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2011年08月20日 15時00分13秒 | 11 時事問題篇
未明、ネットを見ていたら、
産経新聞の『主張』に、
『民主党代表選 耳疑う小沢氏処分の解除』という記事が掲載されていて読んだのだが、
その内容のあまりのひどさに、唖然とした。
産経新聞の偏向ぶりは噂には聞いていたが、実際それを眼にして、
これは、もはや、本来の意味での「マスコミ」ではないな、と思った。
僕を唖然とさせたのは、
政治的・道義的責任の重さを考えれば、本来なら離党勧告や除籍処分とすべきだった。
という一行だった。
政権党である民主党が決定した「党員資格停止」処分に対して、
「本来なら離党勧告や除籍処分とすべきだった。」などと、
さらなる処分まで要求している。
いったい、この新聞の執筆者は、自分がいったい、何様のつもりでいるのか。
一介の新聞のくせして、政権党の決定にまで口を挟もうとするこの傲慢さ――。
これが、中立的報道を旨とする公器の現在の姿なのか。
かつて、 文芸評論家江藤淳の『小沢一郎君に〜』という名文を掲載しながら、
その後、一転して小沢一郎批判に転じたこの新聞が、
現在も小沢一郎に批判的であるのは、それはそれで、いいとしよう。
しかし、
これだけの減らず口をたたく時には、マナーというものが必要で、
小沢一郎の対極に位置する者たちに対しても、同等の厳しさで望まなければ、
それは、もはや、「報道機関」という天下の公器ではなくなる。
小沢一郎の対極に位置する菅直人の献金問題について、この新聞はこう書いている。
小沢氏の問題だけではない。菅直人首相も、外国人からの違法献金や北朝鮮と
関係の深い政治団体への不適切献金の問題を抱えながら、真相を明らかにしない。
退陣でうやむやにできると踏んでいるのだろうか。
文章の読めない人には、これが、一見重々しい表現に思えるかもしれないが、
実は、そうではない。
読み終わって、何も残らないように、あえて書かれている文章だ。
小沢一郎に対しては、「除籍処分」だとか「離党勧告」といった具体的な処分名まで書きながら、
菅直人に対しては、軽く軽く、実にうやむやに、書き流している。
ここに、この新聞社の、「中立的報道機関としての倫理」を棄てた姿勢が露呈している、
と、僕は言いたい。
しかも、
菅直人同様に献金問題を騒がれて外相を辞任し、
いま、その決着もつけずに党首選への立候補を噂されている前原誠司については、
一言も触れていない。
小沢一郎に対してあれだけを言うのならば、
前原誠司に対しても、「代表選に立候補する資格はない」と、はっきり断言しなければ、
筋が通らないだろう。
つまり、
この「産経新聞」という新聞は、いま、
「中立的報道」という社会的使命をかなぐり捨てて、「思惑」で存在しているに過ぎない。
『主張』というもっともらしいタイトルのコーナー一つに、
この新聞の思惑が透け透けに透けて見えて、
ゾッとした。
この世に、「衆愚政治」という言葉があるが、
これは、まさに、「衆愚報道」と呼ぶにふさわしい。
こんな新聞を毎日読んでいたら、人は馬鹿になっていくことだろう。
と書いて、思い当たったのは、
別れた細君がこの新聞を、もう20数年にわたって購読していることだった。
どうか、あんな新聞を読んで馬鹿になりませんように。
別れた細君のために、思わず祈った。
ふむ。
この調子じゃ、別れた家族は、僕の『泣かない小沢一郎〜』なんぞ読んでも、
なんの共感も覚えないかもしれないな。
実に哀しい話である。
なんてね。
まあ、冗談は脇に置き、真面目に書くと、
この新聞の論調は、
まさしく、小沢一郎に対する<人間狩り>だ。
小沢一郎を見つめるこの執筆者の視線は、獲物を追いつめるハンターの「残忍の視線」だ。
こういう残忍さを内包している新聞が、「公器」として存在できているところに、
この国の「風化の現在」を、僕たちは見なくてはいけないのだと思う。
しかし、現状として、
そうした新聞のあり方に対して抗議したくても、一般大衆には、有効な抗議手段がない。
せいぜい、「不買運動」に走るくらいが関の山だが、
この新聞の視線の醜さに見合った数くらいの大衆も、確かに存在するわけだから、
不買運動はなかなか成功せず、その結果、新聞社側は益々増長し、自らの視線を強調する、
という悪循環構図が持続することになる。
ここに風化社会の報道に関する困難があるのだが、
その解決の糸口を、僕たちはまだ掴(つか)んでいないため、
いたずらに時間が過ぎ、風化は加速される。
なんとも哀しい時代になったものだ。
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