http://www.asyura2.com/11/senkyo118/msg/149.html
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日本命名の大東亜戦争からアメリカ命名の太平洋戦争へ何故変わったのか?ーまた、何故、日本はそれを受け入れ、それどころか定着することになったのか?
−それはそれなりの理由が在る、と考えるべきです。
如何なる理由か?
大東亜戦争とは、少なくとも主観的には「大東亜共栄圏」、即ち自力生存圏(アウタルキー)を巡る戦いと認識されていたということ、そしてこれは、ドイツもそうであったように、陸(ソ連)と海(米国)からの普遍主義のプレゼンスの増大ーグローバリズムの脅威!−に対する自己主張(自己保存)であったということです。
他方、アメリカからはあくまで海洋覇権ー即ち太平洋の支配者は誰か!ということ。
そして隠蔽されたのは、その後の二つの戦争(朝鮮戦争、ベトナム戦争)でも見え隠れする、中国への野望です。ー真実は中国の取り合いだったのに! 「共産中国」の誕生によって一旦頓挫した形になったアメリカ、そして日本においても、明治以来の大陸への夢が最終的に潰えることによって、アジアを埒外に措く脱亜論が却って力を得、定着させることになって仕舞った。
言うならば中国をタブー視することで日米は通じ合ったわけで、アメリカによる命名は日本の戦後体制にとっても都合が良かったのです。 昨日までの大陸への夢を「悲しい夢よさようなら」(青い山脈)と忘れ去るばかりか、敗戦を対米戦に事実上限定することで、「物量に負けた」という総括は物へのコンプレックスを生み、それが戦後の大量生産=大量消費の物質主義万能へと繋がっていくことになるのですから。
しかしながらその一方、何故戦ったのか?何の為に戦ったのか?等、大東亜戦争の意味を自ら問わぬことー勝者の側に委ねて仕舞うことーが現在まで繋がる主体性喪失(=対米依存)を決定的にして仕舞ったとは言えないか?
曲がりなりにも戦時中の日本においては、大東亜戦争の意味(意義)を問うておりました。
言うまでもなく<近代の超克>ー<世界史の哲学>です。
歴史と現在(世界)を架橋させようとするこの野心的な試みー従来のヨーロッパ中心主義とその変相に過ぎない米ソの普遍主義に対抗して、別の普遍性を措定すること−は、日本史上初めての、世界(史)の中での昂然とした名乗り(我々は何者で、何をやろうとするのか?)であり、自らのポジション取り(位置付け)であったわけです。
また他方それは、私見によれば、米ソのプレゼンスの増大が幕末の攘夷思想を新たなる相貌で蘇えらせ、しかもそれは幕末の攘夷論と明治の脱亜論※を揚棄したものでもありました。
※http://www.asyura2.com/09/dispute30/msg/260.html
然るに戦後の日本は、それら一切を封印=タブー視することで、自らとその歴史を放擲したのです。
歴史の喪失は自らの喪失でもあるー自分が何をやっ(てき)たか?を問わぬことは、これから何をやる(べき)か?を問わぬことでもあります。
そしてその時、必然的に、「これから何をやる(べき)か?」は外側から、というより上から、要するにアメリカから下りてくる。 つまり「これから何をやる(べき)か?」を問わぬことー従って「自分が何をやっ(てき)たか?」を問わぬことーと「対米依存」は密接不可分に結び付いてるのです。
となれば、現在の状況を変えるには、やはり、あの戦争は何であったのか?を改めて問い直すことは避けて通れないように思えます。
もとよりそれは<近代の超克>ー<世界史の哲学>の単なる復唱では有り得ないでしょう。
<近代の超克>ー<世界史の哲学>の論者が押並べて対中国戦の意味を(陸軍を慮って?)正面から問わず、事実上、避けて通っているのですから。
大まかに分けて陸軍ー対中国戦、海軍ー対米戦であり、最近の研究でも明らかにされてる通り、<近代の超克>ー<世界史の哲学>が海軍のプロパガンダの側面を持っていたことは否めない事実でありましょう。
結論から言うなら、戦争の大方の部分であり、その中心に在る対中国戦の意味を問わぬ(問えぬ)ことの中にこの試みの蹉跌は含まれていたのであり、出発点から間違っていたというしかない。
もし我々が<近代の超克>ー<世界史の哲学>を改めて書き直すとしたら、対中国戦と対米戦を同一の地平に捉える視点であり、同時にそれは大戦後の現在までを対象化したものでなければならない、と考えます。
何故なら、戦前のみならず、戦争と戦後を連続した一連のプロセスと捉えて初めて、我々が何をやっ(てき)たか?を問えるのであり、又そのようにして初めて、これから何をやる(べき)か?の問いが正当性を持てると思うからです。
更に又、そのように問うて初めて、今日の原発問題にも鮮明に顕れてる様に、官僚主導が何故駄目なのか?何故覆えさせられなければならないのか?が判ると思います。
