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9月16日(金) 「政治改革」の失敗に学ぶ
〔以下の論攷は、『しんぶん赤旗』2011年9月15日付に掲載されたものです。〕
野田新内閣発足のニュースを聞きながら、日本の政治はどうしてかくも劣化してしまったのかと嘆いた人は少なくなかったでしょう。その最大の要因は1994年の「政治改革」の失敗だったと、私は思います。
企業・団体献金を禁止せずに政党助成金を導入し、小選挙区制を中心とする選挙制度に変えたために、政治は機能不全を強め解体の危機に瀕しました。「政治改革」ではなく「政治解体」だったのです。
閉塞破るために
このとき主たる目的とされた「政治とカネ」の問題は全く解決されませんでした。もう一つの柱だった小選挙区制の害悪は今や明瞭です。5つの問題点を指摘したいと思います。
第一に「二大政党化」による中小政党の排除です。その結果、有権者の選択肢が狭められ、新自由主義への疑念、普天間基地の国外移設、消費税増税やTPP(環太平洋連携協定)への反対などが国会に反映されなくなってしまいました。
しかし、これらの選択肢を掲げていた政党はありました。共産党です。二大政党以外に明確な選択肢があったのに人為的に排除される結果になりました。
このことが、政治の閉塞につながっています。正しいことでも「共産党だから」ということで無視するような風潮は、マスコミも含めて改めるべきです。
第二に理念・政策に基づかない政党の誕生です。民主党は綱領をもたない珍しい政党ですが、それは理念や政策とは無関係に結集した選挙互助会だからです。
小選挙区制では現職以外の政党から立候補せざるを得ず、野党時代の民主党にはそのために加わったような人が少なくありません。理念や政策が二の次となるわけです。
選挙での当選や政権獲得が主たる目的ですから、その結果、何をやるのか、政治の目標や国家ビジョンはあいまいです。政権運営の手続きや手法にも無頓着でしたから、政治主導が頓挫し、普天間問題などが挫折したのも当然でしょう。
第三に、二大政党の政策的な接近です。小選挙区制では、有権者の半分以上の支持獲得を目標にしなければなりませんから、二大政党の間に位置する有権者の奪い合いが始まります。
知らず知らずのうちに相互の政策が似通ったものになるのはそのためです。野田新首相の自民党への接近の背景には、このような事情があります。
第四に、短期間による多数派政党の入れ替わりとねじれ現象の発生です。小選挙区制には、少しでも相手を上回ればその差が拡大されるという「膨らまし粉効果」があります。
マスコミ報道もあって有権者の支持態度は、短期間に大きく変化するようになってきました。選挙になればこれが増幅され、衆院選後の参院選で多数派政党が入れ替わってねじれが生じたわけです。
第五に大連立への誘惑が生じる半面、それが困難になるという問題です。一方でねじれを解決するためには連立が必要となり、他方で小選挙区では敵対していますから、それは難しいというジレンマが生じます。
劣化を防ぐ道は
このように、小選挙区で敵対する二大政党同士の連立は極めて難しいという矛盾を抱えながらも、野田内閣がそこへ向かおうとするところに政治の行き詰まりを見ることができます。
こうして、日本の政治は政党政治の自縄自縛という新しい問題を生み出すことになりました。それを解決するためには、企業・団体献金を禁止し、小選挙区制を廃止して比例代表制的な選挙制度に変える、本物の政治改革を断行するしかありません。これが、政治の劣化を防ぐ唯一の道です。
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