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2011年8月17日 (水)
私利私欲で首班指名日程を検討する岡田克也氏
菅直人氏が首相辞任の意思を固め、月内にも民主党代表選が実施される見通しが強まりつつある。
かつて、自民党は2005年9月総選挙後、2009年9月までの衆議院任期中に、小泉政権から安倍政権、福田政権、麻生政権と4代の政権で国政をたらい回しにした。その間、総選挙で国民に信を問うこともなく、自民党多数議席の衆議院議席分布を結局、丸々4年間利用した。このことについて、民主党は強く批判した。
2009年8月の総選挙を受けて鳩山政権が発足した。本来は、この鳩山政権が持続し、いまも政権を担っているべきであったが、普天間問題の処理につまづき、鳩山内閣は総辞職して菅内閣が発足した。しかし、菅内閣の実績はあまりにも悲惨であり、主権者国民が菅政権の終焉を望むことから、このたび菅内閣に終止符が打たれることになった。
したがって、新しく樹立される政権が2009年8月総選挙に際しての主権者国民との政権公約の原点に戻るのでなければ、新政権はできるだけ早期に解散総選挙を行って、国民の信を問うべきである。
新政権が2009年8月総選挙での政権公約の原点に立ち帰るというなら、新政権は2013年秋の衆議院の任期満了まで政権を担う正統性を有することになるだろう。
この意味で、新代表には菅政権の基本方針を刷新して、2009年8月総選挙を通じて実現した政権交代の原点に回帰することを明確に掲げる人物を選出するべきなのだ。
それでも、政権の差し替えを度重ねるという事実に変わりはない。震災と原発事故による深刻な被害はまさに国難と呼ぶべき窮状を示しており、政府の対応にはもはや一刻の猶予も許されない。
今次通常国会は会期が大幅に延長されて、8月末までの日程を有している。すでに民主党代表選の日程が8月28日などと取り沙汰されているのは、この通常国会会期内に首相交代を速やかに実現し、新しい内閣を迅速に発足させることが重要であるとの認識を踏まえたものだ。
新しい内閣が発足すれば、直ちに2011年度第三次補正予算案の編成作業に入らねばならない。第三次補正予算はこの秋に召集する臨時国会において最優先で審議、成立させねばならないテーマである。
また、2012年度予算編成も本格化し、菅政権のスタンスを大幅に修正するのであれば、9月上旬から本格的な予算編成方針の見直し作業を進めなければ、予算編成上の日程が厳しくなる。
つまり、こうした事情を踏まえるなら、新代表選出および国会における内閣総理大臣の指名、さらに新内閣の発足は、今次通常国会会期中に済ませることが必要になる。
政権の交代に多大な時間を投入して、国政に遅滞を生じさせることは絶対に許されない。それが、政権を担う責任与党としての最低限の矜持である。
ところが、民主党の現執行部から、国会における首班指名を9月の臨時国会召集後に先送りするとの意向が示され始めている。その理由は自民党との大連立を実現させるために時間が欲しいというものである。
ここまで来ると、あいた口が塞がらない。政治は民主党現執行部の私的な利害のために存在するものではない。大連立を実現する周到な準備が整っているなら、その方針を表明して代表選に臨み、もし、代表選で勝利を収め、民主党内の意見調整を実現できるなら、速やかにそれを実行に移せばよいだけの話である。
それが、出来るかどうかの明確な見通しもなく、民主党内の意思統一の確証もないのに、単なる思い付きで大連立を提案し、それを実現できるとしても多大な時間がかかるから、政権の発足を秋の臨時国会開会まで先送りして欲しいなどとは、幼稚園児のわがまま以下の要求である。
このような常識はずれの提案を臆面もなく提示する、自己の利益のことしか頭にないような人物が与党第一党の幹事長職にあることが、菅直人民主党の劣悪さを象徴している。
岡田克也氏を始め、菅−仙谷−野田−前原−枝野−玄葉−渡部各氏からなる現在の民主党執行部の面々は、これ以上、政治を私物化することをやめるべきだ。私的な利益だけを追求する、政局だけを考える政治は、主権者国民に迷惑をかけるだけで百害あって一利なしだ。
8月中に民主党代表選を実施し、今次通常国会会期中に新政権の発足させるよう、万全の責任をもって対処するべきである。
民主党の党内事情により政権を差し替えることは紛れもない事実であるのだから、せめて、主権者国民にこれ以上の迷惑をかけることの無いよう、迅速な政権交代を実現しなければならない。自己中心的な利害得失だけを前面に出す岡田克也氏の横暴を、冷静な国民は、しっかりと観察している。
菅直人氏が幹事長に日程を委ねているというのが事実ならば、岡田克也氏は自己の利害だけで行動するのを即刻やめて、月内の新代表選出および新内閣発足のための具体的日程案を直ちに発表するべきである。
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