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“どじょう内閣”本当の素顔…国民&小沢切り捨てが始まる
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110905/plt1109051630005-n1.htm
2011.09.05 夕刊フジ
野田佳彦内閣は「挙党一致」を掲げて発足し、報道各社の世論調査で高支持率を獲得した。前内閣に失望していた国民が「民主党に最後のチャンスを与えた」ともいえそう。こうしたなか、民主党代表選や組閣・党役員人事の知られざる事実が伝わってきた。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が、地味な「どじょう内閣」に隠された、「財務省支配」や「小沢切りシフト」の全貌に迫った。
野田首相(54)の組閣と党役員人事について、「党内融和を図る絶妙の人事」という評価が聞こえる。だが、だまされてはいけない。取材を進めると、背後に隠された2つの意図がはっきりと見えてきた。
まず、財務省主導の「増税内閣」ということ。それは民主党が政権交代時に、国民と約束した政治主導を放棄した結果に他ならない。
もう1つは、党内融和には程遠く、やはり小沢一郎元代表(69)のグループを排除する態勢なのである。
民主党代表選の直前、野田首相がアドバイスを求めに訪ねた人物がいる。組閣・党人事で、最も大きな力を発揮した指南役、藤井裕久元財務相(79)だ。
野田首相「首相になったら、どんな人員を配置すればいいでしょうか?」
藤井氏「大平内閣を目指せばいい」
大平正芳内閣は1978年に発足した。大平氏は大蔵省(現財務省)出身。「財政健全化」を掲げ、売上税(現消費税)導入を旗印にした。藤井氏も大蔵省出身。政権交代後に財務相に就任すると財政規律派に転じ、増税の道筋をつけた。野田首相をかわいがり、財務副大臣に登用。身を引いた後は財務相を譲った。
いまや野田首相は完全に財務省に取り込まれている。藤井氏は続けた。
「財政健全化を目指した大平さんの考え方や布陣は参考になる。あれをマネすればいいんだ」
これを聞いた野田首相は、すぐ大平氏の遺族に連絡を取った。
「当時のお話をうかがいたいと思いまして…」
これこそ野田首相が「爺殺し」といわれるゆえんである。年配者に気を使い、よく話を聞き、アドバイスを受ければすぐに行動する。藤井氏も「彼は話をよく聞く、いい政治家だ」と絶賛する。遺族を訪ねた野田首相は、大平内閣の資料をごっそり持ち帰った。
組閣の際、野田首相が財務省と二人三脚だった事実はほかにもある。
「野田さんは一度、民間人登用も考えた。そのとき、『誰かいませんか?』と相談をした相手が、財務省の勝栄二郎事務次官だった。民間の知恵を生かすなら、本来、役人とは逆の発想を入れるべき。そこまで財務省にべったりなのだ」(民主党ベテラン議員)
さらに、霞が関の面々が「財務省主導」を見抜いたのが、事務の官房副長官に、国交省の竹歳誠事務次官を当てたこと。
「事務の副長官人事は、総務省(旧自治省)と厚労省のたすきがけが慣例。前職の滝野欣弥副長官は自治省出身だから、今度は厚労省だった。国交相からの起用は異例だが、狙いは明白だ」(経産省OB)
そこに、財務省の巧妙な手口があるという。
「厚労省からの副長官だと社会保障費増などを言い出し、財務省が財政健全化を目指す障害になる。国交省に渡せば少額の公共事業を増やせば収まり、コントロールしやすい。勝さんが、野田さんにアドバイスした」(同OB)
表の顔も、完全に財務省シフトだ。
国家戦略相という、今後5年、10年先の国家像を描くポストには、財務省出身の古川元久氏(45)を抜擢。また、財務省主導の事業仕分けで操り人形になった蓮舫氏(43)が再び行政刷新相に起用された。
財務相の安住淳氏(49)に至っては、「初入閣で財務相などあり得ない。要は、野田さんと財務省ですべて振り付けるということ」(民主党閣僚経験者)
