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【高橋昌之のとっておき】たばこ増税への反論!野田政権の安易な増税路線をただす
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110911/plc11091118010017-n1.htm
2011.9.11 18:00 産経新聞
野田佳彦政権が発足して一週間余りが過ぎました。党役員、閣僚などの人事は表向き、「親小沢」と「反小沢」の対立を解消して「党内融和」を優先する布陣となりました。
民主党内ではこれを歓迎する声が多く聞かれるのですが、勘違いしてもらっては困ります。民主党の「党内融和」などは、国民からすればどうでもよく、国家、国民のための政権運営、政策が行われるかどうかが重要なのです。私も今後、その点をしっかりと見極めていきたいと思います。
そこでまず気になるのは、野田首相が東日本大震災の復興財源として増税を検討する方針を打ち出したことです。私は少子高齢化社会への対応や日本のゆがんだ税制の直間比率是正などの観点から、将来的には消費税率を引き上げるべきだと考えています。しかし、日本経済が危機的状況にある中で、それも東日本大震災の復興財源として増税を行うことには反対です。
「将来の世代にツケを回すべきではない」というのが増税論者の主張ですが、震災復興は原因が自然災害であって現在の世代の責任によるものではないうえ、復興の利益は将来の世代も享受することになります。その観点から、震災復興の財源については将来世代も負担を分かち合う仕組みで構わないと考えます。しかし、野田政権は増税ありきの方針で突き進んでいるように見えます。
その中で早速、看過できない閣僚の発言がありました。小宮山洋子厚生労働相によるたばこ増税を行って「1箱700円」にするとの発言です。これは5日の記者会見で飛び出しました。今回はこの問題を中心に書きたいと思いますので、まず記者会見でのやりとりを紹介したいと思います。
ーーたばこ増税について、復興財源に充てるという意見もあるが
小宮山氏「(私は)昨年も税調担当副大臣として、たばこ価格の議論をした。その中で私が申し上げたのは、毎年一定の金額を上げていくと。必ずたばこ価格を上げ続けるということが、今吸っていらっしゃる方の8割から9割が本当は禁煙したいと言っている。どうせやるなら背中を押すような値上げをしてくれという声も大変多い。そういう意味では1回きりだと思うと、今はまだ500円玉1個で買えちゃうもんですから、本当はだから、去年私が提言したのは100円ずつ上げていきましょう、毎年と」
「日本(のたばこ価格)は非常に価格が低くて、世界の平均は600円台だ。だから、この政権になって初めて(たばこ税を)5%、それまで1%しか上げたことなかったのを上げた。昨年は財務省からあれだけ大幅に上げたので、税収が減るかもしれないから1年様子を見させてほしいといわれたが、もともと税収を上げるためじゃなくて健康を守るためにやるんでしょという話をずっとしている」
「日本はたばこ規制枠組み条約にも批准をしながら、それを守らないという本当に世界で不思議な国になっているので、そこのところは私もここの責任者になりましたし、できればたばこ事業法で財源として財務省が持っているのが本当はおかしいので、健康の法律として厚労省が持てるようになっていけばいいと。その方向で関係者としっかり協議したいと思います」
ーー来年度以降は再値上げを目指すか
「そうですね。いろんなデータからすると、700円台ぐらいまでは税収は実は減らないんです。ですから、少なくともそこまではなんとかたどり着きたいと思います」
この発言が報道されると、あまりの反響の大きさから、小宮山氏は6日の記者会見で、「私が(たばこを1箱)700円に上げると決める省庁(の大臣)ではございませんので、昨年私が税調にこの省を代表して説明した内容をご説明しただけですので、誤りのないように報道をお願いしたい」と、トーンダウンするとともに誤報だと批判しました。
しかし、報道が誤っていないことは、先の記者会見のやりとりから明らかで、す。だれがみても小宮山氏はたばこ税を上げるべきだと発言していますし、1箱700円についても「何とかそこまでたどりつきたい」と明言しています。
それを誤報呼ばわりされたことに対して、記事を書いた厚生労働省担当の記者は、小宮山氏に反論したり、抗議したりすべきだと思うのですが…。いずれにしても、小宮山氏の発言こそ認識に誤りがあるうえ、たばこ増税の論理についても納得できません。私は喫煙者ですが、その立場からも反論したいと思います。
第1に「喫煙者の8割から9割が禁煙したいと言っている」という部分です。これに関する公式なデータは、それこそ厚生労働省が平成21年に行った調査ぐらいしかありません。それによると、習慣喫煙者のうち「たばこをやめたいと思う人」の割合は男性31・7%、女性41・6%にすぎず、小宮山氏の発言とは大きくかけ離れています。
この点を厚生労働省に聞いたところ、「小宮山大臣はどこかの製薬会社のデータか何かをもとに発言されたのではないでしょうか…」と戸惑っている様子でした。小宮山氏は閣僚になったのですから、いい加減なデータをもとに発言をしてもらっては困ります。
第2に各国のたばこ価格における税の割合です。たばこの価格は欧米の主要国と比べると、日本の方が安いのは確かですが、これはたばこ税が安いからではありません。