その辺のところは、部分的ではありますが、下記※にも述べておりますので、興味の有る方は覘いてみて下さい。
日本の<権力>が終にアメリカの出先機関に成り下がる、その理由がよく分かるでしょう。
※
http://www.asyura2.com/09/dispute30/msg/103.html
http://www.asyura2.com/09/dispute30/msg/104.html
敗戦迄の天皇、戦後のアメリカと、(官僚による)<権力>(の行使)には、常に(超越的な)<権威>が必要なのであり、同時に、国民多数がそれに平伏し、仰ぎ見、或いは憧れていなければならない! −かくして、官僚批判は、ブーメランの様に、我々の方に跳ね返って来るのです。 官僚批判しながら、それをアメリカンイデオロギー(自由、民主主義)に頼るのではどうしようもない。 単に、どちらがアメリカにより近いか?を競ってるに過ぎないからです。
ーそんなレベルでは官僚は痛くも痒くもない。
端折って言うなら、官僚のチョー強気の背景には<アメリカの意思>が在るからであり、又同時に、日本国民のアメリカへの信仰が強い間は自らの<権力>が揺らぐことは無いと確信しているからです。
逆に言うなら、我々が官僚支配を覆そうとするのであれば、それは何より、アメリカ批判でなければならない。
つまり、アメリカを批判するついでに、(その代官である)官僚を批判するーという構図でなければならないのです。
アメリカを批判する思想ー新たなる歴史観と世界観による<近代の超克>ー<世界史の哲学>が描かれなければならない所以です。
日本と同様、自力生存圏(アウタルキー)を力づくで追求し、此れ又日本と同様、一敗地にまみれたドイツは、戦後、エネルギー問題や経済問題を手始めに、納得と合意によって諸関係を作り上げて来ました。 そうして、ドイツが中核になった今日のEUを観れば解る通り、大半が「第三帝国」の範図と重なっております。 言うならば、かってのナチスドイツの様に、力づくで、若しくは独力(自己中心)でやるのを止め、納得と合意で創り上げたのが欧州共同体ーEUということです。
そうして、その底流、或る場合には強力な接着剤になっているのが環境思想であることを考える時、西欧における思想の一貫性ということに深く思いを巡らせざるを得ない。 何故なら、米ソの普遍主義に対抗する形で出て来た自力生存圏(アウタルキー)或いは生存圏(レーベンスラウム)の思想の根底に流れるのは環境思想ー但し自己中心的な!ーだからです。 そうして、そのような自己中心乃至手前勝手を克服し、普遍主義的な装いに改めたのが今日の環境思想に他ならない(但し、鯨の問題に見られる様に、欧州以外に対する時、英米アングロ勢力を中心に、相も変わらずの身勝手な側面は生き延びておりますが)。
詰まり、自力生存圏(アウタルキー)或いは生存圏(レーベンスラウム)の思想は、「自力」という点を除けば、今日のヨーロッパにおいて実現していると言えるのです。
例のローマクラブから今日の緑の党まで、その真のターゲットになってるのがアメリカであり、アメリカとその普遍主義(グローバリズム)を思想として克服しつつあるのが今日のヨーロッパである、ということです。
とすると、同じ様な論理及び思想がアジアにおいても言えないか?
本来であれば、かっての「大東亜共栄圏」と異なり、「東アジア共同体」はそのような視点を内包していたはずです。
しかしながら、かって同様、単なるスローガンやキャッチフレーズに堕して仕舞ったのは政治家諸公の能力の問題も有りますが、やはり、戦後の長い間、思想として深めることを我々が怠って来たことが一番の原因であろう、と思います。
様々な手練手管を使って鳩山政権を潰した官僚どもが、「東アジア共同体」の替わりに打ち出して来たのが”TPP”である処に現れてるように、「原発」同様※、国民を道連れにして、滅亡への途に踏み入れようしていることが明らかな今、この問題は存亡の危機として受け留められなければならない。
※
TPPの担当者が保安院のスポークスマンとして横すべりして来るのは象徴的なのであり、必然とすら見做すべきです。
以上、思想を我々の手に取り戻す為にも、「太平洋戦争」なる命名を拒否し、改めて<大東亜戦争>と呼ぶべき理由を挙げました。
追記)
現在、「辛亥革命百周年」を記念して、「孫文と梅屋庄吉」展が東京国立博物館で開催されておりますが、その孫文が日本に向けて問うた言葉は今日なお有効です。
「西洋覇道の”番犬”となるか、或は東洋王道の”干城”となるか」
ー現在においてそれは、グローバリズムの走狗か?地域連携の繋ぎ手か?ということで、TPPか?東アジア共同体か?は次の様に言い直されなければならない。
アメリカの手先か?アジアの仲間か?
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