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検事調書不採用で小沢一郎元秘書ら3名は「陸山会」裁判で「無罪確実」!?
http://news.livedoor.com/article/detail/5872376/
2011年09月16日22時44分 上脇博之 ある憲法研究者の情報発信の場
はじめに
以下で書く主要な内容は、当初7月上旬に投稿するつもりで、すでに書いていました。
しかし、東日本大震災の復旧・復興が進まず、東京電力福島原発事故が収束しそうにないので、それを投稿する意欲がわきませんでした。
私が連載執筆している雑誌『ねっとわーく京都』273号(2011年10月号)でも、なかなか書いてこなかったのですが、先月脱稿した「政治とカネ連載24 「陸山会」裁判(1) 検事調書一部不採用で元秘書3名は「無罪確実」!?」(67−70頁)でやっと書いたのですが、このブログでは、相変わらず投稿してきませんでした。
今月(2011年9月)26日午後には、「陸山会」裁判で東京地裁が判決を下します。
判決まで10日に迫っています。
そこで、思い切ってブログでも投稿することにしました。
(1)小沢一郎民主党元代表の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐり、小沢氏の元秘書3人(元公設第1秘書の大久保隆規、衆議院議員の石川知裕、元私設秘書の池田光智の各氏)は、政治資金規正法違反(虚偽記載)罪に問われ、昨年(2010年)2月4日に起訴http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51332745.html?blog_id=2778940されました。
そのうち、大久保氏については、その前の2009年3月24日に「西松建設」違法献金事件で起訴http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51118764.html?blog_id=2778940されています(冒頭陳述は2009年12月18日)から追起訴でした。
なお、2007年分については追起訴ですが、西松建設事件と重複する2004、2005年分については訴因変更されています。
東京地裁は、昨年5月に訴因変更を認めています。
毎日新聞 2010年5月7日 東京夕刊
陸山会事件:大久保元秘書公判「訴因変更」で立ち往生 弁護側「公判前整理」盾に異議
小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」を巡る事件で政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた元公設第1秘書、大久保隆規被告(48)の公判が4カ月近く再開されず「立ち往生」している。大久保被告は先に西松建設の違法献金事件で起訴され公判中で、検察側はその起訴内容に陸山会事件を加えるよう「訴因変更」を求めたが、弁護側の異議申し立てを受けた東京地裁が許可を見合わせているためだ。異議申し立ての根拠は、皮肉にも迅速な裁判のため導入された「公判前整理手続き」。法律のプロ同士による水面下の攻防が続く。【伊藤直孝】
大久保被告は、陸山会事件に先立つ昨年3月、西松建設を巡る違法献金事件で逮捕・起訴された。起訴内容は03〜06年、同社からの献金をダミーの政治団体からと偽って陸山会の政治資金収支報告書に記載した政治資金規正法違反。この事件では、検察側と弁護側が事前に争点や証拠を絞り込む公判前整理手続きを9回重ねて昨年12月18日に初公判、今年1月13日に第2回公判が開かれ、当時は今春にも判決が言い渡されると見込まれていた。
ところが特捜部は1月16日、陸山会の07年分の収支報告書の支出を4億円過少記載したとして大久保被告を再逮捕。04、05年分の別の虚偽記載も含めて立件し、2月4日に東京地裁に両年分の訴因変更(07年分のみ追起訴)を請求した。訴因変更請求があった場合、裁判所はすぐに許可するケースが多い。だが、東京地裁は今も訴因変更を認めていない。
ネックとみられるのが公判前整理手続き。ある業務上過失致死事件の判決で東京高裁は08年11月、「公判前整理手続き後は、争点整理と審理計画が策定された趣旨を無視した訴因変更は許されない」との判断を示した。この高裁判例を念頭に、大久保被告の弁護側は「公判前整理手続きで争点を絞り込んだのに、検察はだまし討ちのように訴因変更請求をした」と主張しているとみられる。
これに対し、検察側は「やむを得ない措置」と反論。検察側、弁護側双方とも一歩も引く構えを見せていないという。
「公判が長引き迷惑をかける」。大久保被告は3月30日付で公設秘書と小沢氏の事務所を辞職した際、周囲にそう説明したという。
