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連戦連敗「王様は裸かもしれない」 小沢一郎はこれで終わったのか
ぶち抜き大特集 「遺恨と怨念」愚かなる民主党政権の最終章
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/18879
2011年09月12日(月) 週刊現代 :現代ビジネス
「挙党一致」、そんな新首相の掛け声が虚しい。謀略が渦巻く代表選を終え、民主党には怨念だけが残った。復権への妄執に囚われた旧き王が新政権を振り回し続ける。この悲喜劇はいつまで続くのか。
■ある側近議員の叛乱
民主党代表選が野田佳彦氏の勝利で終わった後のこと。海江田万里前経産相を推して敗れ去った小沢一郎元代表のグループは、都内のホテルで反省会を開いていた。その際、同グループのベテラン、奥村展三代議士から、こんな告発が飛び出した。
「小沢さんが言ってもいないことを『小沢さんが言った』と触れ回っている者がいる」
8月29日の民主党代表選の結果、小沢氏はこれで、3連敗を喫したことになる。樽床伸二党幹事長代行を担ぎ、菅直人前首相に敗れた昨年6月。小沢氏自らが出馬しながら、またも菅氏の後塵を拝した同年9月の選挙。そして、海江田氏を擁立して失敗した今回である。
反省会に集まったグループ議員の間には、「また負けた・・・・・・」と、連戦連敗に虚脱感が漂っていた。そんな空気の中、「一新会」(小沢グループの衆院議員の集まり)を仕切ってきた重鎮の奥村氏が、敗北の原因を作った獅子身中の虫≠厳しく糾弾し始めたのだ。
「代表選では野田さんの『どじょうと金魚』のスピーチが議員の心を動かし、勝利に繋がったと言われていますが、逆に、海江田氏のスピーチは何も心に響くものがなく最低でした。
実は、この原稿を書いたのは小沢氏の側近を自称する強硬派の議員たちです。彼らは、小沢氏の意を受けているかのような顔をして、海江田氏の原稿を添削し、議員会館に缶詰にして練習までさせていた。この勝手な暴走に、奥村氏は激怒していたんです」(小沢グループ中堅議員)
この告発は、同時に側近の一部を野放しにしてきた小沢氏本人への「直訴」だった。小沢グループの若手議員には、以前から「小沢さんの話を直接聞けない」「小沢さんが何を考えているのか分からない」との不満が渦巻いている。
それに乗じ、ボスの意向≠ニ称して勝手な言動を繰り返す者たちがいる。無様な敗北は、そんな状態を放置してきた小沢氏自身にも原因がある---奥村氏はそう訴えたのだ。
だがその場にいた小沢氏は、「わかっている」と、ただ頷くだけだった。訴えは通じたのだろうか?
実はそれどころか、周辺ではこんな見方が出ている。
「これまで小沢氏に直言をした者は、例外なく遠ざけられてきました。小沢氏にはそういう狭量なところがあります。もし小沢陣営が勝っていれば、奥村氏は入閣の最有力候補と言われていましたが、この直訴によって評価が逆転し、『切られてしまうのではないか』と見られています」(別の小沢グループ議員)
■あわや「輿石総理」
かつて、剛腕と称された小沢一郎氏の神話、重厚に見えた鎧は、すっかり剥ぎ取られてしまった。選挙の神様≠ニまで呼ばれた男が3回連続で負け、党の掌握に失敗したのだ。
だが奥の院に閉じこもり、側近を通じた忖度(そんた)政治を旨としてきた王≠ノ対し、冷厳な事実を突きつける者はほとんどいない。
「王様、もはやあなたは裸ではないのですか」
そんな疑いを持ち、口に出した者は、いつのまにか粛清されていく。
「バカを言うな、王は確かに衣をまとっている。この衣は愚か者には見えないのだ。王様が裸と言う奴は、すなわち愚か者なのだ」
小沢氏の身辺からは、そんな声が聞こえてきそうだ。
小沢氏は今回、海江田氏を推すと決め、代表選の1回目の投票では143票、決選投票では177票を集めたが、野田氏には届かなかった。ただ、本人が出たわけでもないのにそれだけの票を積み上げたことに対して、一定の評価をする声もある。
