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2011年8月23日 掲載
「国会は誰のためにあるんですか!」熱血東大教授・児玉龍彦氏
緊急会見で再び涙の訴え
<「マスコミも学会も機能不全」と一刀両断>
国の放射能対策の怠慢をめぐり、「満身の怒りを表明します!」と国会で議員らを叱り飛ばした東大アイソトープ総合センター長の児玉龍彦教授(58)。このときの映像は動画サイトで54万回も視聴され、話題を呼んだのは日刊ゲンダイ本紙も報じたとおりだ。その児玉教授が22日、東大先端科学技術研究センターで緊急会見を開いた。
今月15日、菅首相の意向で官邸に呼ばれた児玉教授が、菅や細野原発事故相にどんな進言をしたのかをマスコミに詳しく説明するためである。
児玉教授によると、菅への提言の論点は大まかに3つ。(1)放射線や地下水への漏出を遮断できる障壁「人工バリアー」を地下に建設し、セシウム汚染土壌の処分場とする(2)ガンマカメラやCCDカメラを使ったベルトコンベヤーによる食品検査システムの開発と加速化(3)無人ヘリコプターを使った地上10メートルからの放射能汚染マップの作成――。
いずれの実現にも国策としての取り組みが絶対不可欠だが、児玉教授は「その後の進捗については懸念している」と言い、こう訴えたのだ。
「菅総理に会ったときに、これはぜひやってくださいとお願いした。しかし、総理がそのことについて動かれたかというと、私はまだ存じていません」「汚染土壌の処分と保管は、すぐさま国策としてやるべき問題なのに、国会の会期が閉会するという。私には全く理解できない! 国会は一体、誰のためにあるんですか! 同じことを、きょうも申し上げなければならないことに……」
こう言って声を詰まらせ、目を真っ赤にした児玉教授。これまで国会や勉強会でも熱血漢ぶりを見せてきたが、今回、その憤りは、連日バカ騒ぎが続く民主党代表選とマスコミにも向けられた。
「民主党は政権党だから代表を選ぶことをやっても構わないが、国政は国民のためにあるのではないのですか!……(再び声を詰まらせ)マスコミの報道も大きな疑問です。これだけ福島県や関東各地で原発事故による異常な事態が進んでいるのに、まったく住民本位の報道がなされていません」「妊婦や子供の安全を守り、国土をどこまできれいにするかという問題が、総理選びの基準になっていない。小沢派か仙谷派かなんて、どうでもいいことだと思います。政府だけでなく、学会やマスコミも機能不全を起こしています」
児玉教授はまた、こうも主張している。
「現在の原子力政策および、原子力災害に対する決定がほとんど原子炉関係者によって行われている。しかし、今までの失敗に責任を持つ人が、これからの政策を決めるのはやめてもらいたい」
今後はゲノムやイメージング(視覚化)、コンピューターなど各分野の研究者、民間企業も含めた「清新でチェック可能な専門家委員会」の設置を主張するのだ。
児玉教授と会った翌16日に本屋を訪れ、今さらのように「緊急解説!福島第一原発事故と放射線」を買った菅に、児玉教授の訴えが届いているのかどうか。
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