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鉢呂前経産相を追い込んだ大マスコミ報道の不可解
http://gendai.net/articles/view/syakai/132632
2011年9月14日 掲載
「脱原発」が推進勢力を敵に回したのか
鉢呂前経産相の辞任騒動が、新たな展開をもたらしている。マスコミ報道のあり方に疑問を投げかける声が識者や読者から上がっているのだ。
実際、今回の「死の町」「放射能」発言の一連の報道の流れには不可解な点が多い。
まずは9日の閣議後会見での「死の町」発言。これは、その日のうちに報じられ、物議を醸した。
この発言が問題視されると、今度は「放射能をつけてやる」という趣旨のオフレコ発言が出てきたのだが、この発言があったのは会見前日の8日夜のこと。鉢呂は辞任会見で「非公式の記者懇談(オフレコ)」と言っていた。たとえオフレコでも、重大な問題発言だと思えば、すぐに報じればいいのに、2日後の10日になって一斉に出てきたのだ。
「放射能をつけちゃうぞ」(朝日)
「ほら、放射能」(読売)
「放射能をつけたぞ」(毎日)
「放射能をうつしてやる」(産経)
「放射能をつけてやろうか」(日経)
大マスコミは「メモ合わせ」で発言内容を確認し合うのが慣例だが、なぜか各社の表現はバラバラだ。
「鉢呂氏自身も『記憶が定かでない』と言っていますが、オフレコで真偽も定かでない発言が、どうして一斉に表に出てきたのか。私は、鉢呂氏の『脱原発』と『反TPP』がトラの尾を踏んだように思えてなりません。『死の町』発言にしても、第一報では前後の脈絡を無視して、発言の一部分だけが恣意的に切り取られた。辞任会見には私も出席しましたが、記者は鬼のクビを取ったかのように鉢呂氏を責め立て、非常に嫌な感じがしました。大マスコミには、自分たちが世論をつくっているという思い上がりがある。こんな状況がまかり通れば、政治家が事なかれ主義に陥り、本当に深刻な事態に直面しても、国民に対してメッセージを発することもできなくなりますよ」(ジャーナリスト・田中龍作氏)
結局、「脱原発」を口にした鉢呂の辞任で喜んでいるのは、経産省や東電など「原子力ムラ」の住人たちである。後任の枝野経産相は原発推進派。就任会見で厳しい質問はなく、報道陣も枝野には妙にやさしかったのが印象的だ。
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