「昨年9月の代表選は、小沢氏本人の出馬で議員票を200票集めました(菅氏206票)。今回はそれより減っていますが、党員資格を失っている小沢氏本人、側近の松木謙公代議士、先の不信任決議騒動の際に党に造反したため投票権がない8人の議員らを加えると、やはり200票近くになります。そういう意味では減った票はわずかで、健闘したと言えないこともない」(政治評論家・有馬晴海氏)
投票前、民主党内には態度未定とされる国会議員が約100人もいた。最初の投票では海江田氏が野田氏に40票もの差をつけていたことから、彼らの動向次第では海江田氏=小沢陣営に勝機は十分にあった。
だが、その勝機をみすみす失う原因を作ったのは、当の小沢氏とその側近議員たちだった。小沢氏は囲碁を趣味としているが、今回は悪手≠打ち続け、自分で自分のクビを絞めたのだ。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏がこう語る。
「小沢氏は8月18日に、亀井静香・国民新党代表、石井一・民主党副代表との会合で、『党を一本化できる候補がいる。こういう時は神が降りてくるものなんだよ』と話していますが、その候補とは、その場にもいた輿石東参院議員会長のことでした。小沢氏は、1.解散しない、2.野党と協力して救国内閣を作る、3.任期は菅氏の残り任期の1年に限定、などを公約すれば、仙谷由人前官房副長官ら反小沢グループも、最終的に輿石氏に乗らざるを得なくなると読んだのです」
■姦(かしま)しき小沢ガールズ
まさに仰天計画。輿石氏もいったんは、出馬に前向きな意向を示したという。ところが、8月23日に前原誠司氏が出馬表明したことで、この話は立ち消えになった。国民の人気が高い前原氏の対抗馬となることに、輿石氏が怖気づいたからだという。
「そこで、仕方なく小沢氏が次に擁立を図ったのが、西岡武夫参院議長です。ですが、今度は同じ参院で西岡氏をライバル視している輿石氏や、鳩山由紀夫前首相が反対して沙汰止みになりました」(民主党関係者)
迷走はさらに続いた。この前後、候補者探しに窮した小沢氏は、鹿野道彦前農水相とそのグループにもツバをつけている。小沢グループに属する議員が、鹿野氏と小沢氏との間を取り次ぎ、擁立に向けた交渉を行った。しかし、これも頓挫した。
「小沢さんの支援を鹿野さんが嫌がった。鹿野氏は旧新進党時代、小沢氏と党首を争った過去がある上、『小沢の支援を受ければ傀儡政権だと糾弾される』と拒否したのです」(同)
こうして妥協に妥協を重ね仕方なく出した結論が、海江田氏を担ぐこと。ただ、何しろ国会で泣き出し、小沢氏自身が「泣いたらいかんわな」と、突き放していた存在だ。そんな候補を土壇場になって担ぐことには、いかにも追い詰められた雰囲気が漂う。
代表選直前の8月26日夜、ホテルオークラ(東京・港区)に集まったグループの議員を前に、それまで態度を曖昧にしていた小沢氏が、「海江田を応援しよう」と呼びかけると、会場からは一斉に、「えーっ!?」と落胆した声が上がった。
特に激昂したのが、いわゆる小沢ガールズ≠ニ言われる女性議員たちだ。ガールズはこの会合後、別の店に15人が再集結。「海江田さんには決断力がない」「泣いたしね」「原発も推進派だよね」と、不満をぶちまけあったという。
彼女たちを宥めるためか、間もなく小沢氏がその場に駆けつけた。すると、ガールズたちはここぞとばかりに、「なんで海江田さんなんかを!」と、ボスを吊るし上げたのだという。
「彼女らの剣幕に、小沢氏はタジタジとなったそうです。あまりに突き上げが激しいため、『とにかく、今回は海江田をオレだと思ってやってくれ』と、小沢氏が頭を下げ、ようやく彼女たちも矛を収めたとか」(民主党若手代議士)
こんな些細なエピソードひとつとっても、連戦連敗によって小沢氏の威光に陰りが見え始めているのが分かる。そして、そんな悪戦苦闘する小沢氏の足をさらに引っ張っているのは、実はその側近(自称含む)たちに他ならない。