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■ことば
◇訴因変更
起訴状に記載された犯罪の具体的内容(訴因)を変更する手続き。事実関係が大きく変わらない範囲で、適用罪名や記載内容を修正する場合に検察官が請求する。裁判所が検察官に変更を命じることもある。起訴内容と全く別の内容を追加する場合は同じ罪名でも訴因変更はできず、追起訴が必要になる。政治資金収支報告書の虚偽記載罪は、虚偽の内容が含まれる報告書を提出することで成立するため、検察側は同一の報告書の別の虚偽記載を立件した場合には追起訴することができず、訴因変更することにした。
時事通信社(2010/05/21-18:21)
大久保元秘書の訴因変更を決定=陸山会事件を追加−東京地裁
小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で起訴された元公設第1秘書大久保隆規被告(48)について、東京地裁は21日、既に公判中だった西松建設の違法献金事件の起訴内容に、陸山会事件を加える「訴因変更」を認める決定をした。検察側の請求に対し、弁護側が異議申し立てをしていた。
大久保被告は昨年3月、西松建設事件で、2003〜06年に同社から受けた計3500万円の献金を、ダミー団体からと偽って陸山会の政治資金収支報告書に記入したとして起訴された。
昨年12月に初公判が開かれ公判中だったが、特捜部は今年1月16日、陸山会の土地購入をめぐって同報告書に虚偽記載した容疑で大久保被告を逮捕。西松建設事件と重複する04、05年分について、東京地裁に訴因変更を請求した。
これに対し弁護側は、既に公判前整理手続きで争点整理を終えており、起訴内容の変更は許されないと主張していた。
要するに、被告人の石川氏と池田氏は、土地取引をめぐる虚偽記載事件でそれぞれ起訴されているのですが、被告人の大久保氏は西松建設違法献金事件と土地取引をめぐる虚偽記載事件で起訴されているのです。
(2)検察は、先々月(今年7月)20日、被告人・大久保氏に禁錮3年6月を、被告人・石川氏に禁錮2年を、被告人・池田氏に禁錮1年を、それぞれ求刑しました。
2011/07/20 15:03 【共同通信】
陸山会事件で元秘書3人に求刑 禁錮3年6月〜1年
小沢一郎民主党元代表の資金管理団体「陸山会」の収支報告書虚偽記入事件で政治資金規正法違反罪に問われた元秘書3人の第16回公判が20日、東京地裁(登石郁朗裁判長)であった。検察側は「虚偽記入をしたのは明らか。法の趣旨を踏みにじった国民に対する背信行為だ」として、元私設秘書の衆院議員石川知裕被告(38)に禁錮2年、元公設第1秘書大久保隆規被告(50)に禁錮3年6月、元私設秘書池田光智被告(33)に禁錮1年を求刑した。
判決は9月26日午後1時半から言い渡される。
(3)先月(8月)22日に最終弁論が行われました。
判決は今月(9月)26日に下される予定です。
東京新聞 2011年8月23日 朝刊
陸山会事件 3元秘書無罪主張、結審
小沢一郎民主党元代表の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐり、政治資金規正法違反(虚偽記入)罪に問われた衆院議員石川知裕被告(38)ら元秘書三人の公判が二十二日、東京地裁(登石郁朗裁判長)で開かれ、弁護側は最終弁論で「虚偽記入の事実はない」と無罪を主張し、結審した。判決は九月二十六日に言い渡される。
検察側が虚偽記入の動機とした中堅ゼネコン「水谷建設」(三重県桑名市)から小沢元代表側への計一億円の裏金提供について、弁護側は「提供したとする元社長らの証言は変遷しており信用できない」と指摘。「検察側の思い込みと想像にすぎず、不明朗な資金授受があったかのごとく社会に印象付けようとした」と批判した。
土地購入の原資となった小沢元代表からの借入金四億円が収支報告書に記載されていないとされる起訴内容について、石川被告側は二〇〇四年分の収支報告書の借入金欄に「四億円」と記載したと主張。検察側はこの記載は同時期に受けた四億円の銀行融資分と指摘したが、石川被告側は「同額の定期預金を担保に融資を受けているため収支総額に変化はなく、記載の必要はないと考えた」とし「小沢元代表からの借入金を隠す意思も動機もなかった」と述べた。
池田光智被告(33)側は〇七年分の収支報告書に小沢元代表への四億円の返済を記載しなかったことについて、「借入金ではなく預かり金なので記載する必要はない」と主張した。
陸山会の会計責任者だった大久保隆規被告(50)側は「収支報告書の作成に一切関与していない」と主張。西松建設からの巨額献金を同社のダミー政治団体からの献金と装って収支報告書に記載したとする起訴内容については、「西松建設からの献金という認識はなかった」と述べた。
