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輿石氏、幹事長起用の理由は 就任初日に抱えた火種
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110831/stt11083100500000-n1.htm
2011.8.31 00:48 産経新聞
30日昼、首相指名選挙を控えた野田佳彦新首相が硬い表情で国会内の民主党参院役員室に姿を現した。
この日朝、新首相は輿石東参院議員会長に電話し、幹事長就任を打診したが、色よい返事はなかった。
「幹事長には輿石さんしか考えられない。ぜひ、引き受けていただきたい」
新首相は輿石氏に再度就任を要請した。首を縦に振らない輿石氏に、一歩も退かなかった。
「受けてもらえないと先に進めないんです。野田丸が出港できない。私はあきらめません」
あきらめられない理由が新首相にはあった。決選投票の末、逆転勝利した新首相の前に立ちはだかったのは、相も変わらない「親小沢」対「反小沢」の構図。
就任あいさつで「ノーサイド」(試合終了)を呼びかけたが、幹事長人事次第では党内最大勢力の小沢一郎元代表のグループが反発することが予想された。
自身を支持するグループはわずか30人程度で基盤は脆(ぜい)弱(じゃく)だ。いくら代表選で支持した「反小沢」勢力が結集しても、小沢グループと対立すれば、党運営はおぼつかない。29日夕の野田陣営の祝勝会で、支持議員に新幹事長の条件を問われると、新首相はこう語った。
「党全体を見渡せてバランスのとれた人。挙党態勢が築ける人。そして、野党と話ができる人」
この全ての条件を満たすとみたのが輿石氏だった。新首相は代表選出馬前から輿石氏にねらいを定めた。
13日のテレビ東京番組で唐突に自民、公明両党との大連立をぶち上げた際、党内では自民党との連携を模索してきた仙谷由人官房副長官を取り込むねらいがあるとの見方が強かったが、新首相周辺は「実はあれは輿石氏に向けたメッセージだった」と明かす。
参院で野党が多数を占めるねじれ国会で苦労してきたのは輿石氏だった。輿石氏は13日付の産経新聞インタビューで「与野党協議の延長線上に部分連立や大連立の枠組みだって考えられる」と述べていた。
新首相は22日夜には輿石氏と会食した。
「輿石さんは、相田みつをの詩が好きなんですよね。私は『どじょう』の詩が好きなんです」
「どじょうがさ 金魚のまねすることねんだよなあ」。この詩をそらんじた新首相と輿石氏は盛り上がった。後日、「どじょう」の詩が入った詩集が輿石氏の元に届いた。
新首相が代表選政見演説で披露した「どじょう」の詩は、輿石氏へのラブコールだったのかもしれない。
「もう一回会ってもらえませんか」。30日昼の会談後、新首相が再度面会を求めると、輿石氏は「もう、首相なんだからこっちが会いに行く」と返した。この時、輿石氏の腹は固まっていたのだろう。
「幹事長になるのは自民党も含めて参院の歴史にないんだぞ」
「三顧の礼」で幹事長に迎えられた輿石氏の表情はすっきりしていた。
前原誠司前外相の政調会長起用も含め「挙党一致」のイメージを演出しようとする今回の人事について小沢グループを含め党内から異論は出ていない。ただ、不穏な芽は出始めている。
輿石氏は30日夕、小沢氏の党員資格停止処分について見直しが望ましいとの立場を示した上で「いろんな考えがあるから民主主義のルールと時機を見て考えたい」と述べ、慎重に対応する考えを示した。前原氏は処分維持を求めており、輿石氏が見直しに動けば対立が再燃することは必至だ。
また、新首相は30日夜「政府の意思決定をする際に政調会長の了承を原則とする」と述べ、前原氏に事前審査権を与える方針を示した。各府省に新設した政務三役会議を通じた政策決定を試みた鳩山政権とは大きく変わることになる。