財務省主導政治の復活。その先には、財政健全化を大義にした増税が待っている。もはや、「政治主導で無駄を省き、予算の仕組みを変え、官僚政治を変える」と言っていた民主党はない。「自民党より後戻りした政権になった」(自民党幹部)のである。
もう1つ、今回の人事には「党内融和」というウソが潜んでいる。
ポイントは輿石東幹事長(75)と小沢氏の関係だ。輿石氏を登用したことで、「小沢グループへの配慮」という見方が支配的だが、まったく違う。
輿石氏をよく知る日教組元幹部は「輿石さんはしたたか。自分のためなら何でも利用するリアリストだ」といい、こう続ける。
「宿敵・自民党のドン、金丸(信元副総裁)さんに同郷人として接近し、『かわいいヤツ』といわれた。社会党の先が見え始めた途端、支援者をほうり出して民主党に移った。上昇志向、権力志向のためなら何でも利用するタイプだ」
輿石氏にとって、小沢氏はこれまでは使えた。
民主党が参院選で勝利した2007年ごろ、参院会長だった輿石氏は代表の小沢氏に近づいた。「以後、小沢氏をバックに発言力を増し、『参院のドン』として影響力を不動のものにした」(民主党議員)
だが、「自分に不利」と見るや、平気で逆の態度も取っている。
落選の危機にあった昨年の参院選。輿石氏は支援者を前に、「政治とカネの問題はあってはならない。世間では『私と小沢さんが仲がいい』とか言われているが、まったくは関係ない」と言い放っている。
小沢氏の党員資格停止処分でも、世論の批判が噴き出すと、当時の岡田克也幹事長(58)に丸投げした。
一方の小沢氏は、輿石氏を信頼しているのか。そこには「気遣いと恐怖心」があるという。
「93年の細川連立政権で、小沢さんは参院を軽視して連立崩壊を招いた。あのトラウマがある。以来、小沢さんの参選への力の入れようは異常で、何か行動するときには、『参院は大事にしないと』『輿石さんを大事にしなきゃならない』と憑りつかれている」(小沢氏周辺)
宴席でも、小沢氏の輿石氏への気配りは相当で、遅れてきた輿石氏を立ち上がって迎えるという。
輿石氏は、小沢氏を自分のために利用する。裏返せば「自分に不利益ならいつでも切る」(前出の日教組元幹部)。一方の小沢氏はただ気を使う。この微妙な距離感は一触即発の関係と背中合わせとみていい。
「党内融和」とされる党人事も、実は、小沢氏を切る準備を整えたものだ。
「政調会長の前原(誠司、49)さんは『小さな政府論者』で、小沢グループの政策とは相いれない。会長代行には、小沢排除に執念を燃やす仙谷(由人、65)さんが就いた。彼も財務省べったりの増税論者だ。小沢グループが政策的に何を言っても、最後は2人で潰す気だ。また、国対委員長の平野(博文、62)さんは鳩山グループで、幹事長代行の樽床(伸二、52)さんも元鳩山グループ。2人を優遇することで、小鳩連合を分断し、鳩山グループを引きはがす意図が見える」(野田首相周辺)
この政権のヤマは恐らく、今年12月にやってくる。党税調や来年度予算案編成、税と社会保障一体改革の素案の党内論議など「税」の問題が集中するからだ。
いずれも、「増税内閣」の本領が発揮される可能性が高い。すると小沢グループは「増税反対」や「民主党の原点回帰」を主張して全面対決になる。だが、前原・仙谷コンビはガス抜き程度にしか扱わず、小沢グループを反主流として追い込んでいくだろう。
輿石氏は、通常国会での参院対策を考え、自公両党との協調路線を重視する。民主党の原点回帰を訴え、先鋭化する小沢グループを無視する可能性が高い。
そのとき、小沢氏が「参院のトラウマ」を断ち切って、政権交代時の元祖・民主党の政策を旗印に新党結成へ踏み出せるのか。
見渡せば、財務省主導と小沢包囲網の人事は、火種を抱えたままだ。
■すずき・てつお 1958年福岡県生まれ。早大卒。テレビ西日本・フジテレビ政治部などを経て、現在、BS11報道局長。著書に「汚れ役」(講談社)など多数。
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