(4)「陸山会」事件では、小沢一郎氏本人についても、土地購入事件のうちの一部だけに関し、検察審査会の2度の「起訴相当」議決(2010年4月27日、同年10月4日)http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51385979.html?blog_id=2778940がなされたため、裁判所が指定した弁護士は、今年1月31日、小沢氏を政治資金規制法違反容疑で東京地裁に公判請求しています(初公判は10月の見通し)。
(5)私は、政治的・道義的責任と法的な刑事責任を分け、前者は政治家本人が主権者国民に疑惑を払拭するために説明責任を果たさなければならないが、後者は起訴する側が有罪を立証しなければならないと指摘http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51312692.html?blog_id=2778940したうえで、東京第5検察審査会の2度の「起訴相当」議決要旨の内容については、小沢氏を十分に有罪にできるのかという視点からと、もし刑事裁判で無罪になった場合主権者参加の検察審査会制度が後退するのではないかという危惧などから、厳しい評価をしてきました。
(6)もっとも、その後、元秘書ら3名の刑事裁判の公判で、事実全体の概要が大分明らかになり、検察側はゼネコンからの裏ガネ計1億円の事実も虚偽記載の動機として主張するとの報道もありました(ただし、それが真実でも4億円の主たる原資は不明のままでしょう)。
陸山会事件、水谷建設からの1億円立証へ
読売新聞 9月16日(木)6時30分配信
小沢一郎・民主党前幹事長(68)の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件で起訴された元秘書3人の公判で、東京地検が、中堅ゼネコン「水谷建設」(三重県)から陸山会への1億円の資金提供について立証する方針を固めたことが分かった。
同地検は、陸山会がゼネコンから多額の資金提供を受けていたことが、政治資金収支報告書の虚偽記入につながったと主張する。一方、弁護側は「資金提供は事実無根」などとして、24日から始まる公判前整理手続きで異議を唱えるという。
陸山会の元事務担当者・石川知裕衆院議員(37)らは、同会が2004年に小沢氏からの借入金4億円で東京都世田谷区の土地を購入した事実を04年分の収支報告書に記載しなかったなどとして起訴された。
したがって、元秘書ら3名は言うまでもなく、小沢氏本人についても有罪の可能性は予想していたよりも高いと思ってきました。
(7)ところが、検察側は、いわゆる郵便不正事件(大阪地裁は昨年9月10日に厚生労働省の元局長に対し無罪判決を下した)http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51438210.htmlで証拠改ざんを行っていた検事・前田恒彦受刑者の調書の証拠申請を取り下げました。
時事通信社(2011/01/21-00:46)
大久保元秘書調書の請求取り下げ=前田元検事が取り調べ−公判前整理で東京地検
小沢一郎民主党元代表の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で、政治資金規正法違反罪に問われた元秘書3人の公判前整理手続きで、検察側が、元大阪地検特捜部検事の前田恒彦被告(43)=証拠隠滅罪で起訴=が取り調べを担当した元公設第1秘書大久保隆規被告(49)の供述調書について、証拠請求を取り下げたことが20日、関係者の話で分かった。
大久保被告は捜査段階で当初、収支報告書の虚偽記載への関与を否認していたが、東京地検特捜部に応援派遣されていた前田被告の取り調べに対し、大筋で容疑を認めた。
大久保被告は公判前整理手続きで全面否認に転じ、供述調書の任意性などを争う意向を示している。任意性が争点となった場合、検察側は担当検事を証人申請することが一般的だが、東京地検は前田被告の証人出廷は困難と判断したとみられる。
また、東京地裁は、6月30日、東京地検特捜部の取り調べを「威迫と利益誘導を織り交ぜていた」、他の被告が自白したとの虚偽情報を告げて供述を得ようとする「切り違え尋問」もあったと批判し、検察側が証拠申請した元秘書3人の調書(検察官面前調書)計38通のうち、石川氏の分10通と池田氏の分2通を却下(他にも多数の調書を部分的に却下)し、証拠として採用しないとの決定をした、というマスコミ報道がありました。
却下された調書には、石川氏が逮捕後、「小沢元代表に虚偽記載を報告して、了承を受けた」と認めた調書も含まれており、東京地裁は、検察官から「これぐらいなら書いても小沢さんは起訴にならないから」と説得を受けた上で作成されたと指摘していると報じられたのです(検察は異議を申立てましたが、東京地裁は7月12日、異議を却下しました)。
