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民主党代表選:小沢元代表「2、3位連合」画策 藤井裕久氏擁立失敗、奇策断たれ転換
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110821ddm001010135000c.html
毎日新聞 2011年8月21日 東京朝刊
<追跡>
菅直人首相の後継を選ぶ民主党代表選へ向け、小沢一郎元代表が今月中旬、藤井裕久元財務相(79)に出馬を打診し固辞されていたことが分かった。藤井氏は小沢元代表と長く行動をともにしてきたが、今は疎遠な関係にあり、自前候補を持たない小沢元代表の苦衷もにじむ。小沢元代表は独自候補の擁立を断念。複数の候補を支援し、代表選の1回目の投票で2位となった候補に3位以下の支援候補の票を集中させる「2、3位連合」を模索する方針を固めた。【須藤孝、朝日弘行】
「自前候補がいない以上、『敵』だけ決めておけば(支援候補は)だれでもいい。藤井先生に望みを残していたが、もう2、3位連合にかじを切った」
こう話す元代表周辺によると、藤井氏に出馬を打診したのはお盆前後。元代表自ら電話で出馬を求めた。
藤井氏は93年に元代表とともに自民党を離党した元側近だが、民主党と自由党の合併後、次第に疎遠となり、今は岡田克也幹事長や野田佳彦財務相ら主流派の後見人役を務める。そんな藤井氏の擁立に動いた元代表の狙いは、岡田氏ら主流派からの権力奪還だ。
今回の代表選で岡田氏は野田氏を支援する構え。主流派内には前原誠司前外相を推す動きもあるが、いずれが出ても元代表にとっては「敵」となる。藤井氏擁立の奇策によって主流派の結束を崩し、次期政権の主導権を握ろうと狙ったようだ。
元代表が17日に「経験と知識がある人がいい」と語った念頭には藤井氏への期待もあったとみられる。「藤井氏の経済理論は第1が景気、第2が財政健全化。マニフェスト重視でも小沢先生と一致する。隠し玉だった」(周辺)が、藤井氏は誘いに乗らなかった。
独自候補の擁立断念により、元代表に残された戦法が2、3位連合だ。小沢グループと鳩山由紀夫前首相のグループを合わせれば100人を大きく上回る。主流派の候補が最初の投票で1位になっても当選に必要な過半数の確保は微妙。上位2人が争う決選投票で小鳩陣営の票を一方に集中させる作戦だ。
小沢元代表が最初から特定の候補を支援すれば、「非小沢」対「親小沢」の対立構図を嫌う中間派の票が離れるジレンマもある。鹿野道彦農相の擁立を目指す議員は「小鳩の100票は喉から手が出るほど欲しい。でも今、こちらに乗られると、色がついて広がりがなくなる」と元代表との距離感に悩む。
2、3位連合なら、支援候補を絞らずにすむうえに「推薦人をばらまくことで『敵』以外の候補には小沢先生に対する恩義ができる仕組み」(周辺)にもなる。露骨な「勝ち馬戦術」の効果はすでに表れている。小鳩陣営の支援を期待する海江田万里経済産業相、馬淵澄夫前国土交通相、小沢鋭仁元環境相らが相次いで元代表の党員資格停止処分の見直しに言及した。
候補が乱立するほど小鳩側に有利な構図だ。出馬を固辞した藤井氏は20日、TBSの「時事放談」の収録で「自民党(政権)の最後の時に(総裁選に)5人出たことを『お祭り騒ぎなんかやる時じゃない』と民主党は批判した。与党は絶対にこういうことはやってはいけない」とけん制した。
一方、野田氏は20日、国会内で鳩山氏と会談し、東日本大震災の復興増税について「経済状況やタイミングをみて判断したい」と来年度からの実施にこだわらない考えを伝えた。「増税路線」の批判を払拭(ふっしょく)しようと躍起だ。それでも主流派内には、野田氏では中間派の支持を得られないとの危機感が広がり、出馬に慎重だった前原氏への待望論も高まる。
同日、仙谷由人代表代行が前原、岡田両氏とそれぞれ会談するなど主流派内の調整も加速。これに対し鳩山氏は小沢元代表と会談して連携を確認し、双方が臨戦態勢に入った。
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