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政局を熱く語る園田博之氏=東京・六本木のバー「エルアミーゴ」(水内茂幸撮影)
8月を迎えても、菅直人首相は元気いっぱいだ。退陣条件にあげた特例公債法案は成立の見通 しが立たず、永田町にはいいようのない倦怠感も漂う。「ポスト菅」の適材者はみつからない。政局展望に頭を抱えていたら、与野党に太いパイプを持つたちあ がれ日本の園田博之幹事長の顔が浮かんできた。夜の六本木に園田さんを訪ねると、「もう民主党は政党として再生できない」と手厳しい答えで出迎えてくれ た。
園田さんと待ち合わせたのは、六本木交差点に近いバー「エルアミーゴ」。盟友の与謝野馨経済財政担当相から紹介され、2人で20年以 上通い続ける。アコーステッィクギターによる生カラオケが評判。与謝野氏はポール・アンカの「ダイアナ」など美声を披露するが、園田さんはひたすら聞き役 だ。
体質的にお酒の飲めない園田さんはウーロン茶。歌わず、飲まず…静かなのかと思いきや、今日は乾杯から怒りの言葉があふれ出る。自民党が菅首相のもとで衆院解散に追い込もうと、なかなか特例公債法案の採決に応じないからだ。
「岡田克也幹事長は『公約はいい加減だった』と認めたんだからそれで終わり。これを武器に菅さんを降ろせると考える方が間違いだ。逆に辞めない口実を与え ちゃう。懸案を片づけて『菅さんの時代にやるべきことは終わりました』というべきだ。もしそれでも辞めないなら、内閣不信任案でも問責決議案でも出せばい い。菅さんが辞めなけりゃ、日本は次のステップに進めないんだから」
怒る園田さんだが、「おっ!」と急にほおが緩んだ。裏メニューのクラムチャウダーがやってきたのだ。
「これ好きなんだけど、なかなか食わせるところがないんだよね」
僕も一口いただくと、優しいミルク味に、根菜とシジミのいい出汁が効いている。店はバー形式だが、特別に頼むと牛ロースや焼き魚、ご飯とみそ汁まで出てくる。バー特有の、淡い照明の下でいただく夕食も妙味。居心地のいい店だ。
ところで園田さんといえば、自民党から新党さきがけに参加し、再び自民党に戻った後、最後はたちあがれ日本へ移った。確か「さきがけ」「たちあがれ」とも、結党理由は政界再編の起爆剤だったはず。また勝負時は近づいているのか。
「今こそ立派な政党を作る時期だ。今は民主も自民も信頼されておらず、政治の停滞を招いている。『これは』と思う人が集まらないと、この国難は救えないよ。もし今衆院が解散されたら、2晩くらい駆け回って政党を作る。現職議員が70人程度いれば第1党を奪えるよ」
クラムチャウダーをすくうスプーンが止まった。
「特に民主党は、もう政党として再生できないと思うね。党の体をなしてないもん。あそこにいる人たちは、自分の当選が最終目標になっている。サラリーマンなんだ。政治家として『この政党でこれをやる』という意識はないよ」
園田さんは、東日本大震災の復興財源をめぐり、民主党内が増税の反対論であふれたことにも嫌な思いを抱いている。
「結局民主党は、2年前の衆院選と同じ失敗をしようとしているんだ。『財源は特別会計から取ってくりゃいいんだ』とか言ってさ。できなかったんだから。1回でも国の予算を組み、財源をどこにするか苦しんだ経験があれば、本質は理屈抜きで分かるんだけどね」
そういえば、菅首相も財務相と首相として2度予算編成をしたはずだ。2人はさきがけ時代に同じ釜の飯を食べた仲。菅首相も就任後、何度も電話で相談を持ちかけている。菅首相は政権運営の苦しみを分かっているはずだが。
「菅さんをみてつくづく思うよ。首相ってのは満を持してやらなければダメなんだ。中曽根康弘元首相は最初評判が悪かったけれど、一応歴史に名が残った。中 曽根さんはずっと『首相になったらこれをやろう』と考え、その通り実行したからね。小泉純一郎元首相は首相になれないと思っていただろうが、『なったらこ れだけはやりたい』と思っていた。だから国民は芝居と思わず反応した」
