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EJで再び日本政治のテーマを取り上げたのは、この国の政治には異様なものが存在するからです。民主党の代表選に決着がついたので、このテーマをさらに掘り下げて行くことにします。理想を掲げて悲願の政権交代を実現した民主党は、なぜ現在のようなテイタラクになってしまったのでしょうか。それは見るも無残な状態で、修復が困難なほどです。
経産省官僚で今や一番の有名人である古賀茂明氏は、民主党が躓いた基本的な原因を2つ上げています。
1.民主党が何をやりたいのか、明確でないこと
2.政治主導のための仕組みを確立できていない
民主党は何をやりたいのでしょうか。民主党がそれを掲げて選挙を戦ったマニュフェストを熟読しても、民主党が目指している国家観が伝わってこない──このように古賀氏はいっています。しかし、民主党を政権交代に導いた小沢一郎元代表は、その著書である『日本改造計画』(講談社)において、既に1993年にそれを明確にしています。
それだけではないのです。小沢氏は新生党、新進党、自由党において、野党でありながら、与党と連立を組むなりして、それをひとつずつ実現してきていることは、ここまで述べてきている通りです。しかし、民主党の議員たち─とくに反小沢陣営の議員たちは果たしてこの本を読んでいるのでしょうか。テレビなどで、そうした議員たちの発言を聞くと、とてもそう思えない人もたくさんいるのです。
小沢氏に対して「政治とカネ」のレッテルを貼るだけで、小沢一郎という政治家についてろくに研究もせず、理解しようとしていないのです。それではいつまで経っても「脱小沢」はなくならないのです。民主党が評判を落としたことのもうひとつは、政治主導に失敗したことです。少し厳しくいうと、官僚の前から尻尾を巻いて逃げ出した観があります。
その理由は2つあります。第1は、最初の鳩山内閣が「弱い内閣」を作ってしまったことにあります。それは鳩山首相が小沢氏を「条件付き」の幹事長にしか起用しなかったことにあります。そのため、鳩山内閣は小沢氏の剛腕をフルに使えなかったのです。政治の制度改革には与党として相当の覚悟で取り組む必要があります。そのため、政治改革を政治目標としてこれまでやってきている小沢元代表を使うべきだったのにそれをしなかったのです。
古賀茂明氏は民主党の「政治主導」について次のように述べています。**官僚が国民の代表である政治家の考えを半ば無視して、自分たちの利益につながる政策を立案している。これを改革するキーワードが「政治主導」なのは間違いないが、言葉だけが独り歩きしていて、そのための仕組みが整えられておらず、掛け声倒れになった。そうなってしまったのは、政治の制度改革が遅れていたからだ。
国家公務員制度改革推進本部で公務員制度改革に取り組んでいたときに、行政と政治の制度改革はセットで行うべきだと強く感じた。公務員制度が改革され、官僚が国民のために働く仕組みになっても、政治がそれを使いこなし、政策に活かせる体制になっていなければ、行政は正常に機能しないからだ。─古賀茂明著/『日本中枢の崩壊』/講談社刊*****
第2は、民主党議員の勉強不足です。「政治主導」とは、政治家が「主」になって、官僚を「従」として使いこなし、物事を決めていくことですが、知識や知恵が不足しているために、政治家が「主」になれなかったのです。ところで、政権交代の前に民主党は次のようなことをいっていたのを覚えているでしょうか。
**霞が関の幹部職員(事務次官など)には、全員辞表を書いてもらう。それが政治主導というものである***
これについて古賀茂明氏は、うまくやると、これはきわめて効果的であったと述べているのです。どうすればよかったかのというと、内閣発足と同時に本当に幹部職員から辞表を書いてもらうのです。もちろん、公務員には身分保障があるので、有無をいわさず、クビにはできないのは当然です。
鳩山内閣では辞表すら集められませんでしたが、辞表は集めるべきであり、その辞表は大臣預かりにするのです。これだけでも官僚は相当プレッシャーを感ずるものです。そのうえで、例えば「独法の天下りポストをすべて廃止せよ」とか「無駄なコストを2割削減せよ」という指示を一定の期限を切って出し、それができれば留任させ、できなければ辞表を受理するか、他のポストに異動させるのです。
米国では、政権が変われば政権を支えたスタッフは全員代るのです。しかし、そういう習慣のない日本でこれをやるには、閣僚としての相当の度胸と決断力が必要です。民主党は結局は何もしないまま、自民党のときの幹部官僚を全員そのまま受け入れてしまったのです。これで政治主導ができるはずがないのです。
己の力を過信し、政治経験豊富なベテラン政治家を遠ざけ、官僚を敵視して相手にせず、結局何もできないで終る─これが現在の民主党の現状であるといえます。民主党が最初にぶつかったのは、既に概算要求として財務省に提出されていた予算の扱いです。これは自民党政権下において提出されたものであり、民主党としてはそれをそのまま追認するわけにはいかなかったのです。一から組み直す時間がない。予算編成の経験もない。結局、妥協の産物として、財務省に頼らざるを得なかったのです。これによって財務省にすっかり取り込まれたのです。─[日本の政治の現況/57]
http://electronic-journal.seesaa.net/article/223323576.html
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