつど週刊誌の主役になってきた。「身体検査を厳正に行っていれば、こんな人事は普通はしない」(自民党国対筋)という異例の入閣なのだ。
野田首相にとっては、大きなアキレス腱になりかねない人事だが、永田町的思考でいうと、デメリットばかりではない。民主党ベテラン秘書はいう。
「山岡氏が国家公安委員長でいるかぎり、警察も検察も簡単には動けない。野田首相としては、山岡氏を安全地帯に逃したことになる。山岡氏はとても計算高い。初当選は自民党福田派だったが、衆院にくら替えするときに竹下派に移った。感傷に浸ることなく、平気で変わることができる。野田首相は、自分がが示す条件次第では、山岡氏はいざというときに小沢氏ではなく、自分に協力すると踏んだのだろう」
もちろん、野田首相は、小沢氏と表立って対立するような下手は打たない。増税論議などで党内が混乱しかけたときに、山岡氏に「増税やむなし」を公言させればいい。「小沢グループから入閣した山岡氏が賛成した」となれば、党内融和を崩すことなく、小沢氏の主張を潰すことができるのだ。
捜査機関を抑えることができても、マスコミが山岡氏のスキャンダルを追及した場合はどうなのか。前出のベテラン秘書は続ける。
「山岡氏は、小沢グループ代表での入閣。スキャンダルは、小沢氏やグループへの印象を悪化させる。野田首相は『挙党態勢を築こうとした』『申し訳ない』と低姿勢に徹すればいい。マスコミや国民の視線を山岡氏に集中させたスキに、どじょうのようにヌルリと増税などの問題法案を通すことも可能だ。最終的に『小沢潰し』につなげることもできる」
当然、こんなシナリオを野田首相が1人で考えられるはずがない。「脱小沢」路線で党内混乱を招いて失敗した菅前政権の中枢メンバー、仙谷由人政調会長代行(65)らが、「融和」路線に手口を変え、巧妙に小沢氏を潰していく戦略に切り替えたとみるのが妥当だろう。
党内ナンバー2の幹事長に、小沢氏に近い輿石東参院議員会長(75)を兼務させたのも、単に「挙党一致」という理由だけでなく、「輿石氏を要職につけて、小沢氏から引きはがす思惑のようだ。小沢氏の孤立化を狙った人事だ」(同)と分析する。
その証拠というべきか、野田首相は当初、政権の根幹といえる政策立案を、「反小沢」の急先鋒だった前原誠司政調会長(49)と仙谷氏のコンビに任せ、それを内閣で受ける国家戦略相には、仙谷氏の片腕である古川元久氏(45)を据えた。
これには党内で不満が噴出。野田首相は先週12日、輿石氏らと相談したうえで、前原氏に事実上付与していた予算案や重要法案などの事前審査権について、「政府・民主三役会議」の承認を条件とする方針に変更した。仙谷氏は同会議から外された。
野田内閣の命運は、小沢氏の堪忍袋の緒がいつ切れ、「壊し屋」の本領を発揮するか、それまでに仙谷氏らがどれだけ、小沢氏の政治力を削ぐことができるかにかかっている。小沢−仙谷の死闘第2幕が始まっているのだ。
【うだがわ・けいすけ】1969年生まれ。株式会社マイカル勤務を経て、現在、両院記者会所属。国会新聞社編集次長に就任。幅広い人脈を生かした取材力と独自の切り口での解説には定評がある。著書に「民主党の闇」(成甲書房)など。
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