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【 ストレステストを経て、原発再稼働の姿勢を崩していない野田新内閣。国内に54基ある原発を再稼働させようという「原発利益共同体」のどす黒い野心は 一体何なのか。(岡留安則の「東京ー沖縄ーアジア」幻視行日記)】
2011.09.10 16:33
■9月某日 大震災の後は、台風の集中豪雨による土石流の発生で家屋の崩壊や100数人にのぼる死者がでた。深層崩壊という現象が発生したのだという。日本列島はさまざまな自然現象による天災が絶えない。
地震、大津波、台風、火山の爆発、エトセトラ。天災の影響で人類史上最大の人災となったのが福島第一原発のメルトダウンや水素爆発だった。3・11の事故からほぼ6か月が経ったものの、いまだに復興・復旧はいうまでもなく、放射線のダダ漏れも解消されず、冷温停止も放射能汚染水の処理も進んでいない。
それでも、ストレステストを経て、原発再稼働の姿勢を崩していない野田新内閣。財界と官僚のいいなりなのだろう。これ以上、日本を原発汚染列島にしていいと本気で思っているのか、野田君!
青森六ケ所村の使用済み核燃料が集積されている再処理工場。六ヶ所村の核燃料サイクルは「ウラン濃縮工場」「低レベル放射性廃棄物センター」があり、1992年3月に操業が開始された。全国各地の原発から送り込まれた200リットルのドラム缶で23万本以上がすでに受け入れられている。全国の原発には60万本の低レベル放射性廃棄物が貯蔵され、今後、六ケ所村には300万本が運び込まれる予定になっている。
しかし、問題の再処理工場の方は「試運転中」と言いながら、目下全面休止中だ。核のゴミの処理方法すら確定していないのに、これ以上の使用済み核燃料を増産してどうするのだ。フィンランドのように地下深くに埋め込むのか。あるいはモンゴル政府にカネを出して砂漠の地下に埋めるつもりなのか。
福島第一原発はメルトダウンや水素爆発により大量の高濃度汚染水の海への垂れ流し、ベントによる放射性物質の空気中への放出などの処理により、放射線は東北・関東一円までばら撒かれた。空と、大地と、海が汚染され、野菜、肉、魚などの食品も放射線に侵された。当然、それを取り込んだ人間も体調不良をおこし、いずれ癌を発病する危険性がある。
それでも、国内に54基ある原発を再稼働させようという「原発利益共同体」のどす黒い野心は一体何なのか。野田大臣とともに原発被災地を視察した鉢呂経産大臣が、「周辺の町村には人っ子一人いない死の町」と感想を述べて自民党の大島副総裁にねじ込まれた。鉢呂大臣は即時、発言を撤回したが、その後、記者に放射能が移るというしぐさを見せたことが発覚し辞任となった。
しかし、死の町発言は、原発政策の元凶たる自民党は言われたくはない話ではないか。まして、原発事故から180日も経っているのに、いまだに強制的に避難させられている住民たちの本音を代弁した発言ではなかったのか。
悪いのは、平和な住民の日常を奪った東電と、熟慮することなく20キロ、30キロという円を事務的に描いた官僚と官邸じゃないのか。「被災地への帰宅は最低5年間は無理」と明言することこそが住民への思いやりであり、政治の責任じゃないのか。
発足したばかりの野田内閣で一人、気を吐いているのが、前原政調会長だ。米国に乗り込み、思いっきり媚びへつらう外交を展開。ワシントンでの講演では下手な英語を棒読みして、PKO活動における武器使用緩和を打ち出したり、武器輸出三原則の見直しも示唆した。
地元紙「沖縄タイムス」によると、平安名純代特派記者が内部告発サイト「ウィキリークス」が公表した在日米国大使館の公電で、当時沖縄担当相と国交相を兼ねていた前原大臣が、キャンベル国務次官補とグレッグソン国防次官補と会談した際、普天間基地の県内移設を進展させるには、沖縄振興策が不可欠とし、具体例として、沖縄科学技術大学院大学に米国から高名な教授を招聘することなどを挙げたという。
さらに「普天間の安保上の重要性を判断できる専門知識を持つのは防衛省のみ。普天間移設問題で鍵を握るのは北沢防衛相」と伝え、「民主党と連立を組む政党(社民党や国民新党)に拒否権は持たせない」とも語ったのだという。まさに、米国のスパイである。
そういえば、沖縄問題で前原は野田政権発足直後から過剰に動き回っており、無役となった北沢前防衛大臣までが普天間チームなるものを立ち上げた。今後とも沖縄の防衛問題に積極的にコミットするつもりらしい。
それにしても、基地と振興策はリンクさせないと語ってきた前原の二枚舌が「ウィキリークス」に暴露されたことは痛快である。やはり、二重行政の最たる沖縄総合事務局の廃止だけでなく、沖縄科学技術大学院大学も基地対策の心根が透けて見える以上、沖縄側も拒否するのが賢明ではないのか。前原ひいきの佐藤優氏よ、どうよ!
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