代表選当日の朝のこと。永田町の議員会館にある会議室では、菅直人前首相のグループによる最終作戦会議が開かれる予定だった。ところが、朝イチで同グループの事務方が会議室に到着すると、「会場変更」との張り紙が貼ってあった。
「もちろん会場変更などありませんでした。見つけた人間は、頭に来てすぐに張り紙を破り捨てた。これは軽率な議員を右往左往させ、会議に参加させないようにするための姑息な謀略です。誰がやったのかは分かりません。ただ菅グループは、『小沢一派の仕業』と確信していました」(菅グループ議員の一人)
腐っても何とやら、菅グループには40~50人の所属議員がいる。この一件は、菅氏らの「小沢嫌い」の感情に、再び火をつけることとなった。
「代表選前には有力候補の前原氏を糾弾する怪文書が飛び交い、ただでさえ『これは小沢グループの仕業だ』と、批判が高まっていた。菅さんも、意地でも小沢一派には政権を渡すまいと、自ら各議員に電話をかけ、野田氏に投票するように呼びかけた。小沢グループのやり過ぎが、逆に野田氏に票を集中させたことは否めない」(民主党幹部)
■勝てない小沢一郎なんて
同じようなことは、鹿野グループでも起きている。鹿野氏の陣営に入っていた山田正彦元農水相を小沢陣営が強引に勧誘して引き剥がしたため、「仁義にもとる連中だ」と、鹿野グループを完全に敵に回してしまい、結局はそれが決選投票での致命傷になった。
「若手議員たちには、バリバリの小沢系議員から、相当に乱暴な電話がかかってきていました。『なんで一緒にやらない!』『こっちに来い!』と怒鳴るので、彼らは辟易していた。『誰と会う』『どこへ行くんだ』と、行動を全部報告させられていた新人もいます。こんな空気を嫌がり、福田衣里子氏や田中美絵子氏といった、小沢ガールズの象徴的なメンバーも次第に距離を置くようになっています。小沢氏自身が配下の横暴を監視して止めない限り、人は減っていく一方になりますよ」(中間派代議士)
非小沢系の議員たちは、小沢グループ新人議員の集団「北辰会」のことを、北≠ネどと呼び、「彼らを脱北≠ウせようぜ!」などと揶揄しているという。小沢一派の強権体質は、2年前の政権交代時から問題になっていたが、その本質はまったく変わっていない。
一部の配下がこうして暴走したため、小沢グループ内には「面従腹背」の議員が増えていった。その結果、選挙の達人・小沢氏にはあるまじき、「票の読み違い」が発生してしまった。
「1回目の投票で海江田氏が獲得した票は143票ですが、小沢・鳩山陣営では『158票』と予想していた。これに中間派から取り込んだ票を加えれば、『1回目で200票を超え決選なしに勝負がつく』などと幹部は嘯いていた。ところが実際には15票も読み違えていたのです」(小沢グループ若手議員)
負けたことより、小沢氏はこの事実に憮然としたという。選挙に強いとの神話によって求心力を維持してきた小沢氏にとって、票の読み違いなど、あってはならない屈辱的なミスだからだ。
こうして小沢氏とその軍団は、いわば自滅した。小沢グループの強引すぎる工作はすべてが裏目に出て、結果的に獲れたはずの票を逃した。彼らは、負けるべくして負けたのである。
「そもそも海江田氏の擁立にしても、主導したのは鳩山元首相であり、小沢氏には最後まで迷いが見えました。自分で候補者を決めることができず、半ばババ≠?まされる形で海江田氏に乗らざるを得なかった。若い議員たちの間には『小沢グループにいても何もいいことがない』という空気が広がっている。神通力を失った小沢氏は、民主党に必要ない存在になりつつあります。今後、小沢氏の周囲からは、櫛の歯が欠けるように人が減っていくのではないでしょうか」(政治評論家・浅川博忠氏)
それでも、小沢軍団の中には、「勝負はまだこれからだ」との主戦論も根強い。小沢氏自身、これまで野放しだった「一新会」「北辰会」「参院小沢グループ」を糾合し、新たに真・小沢グループ≠ニも言うべき集団を結成し、今後に備えるという。その強気の根拠は、党内融和を前面に押し出している野田新首相が、小沢氏側近とされる輿石氏を幹事長に指名したことだ。