たばこ価格におけるたばこ税の割合を各国で比較すると、日本は英国、フランス、ドイツとほぼ同水準の6割前後で、米国は5割強にすぎません。欧米の主要国のたばこ価格が高いのは、たばこ税が高いためではなく、付加価値税(日本においては消費税)や生産コストなどが高いためなのです。
したがって、欧米の主要国に比べてたばこ価格が安いからといって、たばこ税を引き上げるべきだというのは、国際社会の実態を無視した全く根拠のない主張と言っていいでしょう。
第3に小宮山氏は「日本はたばこ規制枠組み条約にも批准をしながら、それを守らないという本当に世界で不思議な国になっている」と発言しましたが、これは同条約を理解していない発言です。
同条約が締約国に義務づけているのは、たばこの消費削減ではなく、たばこの広告規制や健康被害の警告表示、未成年者の自動販売機による購入防止などで、日本はきちんと義務を履行しています。それを閣僚が「条約違反をしている」と発言したのは、理解不足どころか実は大問題です。
次に、小宮山氏らたばこ増税を求める嫌煙家の論理の問題点を指摘したいと思います。小宮山氏が発言したように、喫煙を止めさせるためにたばこ増税をして価格を引き上げるというのは、喫煙者のみに過大な税負担を強いるという点で問題があります。
もし、喫煙に絶対反対だというなら、法律で禁止するよう、正面から主張したらいいのではないでしょうか。しかし、そこまでは言わないわけです。法律で禁止されていない以上、喫煙の権利はあるわけで、尊重されてしかるべきです。
あるいは小宮山氏のように「喫煙者でやめたいと思っている人を後押しする」というなら、病院や薬品による禁煙治療を推進する施策を具体的に提案すべきです。厚労相になったのならなおのこと、そちらの方で真剣に取り組んだらどうでしょうか。
それをたばこ増税で価格を上げることで喫煙者を減らそうというのは、喫煙者の権利を踏みにじるものです。昨年10月の増税でたばこ価格は1箱当たり約100円高くなりましたが、1日に2箱吸う人で計算すると、年間7万3000円もの支出増となり、たばこ1箱(410円の場合)当たの税負担(消費税を含む)は264円で、年間で何と約19万円にも上ります。
こんなに個人の負担が重い税は日本国内で他にはありません。私は税の公平性の観点からいって、たばこ税は現在の水準ですでに問題があると思っています。
確かにたばこ価格が上がったのを機会に喫煙をやめた、あるいは本数を減らしたという人もいますが、ストレスを感じずにやれているのならいいと思います。しかし、吸いたいのに価格が高いから吸えないというストレスを抱えている場合は、逆に精神的にも健康上も問題があるのではないでしょうか。
厚生労働省は平成2年から9年の調査結果として、がんによる死亡の相対危険度として、非喫煙者を1とした場合、喫煙者は男性が1・5、女性は1・6とのデータを公表しています。
しかし、私が懇意にしている某有名医師は「喫煙が健康に与える被害というのは実は確たるデータがない。健康に良くないのは間違いないが、喫煙をやめることでストレスを抱える場合はそれ以上に深刻な健康、精神上の問題をもたらす可能性がある。だから私は喫煙者に禁煙を勧めたことはない」と語ります。
議論は分かれるところですが、喫煙者は健康リスクを承知のうえでたばこを吸っているのですから、他人に迷惑をかけなければ自己責任といっていいと思います。ちなみに受動喫煙によって肺がんなどのリスクが上昇するかどうかについては「上昇する」「上昇するとはいえない」という両方の研究報告があり、今のところ、一貫した見解は示されていないのが実情です。
これ以外に、たばこ増税がどれほど税収を増やす効果があるかという点も議論のあるところです。昨年10月のたばこ大幅増税で税収がどうなったかといえば、増税前の平成22年1〜7月はたばこ税収(国税分)が5678億円だったのに対し、増税後の今年1〜7月は6573億円で、895億円の増加です。
確かに税収はアップしていますが、規模は思ったほど大きくはなく、1箱約100円という喫煙者の大幅な負担増を考えると、それに見合った税収増とはいえないと思います。したがって、これからさらに増税しても税収を増加させられるかどうかは、甚だ疑問です。
以上、たばこ増税への反論を書いてきましたが、野田政権にはこうした点をきちんと踏まえて議論してもらいたいと思います。野田政権は7日に政府税制調査会の初会合を開いて、東日本大震災の復興財源をまかなう臨時増税の議論を開始しました。増税対象は(1)所得税と法人税(2)消費税(3)所得税と法人税に酒税やたばこ税など他の税目の組み合わせーの3案を軸に検討されることになっています。
たばこ増税は毎年末の税制改正で常に検討の対象となり、「たばこ増税なら国民の批判も少ないだろう」という政権側の思惑もあって、増税が重ねられてきました。しかし、税制という政治の根幹の課題でこうした安易な発想はあってはなりません。
とくに今回は東日本大震災の復興財源の議論です。財源をどうすべきかは、冒頭に書いたように、増税によるべきか否かという根本から議論してもらいたいと思います。その結論によっては日本経済の行方を大きく左右する、つまり国民生活の浮沈がかかっているからです。
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