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2011年9月7日 11:41
外国人献金問題の本質と落とし穴(その1)
はじめに
国会議員(大臣)の政党支部・政治団体が在日外国人から寄付を受けていたことについて、マスコミで大きく取り上げられている。
以前から問題視されてきたことであるが、特に民主党政権の大臣・議員の政治団体等が受け取っていたため、マスコミ報道は加熱している。
しかし、私はこの問題の本質を見失ってはならないと考えている。
在日外国人の個人献金であまり加熱しすぎることには、大きな「落とし穴」をつくることになると危惧している。
以下、私のマスコミで紹介されたコメントも紹介しながら、詳しく説明したい。
なお、分量が多いので、1回の投稿では終わらないことにご留意いただきたい。
この投稿は、「その1」であり、外国人献金問題の本質について書くことにする。
1.改正政治資金規正法とその問題点
(1)まず、確認したいのは、外国人の寄付の受領を金している政治資金規正法の規定と罰則規定である。
第22条の5 何人も、外国人、外国法人又はその主たる構成員が外国人若しくは外国法人である団体その他の組織(金融商品取引法第2条第16項に規定する金融商品取引所・・・に上場されている株式を発行している株式会社のうち定時株主総会において議決権を行使することができる者を定めるための会社法・・・第124条第1項 に規定する基準日・・・を定めた株式会社であつて直近の定時株主総会基準日が1年以内にあったものにあっては、当該定時株主総会基準日において外国人又は外国法人が発行済株式の総数の過半数に当たる株式を保有していたもの)から、政治活動に関する寄附を受けてはならない。ただし、日本法人であって、その発行する株式が金融商品取引所において5年以上継続して上場されているもの(・・・)がする寄附については、この限りでない。
2 前項本文に規定する者であって同項ただし書に規定するものは、政治活動に関する寄附をするときは、同項本文に規定する者であつて同項ただし書に規定するものである旨を、文書で、当該寄附を受ける者に通知しなければならない。
――
第26条の2 次の各号の一に該当する者は、3年以下の禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
1 ・・・
2 ・・・
3 第22条の3第6項、第22条の5第1項又は第22条の6第3項の規定に違反して寄附を受けた者(団体にあっては、その役職員又は構成員として当該違反行為をした者)
4 ・・・
5 ・・・
6 ・・・
(2)これらの規定の内容を簡潔にまとめると以下のようになる。
(ア)何人も外国人から政治活動に関する寄付を受けてはならない。
(イ)A何人も外国法人から政治活動に関する寄付を受けてはならない。
(ウ)何人も主たる構成員が外国人若しくは外国法人である団体で、外資50%超の法人から政治活動に関する寄付を受けてはならない。
(エ)ただし、(ウ)であっても、例外がある。
すなわち、日本法人であって、その発行する株式が金融商品取引所において5年以上継続して上場されているものから、政治活動に関する寄付を受けても、それは違法ではない。
つまり、外資50%超の日本企業であっても、株式を5年以上上場していれば、政治献金が許されているのである。
(オ)上記(ア)(イ)(ウ)について、実際に当該寄付を受けた者には罰則が予定されている。
Eしかし、上記(ア)(イ)(ウ)の寄付をした者には、罰則は予定されていない。
つまり、違法な寄付をした者は処罰されないが、違法な寄付を受けたものは処罰されうるのである。
(3)以上の規定は、2006年末に改正されたものである。
改正される前の規定は、以下である。
第22条の5 何人も、外国人、外国法人又はその主たる構成員が外国人若しくは外国法人である団体その他の組織から、政治活動に関する寄附を受けてはならない。
これには少し解説が必要になる。
上記(ア)(イ)の受領禁止は明らかであるが、上記(ウ)については明文の禁止規定がないからである。
「主たる構成員が外国人若しくは外国法人である団体」については、「構成員の過半数を外国人若しくは外国法人が占めている団体」のことである。
したがって、「発行株式数の過半数を外国人または外国人が保有する株式会社」や「持分の過半数を外国人または外国法人が有する有限会社」からは、何人も、政治活動に関する寄付を受けることが禁止されると解説されてきた(政治資金制度研究会編集『逐条解説・政治資金規正法[第2次改訂版]』ぎょうせい210頁)。
つまり、2006年末の改正前であっても、政治資金規正法は、上記(ウ)も違法として受領が禁止されていたのであるが、同年改正により、それが明記されたのである。
外国人、外国法人、外資50%超の企業からの政治献金を違法として禁止し、それを受け取った者に罰則を設けてきたのは、「我が国の政治や外国の組織、外国の政府など外国の勢力によって影響を受けることを未然に防止しようという趣旨」と説明されてきた(政治資金制度研究会編集・同上210頁)。
端的に言えば、国家主権(国家の独立性)に反するから、このような規制が加えられていたのである。
(4)ところが、2006年末の改正により、上記(ウ)については、前掲の「だたし」書きにより例外を設け、外資50%超の企業の政治献金禁止については規制緩和をして当該政治献金を合法にしてしまったのである。
個人献金に比べると企業献金の方が国家主権(国家の独立)を脅かす危険性は高い。
にもかかわらず、より危険性の高い企業献金を合法にして、より危険性の低い個人献金を違法のままにしたのである。
(5)これは財界の都合によるものだった。
以前説明したことであるが、簡潔に説明すると、それは以下のようなものだった。
当時、日本の保守政治は新自由主義路線をとっていたが、日本経団連は、そのスピードが遅いとして、さらに新自由主義路線へと誘導するために、財界(人)に有利な「優先政策事項」を発表し、それに基づいて自民党と民主党の政策を評価し、その評価に応じて傘下の企業に政治献金をするよう斡旋していた。
つまり、日本経団連による二大政党の(政策)買収である。
日本経団連会長の企業は、率先して政治献金をしてきた。
ところが、その会長が、トヨタの奥田氏からキャノンの御手洗富士夫氏に交代したが、キャノンは外資50%超の企業であったため、キャノンが政治献金できるように法律改正されたのである。
現に、キャノンは率先して政治献金してきた。
これにより、キャノンを含む「外資系企業による政策買収」が合法になってしまったのである。
つまり、国家主権(国家の独立)は財界の都合で軽視されてしまったのである。
(6)したがって、最も問題にすべきは、「外資系企業による政策買収」を可能にした2006年末の政治資金規正法の改悪である。
国家主権(国家の独立)を重視するのであれば、少なくとも改正前の状態に戻し、外資50%超の企業がする政治献金の受領を違法として禁止すべきである。
(7)民主党は企業・団体献金の全面禁止を公約した。
これが実現すれば、結果的には、「外資系企業による政策買収」も禁止されることになる。
しかし、小沢一郎幹事長(当時)が政権交代後すぐにその公約を反故にしてしまったのである。
(続く)
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