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勝負は来年9月!
2011年09月05日21時56分 田原総一朗
http://news.livedoor.com/article/detail/5839224/
8月31日、野田新首相が誕生した。僕は、野田さんが勝ったことは番狂わせだったと思う。最初は、前原さんの支持率が圧倒的に高かった。小沢さんが途中から海江田さんを支持したことで、海江田さんが勝つのではないかと思われた。ところが、結果的に代表に選ばれたのは野田さんだった。まさに番狂わせである。では、なぜこの番狂わせが起きたのか。
ひとつは、海江田さんが下手すぎたのである。まるで小沢さんが書いた台本をそのまま読んでいるかのように、小沢さんの思う通りのことを言った。もっとうまい演技をしてごまかせばいいのに、あまりにも小沢さんの思うままを言ってしまった。この演説を聞いた議員たちは、こんなことで内閣がうまくいくはずがないと、思ってしまったのである。たとえば、マニフェストをちゃんとやると言っている。だが、マニフェストをいい加減にしたことで、菅内閣は、自民党と公明党と合意して3つの法律を通した。では、この3党合意はどうするのか。
それから、小沢さんの党員資格停止を解除するとも言っている。小沢さんは、もう少し民主党や日本のことを考えていると思っていた。ところが、自分のことしか考えていない。その小沢さんの操り人形ではどうしようもないではないか、と。
それから、前原さんである。選挙の1週間ばかり前になって問題になっていた女性からだけでなく、また別の外国籍の男性からも献金を受けていたことが明らかになった。なんでこんなバカなことをしたのかと僕は思う。なぜ、代表選の1週間前なのか。なぜ、2か月、3か月前に発表しなかったのか。だから、前原さんの選挙の演説は、謝罪ばかりになった。まるで落としてくれと言わんばかりだ。僕は、前原さんに極めて近い人に、なぜこんなバカなことをしたのか、なぜもっと早く発表しなかったのかと聞いた。だらしないことに、前原事務所は、まったくわからなかった、と。前原さん自身も脇が甘くて、まったく知らなかったようだ。
さらに、ほかの人はみな裏表がある。政治家はみんな裏表があるのだけど、野田さんには裏表がなさそうだ。それなら野田さんがいいのではないかと、消去法で浮かび上がって当選したのである。
そこで党の人事である。なぜ輿石さんを、幹事長にしたのか。おそらく野田さんは、鹿野さんを幹事長にしたかったのだと僕は思う。ところが、小沢さんが断固としてNOと言った。一方、輿石さんはれっきとした小沢グループの人である。しかも参議院議員だ。いままで参議院議員が幹事長になったことはなかった。野田さんは、わざわざ参議院議員の、それも小沢さんに近い輿石さんをなぜ選んだのか。
その理由はいくつかある。なによりも小沢さんがOKしたことが大きい。小沢さんは4つのことを要求していた。ひとつは、マニフェストを復活すること。だが、マニフェストが復活したら、自民党と完全に喧嘩になる。ふたつめは、小沢さん自身の党員資格停止を解除することである。3つめは、増税である。東日本大震災の復興のための財源が約20兆円いる。半分は復興国債、半分は増税と言っているが、小沢さんは増税はダメ、国債にしろと言っている。4つめは、TPPである。小沢さんは断固NOである。
ひとつめの要求だが、実は輿石さんは、菅内閣の役員のひとりであった。役員としてマニフェストをいい加減にして3党合意にOKした。だから輿石さんは、海江田さんのようにマニフェスト復活と言えない。そんな輿石さんを小沢さんはOKとしたのだから、ここでもめることはない。
ふたつめは党員資格停止の解除である。ここがいちばんのポイントであるが、野田さんは輿石さんに次のように言った。小沢さんの党員資格停止を言うな、と。輿石さんはすぐにはOKしなかった。しかし結局、その後の記者会見で、すぐには解除せよとは言わない、党が決めたことは重んじなければならない、と発言している。