毎日新聞 2011年7月21日 東京朝刊
陸山会事件:元3秘書に求刑 弁護側「苦しい論告内容」 検察側「物証あり影響ない」
小沢一郎・民主党元代表の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡って政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた元秘書3人に対する20日の東京地裁公判で、検察側は衆院議員、石川知裕被告(38)に禁錮2年▽後任の事務担当者の池田光智被告(33)に同1年▽元公設第1秘書の大久保隆規被告(50)に同3年6月を求刑した。閉廷後、弁護側は「検察の苦しさがみえる論告だった」と皮肉ったが、検察側は強気を貫いた。全面対決の公判は最終弁論を経て、9月26日に判決が言い渡される。【野口由紀、山本将克】
論告は、同会が04年に土地を購入する際、元代表から借り入れた4億円を「公にできない性質(の金)だった」と指摘。背景には、中堅ゼネコン「水谷建設」が04、05年に石川、大久保両被告に各5000万円の裏献金を提供した経緯があったとして、「土地購入の原資が取りざたされれば、現金受領が露見しかねないと懸念した」と主張した。
地裁は6月末に、石川、池田両被告が会計責任者だった大久保被告への報告を認める供述など捜査段階の検事調書の多くを却下。それを受けた論告に対し、被告側弁護人の一人は「特に(ほかの2被告と)大久保被告との共謀は推測の域を出ない」とコメント。
別の裁判で公判前整理手続きが進む小沢元代表の弁護人も「残った調書をつなぎ合わせ、あとは想像で補ったような強引な印象を受ける」と述べた。
地検幹部は「供述以外の物証があるので(却下の)影響は感じない。3人はどうあっても無罪にはならない」と強調した。
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■解説
◇検事調書否定に当惑
6月30日の公判期日外の手続きで捜査段階の多くの調書を地裁に却下された検察側は、この日の論告求刑にあたり、約3週間で修正して臨むことを迫られた。「供述に頼らずとも有罪立証できる事件」(幹部)と自信をのぞかせるが、間接的証拠を並べて推認を求めたり、裁判官を前にした勾留質問で被告らが容疑をいったん認めた内容の調書を支えにした記述も目立つ。これまでの「検事調書依存」でなく、法廷供述を重視しようという今回の地裁の姿勢に当惑している様子がうかがえる内容だ。
地裁の却下決定は、捜査段階で検事の「特捜部は恐ろしいところだ。何でもできる」「小沢さんは起訴にならないから」などの発言を「心理的圧迫」や「利益誘導」に当たると判断。他の被告が自白したとの虚偽情報を告げて供述を得ようとする「切り違え尋問」もあったとして特捜部の手法を批判した。その上で、石川被告と池田被告が、会計責任者だった大久保被告や小沢元代表に陸山会の収支報告書の虚偽記載を報告したとの調書を大量却下した。
検察側が「修正」で力を注いだのが、直接証拠がほぼ消えた「事務担当者と大久保被告の共謀」部分の補強だった。大久保被告が土地購入にあたって契約や登記時期の繰り延べに深く関与していた状況を詳述することで「会計責任者が不正を知らなかったはずはない」との推認を裁判官に求める形をとった。
もう一つの争点である虚偽記載に関する「石川被告の認識」については、土地購入前に小沢元代表からの4億円を分散入金したり、同時に同額の銀行融資を受けるなどした客観的経緯から証明を図った。そのうえで「元代表の4億円や、水谷建設からの裏献金を隠すための偽装工作」と読むのが自然とした。
公判では石川被告自身が、報告書の記載の仕方を「合理的に説明できない」と窮する場面もあった。却下決定で「検察のストーリー」を排した地裁が法廷でのやりとりを基に「小沢事務所の経理」をどう推認し、説得力ある判決を出すのか。その内容は秋にも始まる小沢元代表の公判にも影響を与えるのは必至だ。【鈴木一生】
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■地裁が却下や信用性に疑問符を付けた主な供述(検察官調書)部分
◇石川被告
◆小沢元代表から(陸山会が)借りた4億円は、元代表が政治活動の中で何らかの形で蓄えた簿外の資金で、表に出せない資金だと思った=却下
◆土地の取得やその原資が小沢元代表からの借り入れであることが(陸山会の)04年分収支報告書に記載されると、資金管理団体での土地所得やその原資の不透明さが報道され、民主党代表選で元代表に不利に働きかねないと思った。それを回避するために土地の登記を05年に先延ばしして、銀行から4億円の定期預金を設定した。04年10月中・下旬ごろに、元代表と大久保被告にその旨説明をして2人の了解を得た=却下