小沢氏の処分維持、法案審査権限の「反小沢」勢力への付与、小沢氏や同氏のグループが反発するのは火を見るより明らかだ。
野田政権は初日から新たな火種を抱えた。
30日午後1時開会の衆院本会議。首相指名選挙で民主党の小沢一郎元代表が投票用紙に「野田佳彦」と書くと報道陣のカメラのフラッシュが一斉にたかれた。
小沢氏が「野田佳彦」と書くのか確信が持てなかった民主党の山井和則衆院議院運営委員会筆頭理事と三日月大造国対筆頭副委員長は身を乗り出して小沢氏のペン先を凝視した。
その後、小沢氏は近くの渡部恒三最高顧問と握手した。この時小沢氏には新首相が党の資金を握る幹事長ポストに自らに近い輿石東参院議員会長を起用する考えであるとの情報が入っていたのだろう。小沢氏は笑顔だった。同氏側近は新首相の決断をこう評価した。
「やっと、野田さんの挙党態勢、『ノーサイド』が本気だということが分かったよ」
ただ、小沢氏は消費税率引き上げやマニフェスト(政権公約)見直し問題で新首相と対立するのは確実だ。小沢氏は早くもそれに向けた態勢を整えようとしている。
本会議開会の2時間前、小沢氏は衆院第1議員会館の会議室に自らのグループ幹部約30人を集めていた。
「考えがあってグループを分けていたが、今回、一本化したい。今までにできなかったことをやる!」
小沢氏は衆院若手・中堅の「一新会」、衆院当選1回生の「北辰会」、参院小沢系の3つに分かれるグループの統合を打ち出した。会長には小沢氏自らが就任する見通しだ。
一本化構想はこれまでも浮かんでは消え、消えては浮かんできた。なかなか実現しなかったのは、「100人以上の勢力を一本化すれば他グループから警戒される」(側近)などの理由からだった。
だが、グループが分散していることで、意思の疎通は悪くなる一方だった。一部側近が小沢氏の意向を勝手にくみ取る「忖(そん)度(たく)政治」がはびこり、その体質に嫌気を覚えた議員がグループから去っていったケースは少なくない。
もはや「分散統治」は限界に来ていた。小沢氏は代表選3連敗で、そのことを痛感したに違いない。
× × ×
海江田万里経済産業相を擁して戦った代表選から一夜明け、小沢グループにはこんな声が漏れ始めた。
「側近衆は海江田さんの政策を思い通りに変えさせようとした。操り人形じゃないんだ。そんなことで支援の輪が広がるわけないだろ!」
実際、海江田氏は投開票に先立つ29日朝、自らの議員会館の事務所で、中塚一宏衆院議員ら小沢氏側近4人を前にスピーチの練習をさせられた。海江田氏が用意した公約もほごにさせられていた。
海江田氏は抵抗し、決選投票では、中塚氏らが用意した原稿を読まず、自分の言葉で演説したが、時すでに遅かった。「小沢傀(かい)儡(らい)」というイメージは定着し、中間派の取り込みは失敗に終わる。
こうした実態に怒りを覚えた一新会会長代行の奥村展三衆院議員は29日夕、海江田氏の選対本部が置かれた都内のホテルで小沢氏に詰め寄った。
「小沢先生が言ってもいないことを言って回る人がいるから、こんなことになるんですよ」
小沢氏はつぶやいた。
「分かってる…」
× × ×
グループには敗北感が漂い、節目節目で噴出する小沢新党論も、今回ばかりは影を潜めている。もっともグループの議員たちは、政治資金規正法違反事件の裁判で小沢氏無罪を勝ち取れば、雰囲気は一変すると期待する。
来年9月には任期満了に伴う代表選が待っている。無罪となれば小沢氏が再び出馬し、主導権奪還に動く可能性はある。今回のグループ一本化は勢力拡大につながるのか。小沢系若手議員は危機感を募らせる。
「今のやり方だと100回やっても代表選で勝てない。もう党を出ていくしかなくなるぞ」
(小島優、坂井広志)
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