04. 2011年9月09日 12:37:01: sX4qbYDmU2
法と民主主義(2011年9月8日) 朝から緊迫した状況に身を置いている。 間近の領土問題を抱える沖縄・八重山地区(石垣・与那国・竹富)で使われる教科書の採択に関する問題だ。 発端は、教科書採択について法的には「指導・助言・援助」の権限しかない沖縄県教育委員会の明らかな『意図』に基づいた介入から始まった。 もともとこの八重山地区の教科書選定は、3教育委員会合意の『教科図書八重山採択地区協議会』が設置され、来年から中学校で使用する教科書の選定について話し合いがが行われてきた。 沖縄・八重山地区は、中国が一方的に領有権を主張し、主権侵害を繰り返している、我が国の領土『尖閣諸島』を抱えており、特に、公民の教科書については、領土について正しく明確な記述のある教科書で子供達を指導すべし、という『まっとうな声』が、『協議会』の議論の中では過半数を超えていた。 また、左翼イデオロギー集団の介入により、これまでの採択は、協議会に諮られる前に『この教科書を使うべし』という『絞り込み』が悪しき慣例として行われてきたが、『協議会』はこの悪しき慣例も、協議会での議論が始まる前にあらかじめ廃止し、中立・公正な観点で教科書を議論し、採択できる制度改正を行っていた。 教育正常化のために、勇気を持った踏み込みを『協議会』は、『子供達のために』行ってきたのだ。 そんな中、協議会での採択を予定していた8月4日の直前の2日前、沖縄県教育委員会は突如、この採択に介入してきた。 いわく、 @協議会採択日程の偏向 ※左翼イデオロギー集団が推している教科書が採択できないので、時間を稼ぐ。 A協議会の構成メンバーの追加を要請 ※多数決で過半数になるようにするための画策 これは、法的根拠のない、明らかに不当な介入だ。 『協議会』はAの構成メンバーの追加については、当然のこととして拒否。一方で協議会採択は延期となった。様々な配慮があっての苦渋の選択だった。 そんな流れの中で、さらなる議論を重ねに重ね、8月23日、構成委員8人が無記名で投票し、『公民』の教科書については、領土問題も丁寧に書かれている『育鵬社』の教科書が賛成多数で決まった。 公正な民主的手続きで、だ。 この決定を受けて、直ちに3つの教育委員会が開催され、この決定に従い、委員会としての採択が行われた。 しかし、ここで、波乱が起きた。 石垣・与那国は三市町が設置した協議会の答申を受けて、『育鵬社』の教科書を採択したが、なんと竹富町は、この民主的に決まった答申に従わず、『東京書籍』の教科書を採択したのだ。 『義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律』13条4項では、採択地区内の学校で使用する教科書は、協議した上、教科ごとに同一の教科書を採択しなければならない、と明記している。 当然と言えば当然。バラバラな教科書を使っていたら、高校受験にだって影響する。 しかし、この法律で規定しているにも関わらず、さらに前提として、3市町で共同設置した『協議会』で行われた民主的決定があるにも関わらず、である。 このままでは、違法状態になってしまう。 そこで、8月30日、3市町の教育長は役員会を開いて法に基づいた採択をすべきと協議したが、竹富町はこれを拒否し、もの分けれ。 結果、教科書無償措置法が求めている採択期限の8月31日以内に教科書が決まらないという、さらなる違法状態となった。 そして、期限を過ぎた9月2日。 石垣市、与那国町、竹富町は、改めて教育委員会を開いて、二度目となる教科書採択を行った。 そして、結果は再度、石垣市と与那国町は、これまでの審議と法律に基づいて『育鵬社』の公民教科書を採択。しかし、竹富町は再度、経過を完全に無視して『東京書籍』の公民教科書を採択したのだ。 竹富町側の言い分は以下の通り。 たしかに『義務教育諸学校の教科書用図書の無償措置に関する法律』では、採択地区で同一の教科書を使用する旨が書かれているが、一方で『地方教育行政の組織及び運営に関する法律』では、教科書、その他の教材の取り扱いは、教育委員会が管理、執行できるとある。どちらの法律が優先されるのか。竹富町はあくまで『地方行法』に従って採決しただけ。 まったくわかってない言い分だ。 教科書採択の前提は、『教科用図書の無償措置に関する法律』の定められ、協議を経て決定した事項に基づき、同一採択地区の各教育委員会が『地教行法』で定められる権限を根拠として執行するものだ。 文部科学省にも再三再四確認し、文部科学省もそれが原則であることを表明している。 もしも、竹富町のような事が起こるなら、教科書の採択制度が空中分解してしまう。民主的プロセスを経た決定が、特定のイデオロギーにのみ込まれてしまうことになるのだ。 さて、2度にわたる竹富町の『育鵬社』拒否により、違法状態が続いている八重山地区で、今日、2時から沖縄県教育委員会の呼びかけで、3市町の教育委員を集めた協議の場を設置し、あわよくば、そこで多数決を持って、同一の教科書を採択するという流れになっている。 もしも、この強引な、そして権限のない県の教育委員会提案の教育委員協議で多数を持って決するとしたら、どうなるか? 3市町の全教育委員13人の内、8人が『育鵬社』教科書に否定的とされているため、法に基づき、時間をかけて民主的に進められ、決定したものが、そのプロセスを否定されてひっくり返ってしまうのだ。 これは、まさに民主主義の否定であり、民主主義の悪用である。 採択制度に意見があるなら、法改正を目指せばいい。 しかし、法改正がない限り、現行法を遵守する。 それは法治国家の原則であり、まして、子供達にルールを説き、民主主義というものを教える教育関係者の責任だろう。 予定されている2時の会議まであと3時間。 昨夜から、今朝にかけて、何度も関係者と連絡を取り合い、対応を協議している。 今、日本の民主主義が試されている。 それは、国会においても同様だ。 国民の代表たる国会議員は、国民に聞くべきだ。 特に、新内閣のもとで13日にようやく開催される運びとなっている国会を4日間と閉じてしまおうとしている、与党・民主党議員は国民に聞くべきだ。 この危機的な状況の中で、自己中心なそんな暴挙が許されることなのか、を。 国会においては多数を持っているが、しかし、我々の後ろにいる圧倒的多数の国民は、とにかくしっかり国会を開き、震災関係も含めた立法や予算措置を断行して欲しい、いや、断行すべきだ、と思っているのだ。 数合わせの多数決と、民主主義は違う。 繰り返す。 今、日本の民主主義が試されている。 声がかれるまで、訴えます。 以上、義家弘介のブログより http://www.yoshiie-hiroyuki.com/diary/Diary.php
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