◆土地を購入するのに銀行から4億円の定期預金を設定することを元代表に説明して了解を得た。04年分収支報告書が完成した時点で提出前に元代表に概要を説明して決裁を受けた=却下
◇池田被告
◆05年分以降の収支報告書は原案作成後、大久保被告に報告して決裁を受けた。石川被告から「必ず先生にも報告しなければならない」と引き継ぎを受けたので、小沢元代表と毎年会って原案や関係5団体の一覧表をもとに寄付金を中心とした全体の収入金や支出金の総額などを報告して、元代表の決裁を得ていた=却下
◇大久保被告
◆提出前の04年分の収支報告書案をチェックした段階で、小沢元代表からの4億円の借り入れや土地代金の支払いの不記載を見落としてしまったとしか説明しようがない=採用しつつ、信用性の問題を示唆
詳細は不明ですが、この報道の通りであるなら、被告人・小沢一郎氏本人の刑事裁判の行方は再び予断を許さないことになりました。
9月26日に下される元秘書ら3名の判決で東京地裁はどのような事実認定をするのか、また、小沢氏本人の刑事裁判で検事役の指定弁護士がどのように立証し、証人はどのような証言をするのか、注目する必要がありそうです。
(8)ところが、ブログやツイッターのなかには、詳細な検討をせずに、「検事調書の一部不採用により被告人・小沢氏や元秘書ら3人の無罪が確実になった」旨、あるいは「この事件は政治資金収支報告書に購入不動産を記載する時期が一年遅れただけのこと(いわゆる期ズレ)で刑事責任を問うほどの事件ではない」「そもそもこの事件は検察のでっち上げで、事件そのものがなかった」「検察の陰謀だ」「冤罪だ」などと主張する意見が現れました。
初めの意見以外は、検事調書不採用前でも散見されましたが、その後も実しやかに主張されています。
(9)検察の取調べのあり方の問題については、きちんとした検証を行い、その上で厳しく批判されるべきでしょう(私は検察改革だけではなく裁判所改革も主張http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51475342.html?blog_id=2778940してきました)。
しかし、そのような意見はきちんとした論証に基づくものなのか疑問です。
というのは、東京地裁が採用した検事調書はありますし、元秘書ら3名の冒頭陳述書(今年2月7日付)や公判についてのマスコミ報道を読むと(詳細は別の機会に説明します)、そもそも事件それ自体が存在しなかったとはいえません。
起訴事実は「期ズレ」だけではありません。
小沢氏から「2つの4億円」(8億円)の借入れと小沢氏への返済のうち、一つの4億円の借入れと返済について「陸山会」は記載していませんし、政治団体間の政治資金の移動についても記載をしていない、あるいは移動がないのに記載があるなど、起訴事実は他にもあるのです。
「期ズレ」について石川氏は作為的に行ったことを認めているため、これらの諸事実のなかで法的に判断されれば、違法性と故意が認定される可能性がないわけではありません。公判では、石川氏自身が報告書の記載の仕方を「合理的に説明できない」と窮する場面もあったようです。
元秘書らは、検察が主張する「裏ガネの受領」や他の元秘書との共謀については否認しているものの、それ以外の事実については、ほとんど否認してはおらず(ただし、石川氏は起訴された「4億円」については記載していると主張)、その法的評価を争っているのです。
ですから、元秘書ら3名につき、裁判所が、政治資金収支報告書への各不記載・虚偽記載を、例えば「共謀がなく無罪」「過失にとどまり無罪」と判断しない限り、不採用になった検察調書なしでも「異方性の認識、故意を認めて有罪」と判断する可能性は十分あるのです。
したがって、詳細な検討をしないまま、「東京地裁が検事調書の一部を採用しない決定をしたから元秘書ら3名は当然に無罪になる」というのは、乱暴な結論です。
刑事裁判は有罪か無罪かの二者択一なので、結論だけなら誰でもいえます。
(10)元秘書3名のうち1人でも無罪判決が下されれば東京地検特捜部は厳しく批判されることになるでしょう。
他方、1人でも有罪判決が下されれば、それが確定しなくても、かつ小沢一郎氏の刑事責任の有無とは別に、小沢氏は、政治家としての政治責任(元秘書に対する監督責任)が問われることになるでしょう。
(11)裁判所がどのような事実認定をし、それを法的にどう評価するのか、私たち主権者国民は、裁判所の判断を冷静に受けとめ、個々の起訴事実毎に裁判所の法的評価(無罪であれ有罪であれ)を客観的に論評しなければなりません。
(12)以下は「日刊ゲンダイ」の論告求刑前の記事です。
皆さんは、ジャーナリストや元検察官の以下の予想をどう思われますか?