「ところが、ある日突然舞い込んできた首相は満を持していないから、『どうやったら受けるのか』ってところから始まってしまう。消費税増税も引っ込み、今じゃTPP(環太平洋経済連携協定)の『T』の字も聞こえない。今度は脱原発だ。こっちは芝居にしか見えないんだ」
菅さんって、昔からそんな人でしたか。
「絶えず1人でやるというたくましい人ではあった。チームでやるのは意見調整が必要だから、嫌がっていたね。役人は昔から信用していない」
菅さんがダメなら、民主党内で次の首相を担える人物は誰なのか。党内には前原誠司元外相や枝野幸男官房長官、玄葉光一郎国家戦略担当相ら、園田さんがさきがけ時代に育てた逸材も多い。
園田さんはウーロン茶のグラスを置いた後、ポツリと「いないと思う」。店内が急にシーンとなった。
「素質を持った人はいるが、みんな満を持していないんだよ。それどころか『あれがなれるならおれもなれるんじゃないか』と思う奴がいる。首相ってのは厳しくて、他にないものを要求される仕事だとしんから思えなければ、失敗するよ」
はしが味のしみ込んだぶり大根に向かう。
「民主党が悪いのは、このまま菅さんが辞めても、反省を党全体で持たないこと。このままなら同じ失敗を繰り返す。『菅がダメ』は間違いで、体質の問題。そこに気付いていない」
まな弟子の前原氏でもダメなのか。
「魅力的だ。彼と会った誰もがそう言うよ。能力も高い。でもまだ首相に必要な条件は備えていない。本人にも言っているが、彼の魅力は発信力。しかし、発信 力は危険の裏返しでもある。彼は自分が感じたことをパッと話すけど、よく考えると『始末の付くような発言でなかった』というのがあるでしょう。首相はこれ じゃ許されないんだよ」
民主党に候補者がいなければ、自民党に政権を渡すべきなのか。
「これもダメだね。衆院選で大敗した当初は改革ムードが高かったけれど、鳩山由紀夫前首相と菅さんがコケると、相手の失点をつっつくだけに戻った。責任政党といわれる時代は過ぎたよ」
かつて腹心として支えた谷垣禎一総裁は、今党運営に苦しんでいる。
「実は谷垣さんに期待しているんだ。むしろ彼のもとを離れてから、この人しか(政界を)まとめる以外ないとすら感じる。ただ、党内で大きな声を出す人を遮 れないよね。必要なのはそこだ。党内を常に刺激する必要はないから、大事な時にスパッとリーダーシップを発揮してほしい。そうすれば首相になる可能性はな いことはないんじゃないか」
なんとも微妙な言い回しだが、乱世を乗り切るには、堅実さが大切ということだろうか。
最近園田さんを喜ばせているのが、母校・習志野高校(千葉県習志野市)が10年ぶりに夏の甲子園出場を決めたこと。「スターはいないが、鍛えられたいいチーム。期待できる」と目尻は下がりっぱなしだ。園田さんは同高野球部の1期生で、OB会長も務めた。
「高校から野球を始めたから、最初はスイングが弱くて打球が内野手の頭上を越えなかった。けど、練習は楽しくて仕方なかったね。水を飲まずにウサギ跳びなんて、むちゃなこともしたよ」
習志野高は創部から6年後、早くも甲子園に初出場する。大学生だった園田さんは、当然アルプススタンドに駆けつけた。
「いきなり強豪の中京商とあたっちゃって、2対0で惨敗。点を取るチャンスなんてほとんど なかった。ただ、思いだすのは9回最後の攻撃。2アウトランナー3塁だった。声を殺して見守っていたら、突然3塁ランナーが自分の判断でホームスチールし たんだよ! 試合後に批判の的にはなったけど、ランナーの気持ちはよく分かる。『勝つなんて考えられないが、1点でも取りたい』というね」
そのランナーって、今の菅首相とだぶりませんか。
「いいこというねえ!確かにそうかもしれない。どうせダメだけど、点数はちょこっとでも稼ぎたいと。ガハハハ!」
一抹の寂しさを伴う大爆笑が、夜の六本木に響いた。
http://hightree.iza.ne.jp/blog/entry/2390872/
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