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ちょっと古い話になるが、一川保夫防衛相が2日の認証式前に、「安全保障に関しては素人だが、これが本当のシビリアンコントロール(文民統制)だ」と述べた。その発言を取り上げ、自民党の石破茂政調会長が、「閣僚解任に値する。任命した野田首相の見識も問われる」と批判した。一川氏は5日の就任後の記者会見で、文民統制についての見解を軌道修正した。
シビリアンコントロール・文民統制とは、「政治家が実力組織たる自衛隊や軍隊を統制する」「軍事より政治が優先する」ということである。この根本理念は、「民主国家では主権者の代表である政治家(=国会議員)が国権の武力を統御する」という主権在民である。明治憲法下では軍の統帥権は天皇にあった。そして軍人が天皇の統帥権に名を借りて、戦争に向かって暴走したことを考えれば、頷ける話だろう。
一川氏の当初の発言が、文民統制を正しく解釈していなかったと言えばその通りだ。
だが、文民統制の根本理念をひっくり返した訳ではない。天皇の統帥権とでも言ったのなら、批判されて当然だが、何も目くじらを立てるほどのことではない。「閣僚解任に値する」と言う石破氏の発言には、「安全保障・防衛問題について、自分が誰よりも詳しい。素人は黙ってろ」という思い上がりがあるように感じるのだ。
処で、民主党の前原政調会長が7日、ワシントンで開かれた日米同盟に関するシンポジウムで講演し、武器輸出3原則の見直しや、海外に派遣された自衛隊の武器使用基準緩和などで、これまでの日本政府の方針より踏み込んだ発言をした。この話を聞いた一川防衛相は、「(政府側と)何も連携は取れていない。直接、前原さんから聞いたことはない」と述べ、政府と調整した上での発言ではないと強調したそうだ。
防衛相がこの前原発言について、政府との事前調整を否定したたことは、前原氏が述べたことは政府の公式見解ではない。だが、前原氏は与党民主党の政調会長である。たとえ私的シンポジウムでの講演で、個人的見解だとしても、日本政府の公式見解を超える発言を、公開された場ですることは、許されることではないはずだ。
そもそも前原氏は、野田首相や玄葉外相に先立って、どういう立場でワシントンを訪問し、講演したのだ。野田首相訪米の地ならしだと言う説もあるが、それならなお、政府方針を超える話をするなら、事前に政府と調整すべきだ。しかも3原則の見直しは、この6月にアメリカ政府から見直し要請があったことである。だが、民主党内では、護憲派を中心に反対する声があるのだ。既に近藤昭一前副環境相が、「党で議論してから言うべきだ」と批判している。
まさか、一川氏が「安全保障に関しては素人だ」と述べたので、自分が防衛相になったつもりで講演したのではないだろう。いずれにしろ、彼の得意な無責任発言では済まされない話である。一部の人から、前原氏がアメリカのジャパン・ハンドラーズの手先・売国奴と言われるのは、こういう分をわきまえない発言が多いからだろう。
処が、この前原発言に対し石破氏が、「前原氏の考えが法案化され国会に提出され、自民党案と並行して審議が行われ、両党が歩み寄った形での法律の成立が望ましい」と述べた。それはこれまでの政府方針を超えることを意味する。それが、安全保障に関して「素人でない人たち」=「玄人」の考えなのだろうか。と言うことは、これまでの政府方針は、素人の考えだったと言うことにならないか。
自民党時代を含め歴代防衛庁長官・大臣は、「玄人」ばかりではなかった。そういうことだろう。ある元制服組の高官が、「本人は詳しいつもりの人もいたようですが、みんな素人みたいなものだった」と述べている。元制服組が言う「素人」の定義が正しいとは限らないが、「素人大臣」は結構多かったのと違うか。
安全保障・防衛問題で一番怖いのは、ミリタリーオタクの政治家が玄人気取りで、制服組に出過ぎた指図をすることや、国際社会で分をわきまえない発言をすることだ。処で、08年2月に起きたイージス艦あたごと漁船の衝突事件当時の防衛相。文民統制の問題もあって、誰もが責任を取って辞任すると思っていた。だが、辞任しないままに内閣改造を迎えた。そうでしたね。石破元防衛大臣殿。
http://www.olive-x.com/news_30/newsdisp.php?n=113695
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