そもそも、小沢氏が3度にわたって繰り返し党代表選にコミットしてきたのは、この幹事長ポストを奪還するためだった。民主党の金庫には、およそ130億円ものカネ(政党交付金)が積みあがっているという。その巨額のカネを自由に差配できる幹事長に側近の輿石氏が就任したことで、小沢グループの一部からは、
「小沢さん本人が幹事長になったようなもの」
「代表選に負けても所期の目的は達成した」
との声も上がっている。
幹事長就任が内定した8月30日、輿石氏は得意満面にこう話している。
「参院から党の幹事長になるのは、自民党時代を含めても自分が初めてのことだ。(参院自民党のドンと呼ばれた)青木幹雄、村上正邦元参院議員会長だって、(党全体の)幹事長をやったことはない」
■服を買うためにカネが必要
ただ、日教組出身の輿石氏は、「よく言えば組織内の序列を重んじるタイプだが、悪く言えば『長いものには巻かれろ』という人」(全国紙政治部記者)だと評されている。そのため小沢グループ内には、「野田執行部に寝返る可能性も高い」との懸念があるという。
「輿石氏は小沢氏の党員資格停止に対しても、これまで明確に反対したことはありません。党の決定には基本的に従う、というのが輿石氏のスタンスだからです。小沢—輿石の関係は、必ずしも一枚岩とは言えない」(全国紙政治部デスク)
輿石氏が今後、どの程度小沢氏の意向を受けて動くのかは分からないが、小沢氏がこれだけ幹事長ポストにこだわるのは、「党のカネ」を自らの権力の源泉と考えているからに他ならない。選挙のプロとしての威光も地に堕ち、人心も離れつつある今、小沢氏が頼るのはそれしかない。
「政治資金オンブズマン」の上脇博之・神戸学院大学教授がこう批判する。
「小沢氏の手口は、自分の息のかかった議員に限定して、組織対策費名目で巨額の党資金を配るというもの。小沢氏が民主党の幹事長や代表をしていた'06年~'10年までの間に、同氏に近い5人の民主党議員に37億円以上が支出されていますが、その使途はまったく分かっていません。そのカネを配られた5人のうちの一人が、輿石氏(総額9500万円)です。そういう人物が党の資金を差配する立場に就くことは、大いに問題があると言えます」
さらに、小沢氏はこの「政治とカネ」に関して政治団体「陸山会」を巡る政治資金規正法違反事件の裁判を抱える身であり、その公判の行方も、決して楽観できる状況ではない。
まず9月26日には、小沢氏の元秘書3人の判決が予定されており、10月6日からはいよいよ小沢氏自身の公判も開始される。
「あくまで一般論ですが、元秘書3人の弁論要旨などを読む限り、彼らの『(違反は)故意ではなく過失だった』という主張を裁判官が認めるとは考えにくい。元秘書らが有罪となれば、代表者たる小沢氏の監督責任が厳しく問われることになります。問われるのは政治的責任なので、仮に小沢氏本人が最終的に無罪になったとしても同じことでしょう」(前出・上脇氏)
小沢氏の狙いは、来年までに無罪判決を勝ち取り、満を持して次回代表選('12年9月)に出馬、総理の座につくことだという。場合によっては、鳩山元首相や弟の邦夫元総務相、舛添要一元厚労相らの勢力を糾合し、民主党を割ることも視野に入れているとされる。
「小沢氏は6月以降、あるメガバンクに数億円の融資の依頼を行っていました。最初に依頼した銀行からは断られてしまいましたが、現在は別のメガバンクと融資の交渉中のようです。一時は『代表選に向けた軍資金作り』と見られていましたが、ここに来て、鳩山氏らと新党を結成するための資金ではないかと見られています」(前出・民主党幹部)
だが、党内での求心力は揺らぎ、いまだ刑事事件の被告人である小沢氏に、そんな荒業を実行する腕力が残されているのか。
多くの国民の目には、いまの小沢氏が王様の服≠まとっているようには、どうしても見えないのだが。
「週刊現代」2011年9月17日号より
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