さらに、党の三役人事で、政調会長に前原さんをもってきた。国対委員長は平野さんである。平野さんは、鳩山さんの側近で鳩山内閣の官房長官である。つまり、小沢、鳩山、前原という、まさに挙党態勢をとった。野田さんの言う「ノーサイド」である。
この政調会長だが、大臣にならない、政調会長専任とした。そこで、政調会長を軽く見ていると書いている新聞もあるが、もちろんこれは違う。政調会長に実権を握らせる、ということである。具体的には、政調会長に政策についての権限を握らせ、増税とTPPをやらせる。前原さんにそれを任せると。さらに、幹事長を牽制するために、幹事長代理に樽床さんをもってきた。輿石さんが参議院だから、衆議院の樽床さんというのもあるが、樽床さんは中間派だから、前原さんへの牽制にもなる。
もうひとつ大きな問題がある。幹事長の権限でいちばん大きいのは何か。お金である。政党助成金などの党の金は、ぜんぶ幹事長が権限を握っている。小沢さんは金にいちばん神経を使ってきた。現に小沢さんが代表だったときの幹事長は鳩山さんだった。そこで僕は鳩山さんに、党の金はあなたが握っているんですね、と聞いたら、鳩山さんは、一銭ももっていない、代表がもっている、
と答えた。つまり、代表のときも、幹事長になってからも小沢さんは金を握っていた。小沢さんが党の金を全部握っていたから小沢グループが力をもっていた。今度は、輿石さんが幹事長になったから、党の金をぜんぶ小沢さんに握られる可能性がある。それを牽制するために、幹事長代理に樽床さんを、政調会長に前原さんを選んだのである。
それにさらに言うと、岡田さんが幹事長のときに、真面目な岡田さんは、党の金をガラス張りにした。野田さんは、このガラス張りを守ろうとしている。野田さんは、相当考えて人事をしたのだと僕は思う。
民主党がこれからやらなければならないことは何か。鳩山さんも菅さんも民主党と自民党がどう違うか、その違いを出すことに必死になった。
鳩山さんは違いを言うために口が軽いからウソばかり言った。菅さんは自民党との違いを出すために脱原発を口にした。ところが、野田さんは、自民党、公明党とどううまくいやっていくかが問われることになる。
大連立はない。だが、東日本大震災の復興と財源をどうするかについて、超党派の委員会ができるのではないかと僕は思っている。野田さんが超党派の委員会をつくって自民党、公明党を引き込む、と。野田さんはブレない。だから民主党のなかでも非常に信頼度が高い。他のグループとチームプレーができる。菅さんは個人プレーしかできなかった。野田さんは菅さんと違う。
しかし、野田内閣の最大の問題がひとつある。来年の民主党代表選である。なぜ小沢さんが海江田さんを代表、総理にしたかったかというと、傀儡にしたかったからである。傀儡は、来年の8月までである。そして9月にある正式な代表選に、小沢さんは100%エネルギーを注ぎ込んでいる。小沢さんは、党員資格停止中である。だが、小沢さんの裁判は、来年の春、遅くても夏の初めに結審する。おそらく無罪だろう。そして党員資格が戻る。
党員資格が戻るのは、小沢さんだけではない。6月に衆議院で、自民党が菅内閣不信任案を提出した。当初、小沢さんや鳩山さんは不信任案に賛成しようとした。ところが、鳩山さんは菅さんに騙されたこともあって、不信任案に賛成しなかった。一方、小沢グループはというと、賛成こそしなかったが、10人以上が欠席をした。そして、彼らは党員資格停止になった。この10人以上の小沢グループの党員資格停止者が戻ってくる。つまり、来年9月の代表選では、小沢グループが10人以上増えることになる。だから、来年9月の代表選に焦点をあわせて、海江田さんを傀儡にしようとしたのである。
民主党の代表になるということは首相になるということである。つまり、野田さんの最大の役割は、小沢さんが代表になるのをどう阻止するかということである。阻止できるかどうか、そのために野田さんはどうするか。そこが勝負である。阻止できなかったなら、野田さんは失敗だったということになる。
輿石さんを幹事長にしたのは野田さんが計算し尽くした人事であるのだ。勝負は来年の9月である。
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