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9月7日(水) 政治改革の失敗によって自縄自縛となった日本政治
昨日のブログで、日本の政治はどうしてかくも劣化してしまったのでしょうか、と問題を提起しました。色々な回答が可能でしょうが、その要因の最たるものは政治改革の失敗だったと思います。
企業・団体献金を禁止せずに政党助成金を導入し、小選挙区制を中心とする選挙制度に変えたために、日本の政治は「改革」どころか「解体」の危機に瀕し、自縄自縛に陥ってしまいました。細川内閣によってなされたのは「政治改革」ではなく、「政治解体」だったのです。
第1に、政治改革が主たる目的としていた「政治とカネ」の問題は全く解決されませんでした。それどころか、今もなお、日本の政治を混乱させている大きな要因の一つであり続けています。
民主党を悩ませ混乱させている「小沢問題」、鳩山元首相の巨額な「子供手当」、前原元外相の在日韓国人からの献金問題など、いずれも「政治とカネ」に関わる問題です。野田新首相や新閣僚などについても、このようなスキャンダルの影がちらついていることは、すでに報道されているとおりです。
一体、いつになったら、日本政治はこのような問題から抜け出すことができるのでしょうか。政治改革が取り組まれたとき、きっぱりと企業・団体献金を禁止していれば、このような問題は起きなかったのではないでしょうか。
第2に、小選挙区制の害悪も明瞭になっています。2大政党化による小政党の排除、理念・政策に基づかない政党の登場、2大政党の政策的な接近、短期間による多数派政党の入れ替わりとねじれ現象、大連立や翼賛化への誘惑、連立・連携の困難さなどは、全て小選挙区制という選挙制度によってもたらされたものです。
これらの問題について、もう少し細かく見ていくことにしましょう。
まず、2大政党化による小政党の排除という問題です。小選挙区比例代表並立制が導入されて以降、自民党ともう一つの政党(新進党や新・旧民主党)による2大政党化と、その他の中小政党の弱体化が進行してきました。
このような2大政党化は、有権者の選択肢を狭めることになります。その結果、新自由主義や市場原理主義への疑念、普天間基地の国外移設、消費税増税への反対、TPPへの抵抗、脱原発方針など、国会の中での議論にはほとんど反映されなくなってしまいました。
このようななかで、まやかしの選択肢を提起する「みんなの党」などの新党も誕生してきました。しかし、多様な選択肢の提起という点では、これらの新党も充分な役割を果たしてはいません。
次に、理念・政策に基づかない政党の誕生という問題です。これは特に民主党に顕著に表れています。
民主党は綱領をもたない珍しい政党ですが、それは理念・政策に基づくことなく結集している政党だからです。それに代わるものが選挙でのマニフェストでしたが、これも「見直し」によってあいまいにされようとしています。
民主党には、小選挙区で現職に対抗して立候補するために加わったような人が少なくありません。1人しか当選できない小選挙区制では現職以外の政党を選ぶ必要があり、野党時代の民主党はそのための選挙互助会でしたから、理念・政策が二の次となるのも当然でしょう。
第3に、2大政党の政策的な接近という問題があります。民主党と自民党も、このような傾向を強めてきました。
小選挙区制では、有権者の半分以上の支持獲得を目標にしなければなりません。そのために、2大政党の間に位置する有権者の奪い合いが始まります。
相手の支持者の引きはがしも必要になり、知らず知らずのうちに相互の政策が似通ったものになるのはそのためです。野田首相の自民党への接近の背景には、このような事情があると言って良いでしょう。
第4に、短期間による多数派政党の入れ替わりとねじれ現象の発生という問題があります。現在の日本政治を悩ませているこの問題も、小選挙区制に遠因があります。
小選挙区制には、少しでも相手を上回ればその差が拡大されるという「膨らまし粉効果」があります。しかも、マスコミ報道などもあって有権者の支持態度は、短期間に大きく変化するようになってきています。
選挙になると、小選挙区制によってこの変化が増幅され、短期間に多数派政党が入れ替わるという特徴が出ます。参院選でも1人区などの奇数区で小選挙区と同様の現象が現れますから、衆院選後の参院選で多数派政党が入れ替わるというねじれが生じたわけです。
第5に、大連立や翼賛化への誘惑という問題もあります。一方で2大政党の政策が似通ってきて、他方で衆参両院での多数を占めることができないとなれば、一緒にやったらどうかという考えが頭をかすめることは当然かもしれません。
こうして、大連立や翼賛化への誘惑が生まれます。この間、自民党と民主党との間でこのよう動きがありました。
まして、大震災と原発事故という未曾有の災害への取り組みが課題で、災害対策という点ではそれほど大きな違いがないとすれば、このような誘惑が強まるのも不思議ではありません。野田新首相は、このような大連立論者としてよく知られています。
しかし第6に、これとは矛盾するようですが、連立・連携の困難さという問題もあります。小選挙区で敵対している2大政党ですから、そう簡単に連立を組むわけにはいかないからです。
もし連立ということになれば、政権運営の全ての責任を共有しなければなりません。そのうえで、いったん選挙になれば対立候補を立てて互いに競争することになります。
そんな器用なことができるのでしょうか。まして、選挙が近いとなれば、敵対する可能性のある相手と手を組むことは難しくなるでしょう。
こうして、日本の政治は「政治とカネ」という古い問題を解決できず、政党政治の自縄自縛という新しい問題を生み出すことになりました。いずれも、政治改革の失敗によるものです。
民主党は、チャンスがあったら国会議員になりたい、大臣になりたい、首相になりたいという「政治的機会主義者」の集まりです。そこには、めざすべき国家像もなければ共通の政治理念や政策も希薄です。
ですから、綱領を決めることができず、それに代わるマニフェストも簡単に投げ捨てることができるのです。代表選になれば「今がチャンスだ」ということで「我も我も」と手を挙げ、当選の可能性が少ないとなったら手を下ろすというのが民主党です。
このような政党が巨大化して政権を担当するようになったのは、自民党政治が破綻したからです。小選挙区制でなくても政権交代は起きていましたし、小選挙区制以外での政権交代であれば、これほど政治が自縄自縛に陥ることはなかったでしょう。
しかも、民主党に代わりうる政党が、今のところ自民党しか見あたりません。このこともまた、日本政治を劣化させ、閉塞感を強めている要因の一つです。
いくら民主党がダメだといっても、あんな自民党に政権を戻して良いのか。かといって、このま民主党に任せておけば、自民党以上にひどい状態になってしまうのではないのか。
このようなジレンマに、有権者は悩まされているのではないでしょうか。ひと言で言って、日本の政治は出口のない状態に陥ってしまいました。文字通りの、袋小路です。
こうなったら、政治改革をやり直すしかありません。本物の政治改革を断行するべきです。それも、民主党政権のうちに……。
企業・団体献金を禁止して、政治腐敗の根を絶つことです。政治資金の出入りを透明化し罰則を強化して、いかがわしいお金が入らないようにするべきです。
衆院の小選挙区制を廃止し、比例代表制を基本とした選挙制度に変えなければなりません。参院も、1人区をなくすことが必要です。
1994年の政治改革以来、17年の年月が経ちました。政治改革という政治的実験は大失敗に終わったのです。
そろそろ気づいても良いのではないでしょうか。日本の政治を劣化させた元凶こそ小選挙区制であり、これを導入した政治改革は大きな間違いだったのだということに……。
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