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民主党代表選挙で野田佳彦氏が新代表に選出された。民主党は政治未熟であるが故に退陣に追い込まれた菅直人氏に代わって、自公との大連立と増税を掲げる野田氏を代表に選んだ。この時期に大連立と増税を掲げるのはそれも相当に政治未熟と言わざるを得ない。その事を理解出来ない政治未熟児が民主党には215人もいた事になる。
まず野田氏は「ねじれ」のために大連立が必要だと言うが、本当に「ねじれ」があるのか良く現実を見た方が良い。参議院は与党110議席に対して野党は132議席である。確かに22議席野党が多い。しかし権力を持つ与党から野党に出て行く者はいないが、権力を持たない野党には権力に入るか、権力に働きかけて自分たちの政策を実現させたい思惑がある。表で与党を批判しても与党にすり寄る可能性があるのが政治の常識である。
もうすぐ権力が手に入りそうな大野党はすり寄るより解散・総選挙を求める。しかし小政党はそうではない。野党132議席の内情を見れば、自民党と共産党や社民党では同じ野党でも考えが全く違う。長年自民党と連立を組んできた公明党も、急に手のひらを返すわけにはいかないだろうが、次第に自民党と距離を置きつつある。自民党から分裂したみんなの党、たちあがれ日本、新党改革も自民党と一体ではない。
そして民主党が政権交代をかけて戦うべき相手の自民党は参議院82議席で民主党の106議席より少ない。そう考えれば赤字国債法案と再生エネルギー買取法案の成立には野党勢力の分断を優先するのが常道で、三党合意による民主党マニフェストの見直しなどする必要はなかった。
イギリス議会政治の基礎を作ったディズレーリが言うように、選挙公約を守らない事は民主主義の最大の否定なのである。それを民主党は軽く見すぎている。三党合意はただの稚拙な政治技術の結果だと私は思う。
国民新党の亀井代表が言うように、自民党の参議院から浜田議員1名を引き抜いた事で、実は両法案とも自公が反対しても社民党と共産党の賛成を得て成立させる事は可能であった。もっと言えば自公に反対させて国民の前に復興を停滞させているのが誰かを鮮明にさせた方が民主党にとって得策だった。二つとも自公が反対し続けられる筈のない法案だからである。
大連立は野党にとっては旨みがあり与党にとって良い事はない。与党にとっては次の総選挙で野党転落が100%確実な時だけの対処法である。しかし政治技術のある与党なら「ねじれ」を「ねじれ」でなくする事も出来る。
例えば1989年の参議院選挙で自民党は大惨敗、当時の社会党が自民党を10議席も上回った。与党自民党109に対して野党143議席になった。土井たかこ社会党委員長が「山が動いた」と言い、まさしく「ねじれ」が生まれた。
選挙で「消費税反対」を掲げて勝利した社会党は当然「消費税廃止法案」を国会に提出した。その時自民党はどう対処したか。真っ向から対立するのではなく「消費税見直し法案」を提出して野党分断を誘い、既に実施されていた消費税を廃止させなかった。廃止されていれば政治的社会的混乱は極めて大きかったと思う。
この時の自民党幹事長が小沢一郎氏である。恐らく「ねじれ」国会の裏表を最も早くから知り抜いているのが小沢氏ではないか。小沢氏は社会党が絶対反対だった「PKO法」まで「ねじれ」の中で成立させた。野党を結束させずに分断した結果である。
こうした過去の政治を見てきた経験から、あるいは大統領と議会が常に「ねじれ」ているアメリカ政治を10年余見てきた経験から言えば、今の日本の政治は余りにも幼稚すぎる。これでは徹底した現実主義に立って貪欲に国益を追求する諸外国の政治に敵うはずがない。
野田氏のもう一つの主張である増税も同様である。その証拠に株式市場は野田氏が代表に選出されたニュースが流れた途端に上げ幅が縮小した。前日より128円高い8926円まで上昇していた日経平均が、53円57銭高の8851円に収まった。市場は増税路線を取る総理が誕生すれば日本の景気は悪くなると判断したのである。
いずれ増税が必要とされる時期は来ると思う。しかし震災対応が急務のこの時期に財布の紐を締める心理に国民を追い込む思考が私には理解できない。税金を上げる前から「上げる、上げる」と騒ぐ事が何かプラスを生みだすとでも思っているのだろうか。思っているのなら相当の政治音痴である。
昔、バブル崩壊で日本経済が混乱している時に緊縮財政を訴えた橋本大蔵大臣をアメリカの経済学者たちは「何を馬鹿な」と呆れていた。案の定、日本は「失われた時代」に突入し、橋本氏は後に大蔵官僚の言いなりになった事を反省した。その二の舞が起きないかと私は心配している。
いずれにしても民主党はこの時期に「大連立と増税」を掲げた人物を代表に選んだ。ただし選んだ理由は「大連立と増税」を支持したのではなく、小沢一郎氏の政治力が強まるのを政治未熟児たちが警戒し結束したためだと言う。一方で野田氏は「党内融和」を掲げている。自民党は「大連立」をエサに民主党マニフェストを揺さぶるが「大連立」より解散に追い込みたい。野田氏が民主党マニフェストを変更すれば「党内融和」は図れない。この方程式を新代表がどう解いていくのか見ものである。
私は民主党と連立を組む国民新党の亀井静香氏を時限的な総理とし、挙国一致の体制で震災からの復興を図り、今回の選挙で選ばれた民主党代表は総理にならずに党の再生に力を入れる方法があると思っていた。それが政治経験の少ない民主党の議員に政治の裏表を教える機会になるとも思っていたが、そうはならなくなった。ただ願わくばこれ以上政治未熟をいつまでも見せられたくはない。
http://www.the-journal.jp/contents/kokkai/2011/08/post_272.html#more
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