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近聞遠見:「中連立」がいいのでは=岩見隆夫
http://mainichi.jp/select/seiji/iwami/
毎日新聞 2011年8月20日 東京朝刊
大連立の役者交代ということなのだろう。
2003年9月、民主党と自由党が合併、同居することになった小沢一郎の印象を、野田佳彦(現財務相)は、
「菅(直人)さんと鳩山(由紀夫)さんを足しても勝てないようなものすごい存在感、民主党がどういうチームになるか、不安がありました。
なんとなく、モーニング娘。に天童よしみが入ってきた、という感じでしょうか。違和感があったのは事実です」
と著書「民主の敵」(新潮新書・09年刊)の中で率直に語っている。2人は年齢で15歳、当選回数で9回の差があるから無理もないが、それだけでもなかった。
4年後の07年11月、代表に就任した小沢は、参院選に圧勝した余勢を駆って、福田康夫首相に自民・民主の大連立を持ちかけ、いったん<福田首相・小沢副総理>で合意に至る。しかし、民主党役員会が総反発し、ご破算になった。
さらに4年後の今夏、役者が入れ替わり、次期代表候補の野田が、
「衆参がねじれている状況では、連立でなければ政治は前進しない」
と、民主・自民・公明3党大連立による救国内閣構想を打ち上げた。政界は賛否だけでなく慎重、消極と複雑に入り乱れ、行方が定まらないのだ。
この両大連立は、背景にねじれ国会による政治渋滞があった点で共通している。しかし、小沢構想は野党側から誘いかけ、極秘に調整が進められた。狙いは必ずしもはっきりしていない。
一方、野田構想は、与党側からのアプローチで、最初から公開主義だ。意図も、東日本大震災の復旧・復興を早急に進めるため、という非常事態対応が明確である。両構想、似ているようで違う。
また、小沢は持ち前の粘り強いネゴシエーター(交渉者)ぶりを発揮して福田を口説き落とした。野田は、
「頭を下げ正面玄関をノックしてお願いすることから始める。下心でなく真心で訴えれば、聞いていただけると思う」
と低姿勢だが、いまのところ、相手の自民、公明両党党首は否定的だ。野田にとって、きわどい試金石である。
かりに3党大連立が実現した場合、衆院与党は442議席、全議席の92%を占める。超巨大与党の出現だが、それでいいのか。野田支援の民主党幹部は、
「1年とか期間限定の救国内閣が望ましいが、400議席を超すと多すぎてまとまりにくい。この際、民主、自民とも基本政策で大きく食い違う人たちとはたもとを分かって、300議席前後の中連立の方がリーズナブル(合理的)ではないか」
と、政界再編の意図ものぞかせる。大連立と吹っかけて中連立で収める、という再編戦略も悪くないかもしれない。
民主党内でみると、大連立への反発が少なくない。鳩山前首相反対、代表候補の馬淵澄夫前国土交通相慎重、同小沢鋭仁元環境相反対、同海江田万里経済産業相反対、北沢俊美防衛相消極的、中野寛成国家公安委員長慎重、玄葉光一郎国家戦略担当相慎重、と党内合意はむずかしそうだ。自民党内も同様の混乱が起きている。
民主党の最大勢力を束ねる、大連立仕掛けの先輩、小沢は沈黙している。4年前の画策を思えば、野田構想には反対しにくいに違いない。
気になることがひとつある。大連立をめぐる波紋に耳を澄ましていると、政党、政治家の損得勘定がかなり強く臭ってくることだ。
この非常時、いっとき、損得を脇に置く勇気を持ってほしい。(敬称略)=毎週土曜日掲載
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