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2011/8/27 15:21
日本の次期首相候補ら、原発問題を敬遠―民主党代表選29日投開票
By Yuzo Saeki
きょうのWSJ日本版より
【東京】この25年間で世界最悪の原発事故が発生してから6カ月経ち、菅直人首相は辞任を表明、次期首相の選挙戦が始まった。だが、福島原発事故の広範な影響について語る候補者はほとんどない。
原発方針についてほのめかしたという程度であれば、3人の有力候補(現閣僚2人と前外相1人)は長期的には原発依存の縮小を目指すが、少なくとも 2030年までは既存の体制を維持することに賛成すると述べている。これは、脱原発路線を表明した菅首相よりも原発支持に近い。菅首相は以前は率先して原 発を推進してきたが、その後方針を180度変え、検査などで停止状態となっている原子炉の運転再開を遅らせてきた。
27日告示、29日投開票される民主党代表選挙では5人の議員が立候補するとみられる。菅首相は26日、太陽光や風力発電など、再生可能エネルギーの利 用を電力会社に義務付ける再生可能エネルギー特別措置法などの主要法案が成立したことを受け、以前表明したとおり辞任することを正式に発表した。
菅首相は3月に福島第一発電所のメルトダウン(炉心溶融)事故が発生して以来、原子力発電に対して懐疑的な見方を強め、7月には完全な「脱原発」を表明した。それは、原子力反対の意見が広まっている世論の方向と合致するものだった。
だが、国民の関心の高まりとは裏腹に、次期首相候補らは原発問題に対する方針を明確にしていない。この国民と政治家とのギャップは、長く日本の政治を観察してきた政治評論家にとっては意外ではない。
東京在住のマサチューセッツ工科大学国際問題研究所研究員で、「Shisaku」という日本政治に関するブログを書いているマイケル・クセック氏は、 「原子力発電と日本の将来のエネルギー政策におけるその役割が主要な論点になっていないという事実は、永田町が非常に内向き志向であることを示している。 これは重要な問題とするべきだが、政策を討論する時間がない」と指摘する。
次期首相候補は派閥幹部の支持をとりつけ、選挙での票を確保することを最優先、原子力やその他の問題を後回しにしている。民主党内の正式な討論会は投票前に1回予定されているのみだ。
企業と一般国民との意見の相違が拡大していることもあり、大半の候補者はエネルギー政策について慎重だ。最近行われた世論調査では原子力発電賛成意見は 大幅に減少したが、一方で、大きな影響力をもつロビー団体の経団連をはじめとする日本の財界は原子力発電の現状維持の支持を表明している。
学習院大学の政治学教授、野中尚人氏によれば、菅首相の意見は民主党内でも極端ではあるが、大半の民主党員は原子力エネルギーへの依存を減らすことに賛成している。
菅首相は、脱原発の工程については具体的に述べていないが、繰り返し「脱原発」方針を表明し、それを菅政権の国会通過を目指す重要法案の一つとしてきた。
有力候補の1人、前原誠司前外相は、6月の講演で、菅首相の脱原発路線をいたずらに「ポピュリズムに走っている」と批判していた。
23日に民主党代表選への立候補を正式表明した記者会見で前原氏は、原発問題について、エネルギー政策の「変更」を支持すると述べるにとどめた。また、 同氏はテレビ朝日の「ニューステーション」で生中継の取材に応じ、既存の原子炉が廃炉となるまで、段階的に原子力を廃止していくことを提案した。
同氏の考えは、原発を新たに建設しなければ原子炉の耐用年数は40年なので、徐々に減り続けるというものだ。
前原氏ともう一人の立候補予定者である野田佳彦財相は双方とも、原発に対する短期的には原発支持姿勢を示すものとして、原発を持つ地方自治体を訪問する 意図を示している。それとは対照的に、菅首相は、原子炉を安全に再開できるとの首相本人からの確認を得たいとの地方自治体からの要望を無視してきた。地方 自治体関係者はそれを、停止中の原子炉運転再開に対する菅政権の躊躇の表れとみている。
日本の次期首相は、就任した直後から、安全に関する懸念が続くなか、これら地方自治体に原発の運転再開を要請するという課題に直面することになる。
スタンフォード大学の日本政治学教授、ダニエル・オキモト氏は「東日本大震災によって原子力エネルギーに対する日本の長期的な展望に疑問が生じている」と 延べ、「しかし、既に設置されている原子力発電所を近いうちに再開するというアイデアは今も十分生きている。大きな問題は、それをいつ、どう再開するの か、ということだ」指摘した。
野田財相は停止中の原発を再開し、原子力に依存し続けることに賛成意見を表明している。有力月刊誌「文芸春秋」に論文を寄稿し、原子力への依存を減らす ことを目標とする一方で、少なくとも2030年までは既存の発電所を活用して、エネルギーのニーズの一定割合を満たすべきとした。
同様に、次期首相候補の1人で菅首相から原発セクターの抜本的見直しを命じられた海江田万里経済産業相も、複数のエネルギー源を最適な割合で併用する「ベストミックス」の一部として原発の継続を提案している。
海江田氏は、東日本大震災と津波による福島第一原発事故発生2ヵ月後の5月11日に行われた国会で、単に「脱原発」ということではなく、エネルギーのベストミックスを見つけることが必要だと述べた。
記者: Chester Dawson
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