日刊ゲンダイ【政治・経済】 2011年7月12日 掲載
【裁判所も認めた!世紀の謀略「小沢事件」全内幕】
「調書」大量却下で小沢元秘書3人の量刑はどうなるのか
●大久保、池田「無罪」、石川「罰金刑」なら猛烈な検察批判が起きるゾ
東京地裁が供述調書を大量却下した「決定書」は、元秘書3人の量刑にどう影響するのか。小沢元代表本人の無罪が確実視される中、元秘書たちの無罪もあるのか。
「大久保隆規元秘書の無罪は確実」と言うのは、元東京地検特捜部検事で名城大教授の郷原信郎氏だ。大久保氏は陸山会の会計責任者だったが、報告書の作成は当時の秘書だった石川知裕議員と、その後任の池田光智元秘書に任せ切りだった。
「地裁は今回の決定書で、石川氏と池田氏が大久保氏に報告書の虚偽記載を『報告、了承された』と認めた調書を全て却下しました。検察側は大久保氏を聴取した改ざん検事の前田恒彦受刑者の調書の証拠申請をすでに見送っています。他の秘書と虚偽記載を共謀したとして、有罪に問える材料がもはやひとつもないのです」(郷原氏)
検察に詳しいジャーナリストの魚住昭氏も、決定書を熟読した上で「大久保氏の無罪は間違いない」と言い切った。
現職議員である石川氏はどうか。「唯一の不安材料は、04年分の報告書で問題となった『10月29日、金4億円、小澤一郎』という借入金の記載についての認識です」と魚住氏がこう言う。
「決定書で石川議員の逮捕後の調書はほとんど却下されましたが、逮捕前の任意調書は証拠採用されています。検察は問題の記載を『りそな銀行から小澤一郎名義で借りた金。小沢本人からの借入金は記載していない』として起訴。石川議員は公判で『文字通り小沢本人からの借り入れ』とし、『不記載にはあたらない』と主張しました。しかし、採用調書で石川議員は『小沢本人からの借り入れを記載』と主張せず、『当時は忙しかったので書き忘れた』との記載が出てくる。この調書をもって、裁判所が不記載を認定するかは微妙なところです」
とはいえ、検察側に有利な材料はこの一点のみ。「水谷建設からの裏金を隠すため、秘書3人が共謀して収支報告書をごまかした」というストーリーは完全に骨抜きとなり、残ったのは石川議員の記載ミスだけ。池田氏にいたっては、逮捕した理由すら見当たらない。
郷原氏は「仮に記載ミスで石川議員が有罪になっても罰金刑が関の山」と語り、魚住氏は「罰金刑でも、公民権停止の付かない軽い処分の可能性もある」と言う。
今月20日の論告求刑。検察側がどうするのか見ものだ。
(13)小沢一郎元民主党代表の元秘書3名の「陸山会」裁判の冒頭陳述と最終弁論の各要旨を読み、裁判を傍聴した記者で、3名が全員無罪の判決が出ると思っている者がいるのでしょうか!?
一般論としての現時点での私見は、「連戦連敗「王様は裸かもしれない」小沢はこれで終わったのか」週刊現代(2011年9月17日号)で紹介されました。
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