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野田新政権が発足しました。この内閣の性格を一言でいうと、次のようになります。
「財務省主導の増税内閣」
増税とは、復興債は出すものの、短期償還で財源は復興増税で賄い、合わせて元財務大臣の与謝野前経財相が主導した「社会保障と税の一体改革」での消費税増税を実現させるというものであり、財務省官僚にとって千載一遇のチャンスなのです。バフル崩壊以来、稚拙な経済運営で日本経済を失速させ、「失われた20年」を作り出した元凶の財務省は、それに輪をかけて「失われた30年」を実現させるつもりのようです。
ウォルフレン氏が指摘するように「無能」の財務省が、「無能」の野田政権を操って乾坤一擲の増税シフトを敷こうとしているのです。許せないのは、それでいて財務省は、公務員制度改革などには一切手を触れさせない構えです。今回の民主党代表選では、財務省の高級官僚はウラで走り回り現在の内閣を作ったのです。
スタート直後に失速した野田氏を支えるために、小沢一郎氏のところにも財務官僚が足を運ぶなど、何としても野田氏を勝たせるために財務省は死にもの狂いで工作を行ったといわれています。内閣の顔ぶれを見るとそれがわかります。財務副大臣から財務相を2年間務め、完全に洗脳された野田首相、旧大蔵官僚出身の古川元久国家戦略相、財務省のシナリオに乗って事業仕分けを演出した蓮舫行政刷新担当相、そして金融財政はまったくの素人ながら財政規律派の岡田前幹事長に近い安住財務相──このような布陣なら財務省のいうがままです。
それにカウンターパートの自民党の谷垣総裁が、これまた財務省に洗脳された元財務相ときているので、右を見ても左を見ても財務省に息のかかった者ばかりであり、日本は財務省に完全に支配されているといえます。財務省は今回の野田内閣が力不足であることを知り抜いています。安住財務相など初入閣にしていきなり財務相ですから、唖然とせざるを得ません。財務大臣の地位も随分相場が下がったものです。
そのため、財務省としては野田首相を失敗させないため、万全の体制を敷いているのです。この点を指摘したのは、3日の朝日新聞です。ポイントになる人事は「官房副長官(事務)」のポストです。一見そんな重要なポストに見えませんが、実は官僚機構のトップに立つ重要ポストなのです。
菅政権のときの官房副長官(事務)は、総務省出身の滝野欣弥氏ですが、この人は財務事務次官の勝栄二郎氏と地方税の財源などをめぐって意見が合わないのです。そこで、勝事務次官は野田氏に滝野氏の更迭を進言し、竹歳誠・国土交通省の現職事務次官を官房副長官に就けることに成功しています。このポストに現職の事務次官を起用するのは異例中の異例です。
さらに首相秘書官には太田充主計局長というエース級を抜擢しています。陰の財務相である勝事務次官がウラでこのようにフル活躍しているのです。野田首相は組閣の1日前に財務省幹部に対し、「代表選で主張したことはすべて実行する」と話しているのです。これは「増税は必ずやりますから」という宣言です。
財務省による日本の実効支配は着々と進んでいます。政権内部だけでなく、財務省出身や財務省寄りの発言をする政治評論家やコメンテーターを多数擁し、国税庁による定期的調査・査察などによるマスコミ支配を通じて「増税やむなし」の世論を作り上げることに腐心しています。
よくテレビで街の声などを報道しますが、増税賛成意見7対反対意見3ぐらいの割合で編集されていることが多いのです。ニュースは意図的に編集されているのです。かつて「昔関東軍、今大蔵省」ということがよくいわれたそうです。このことは今も同じであり、財務省はかつての軍部であるとウォルフレン氏は次のように述べています。
**かの三〇年代、軍部は日本の官界のなかで最強の集団になっていた。当時の日本の公式の政府はあまりに弱体で、不法な政治権力を振りまわす軍部に抵抗できなかった。軍部にはたしかに有能なところもあった。彼らのシンガポール占領は史上最も輝かしい軍事作戦の一つだ。しかし軍部には、外の世界にうまく対処する能力や、日本にとっての最善の外交施策を探り出す能力などはなかった。それでもほかの主な権力集団は、軍部の威圧的な振る舞いにすっかりひるんでしまい、彼らの敷いた路線に従っていってしまったのだ。こういうところが、今日の大蔵省をめぐる状況によく似ている。産業拡大の使命をどこまでも追い求めている経済界と官界も、結局、大蔵官僚の敷いた路線に従っている。─カレル・ヴァン・ウォルフレン著/篠原勝訳『人間を幸福にしない日本というシステム』/毎日新聞社刊**
しかし、野田内閣で財務省が画策する増税は実現するのでしょうか。財務省は、今週半ばに政府税制調査会で議論を開始し、納税額に上乗せする所得税の定率増税の案を9月中に提示する方針を立てています。そして、3次補正と増税法案を10月中に臨時国会に提出する構えであり、増税は来年度から実施する方針でいるのです。
しかし、このように財務省のスケジュール通りに進むかというと、そう簡単ではないのです。まず、ネックになるのは、政調会長の判断です。前原政調会長は、復興増税には反対を表明しており、そう簡単には復興増税を了承しないでしょう。それに党内には、小沢Gを中心に増税反対派も多く、強引に通そうとすると物凄い反対意見が噴出するはずです。今回は小沢Gが復権しているので、その抵抗は凄まじいものになると予想されます。それに与野党協議も難航必至です。 ─── [日本の政治の現況/60]
≪関連情報≫野田内閣は果たして持つか/鈴木哲夫/経済ジャーナリスト
最大のポイントは12月です。税調審議、来年度予算編成、社会保障と税の一体改革の法案作りなどがこの時期に集中します。財務省の言いなりに増税シフトを具体化させようとすれば、党内の反対派、とりわけ小沢グループが民主党の理念からかけ散れている″と猛反発し、一触即発の政局に発展する可能性があります。
──2011年9月3日付、日刊ゲンダイ──
http://electronic-journal.seesaa.net/article/224321938.html
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