http://www.asyura2.com/11/senkyo117/msg/651.html
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政策目標を決め、経済学的に考えれば、答えは簡単だが、
国民の無知につけこむ既得権集団が、利権保持のために旧メディアを操作しているから
なかなか、そうはならないのが政治の現実だな
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Q:復興基本方針で13兆円投入、国民は増税を覚悟すべきか?
◇回答
□金井伸郎 :外資系運用会社 企画・営業部門勤務
□土居丈朗 :慶應義塾大学経済学部教授
□杉岡秋美 :生命保険関連会社勤務
□津田栄 :経済評論家
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■今回の質問【Q:1223】
政府は先週、今後5年間で新たに13兆円を投入する復興基本方針を決定しました
が、民主党の反発を受け財源への具体的な言及を避けた形になったようです。わたし
たち国民は増税を覚悟すべきなのでしょうか。
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村上龍
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■ 金井伸郎 :外資系運用会社 企画・営業部門勤務
国民の多数派の意向を政策に反映することが政党にとっては国民の支持を最大限獲
得する合理的な戦略のはずです。最近の日本経済新聞/テレビ東京などによる世論調
査の結果が示す通りに国民の多数派が復興増税を支持しているとするならば、復興増
税を実施することが政権/政党にとって合理的な選択となります。その場合、わたし
たち国民は、その多数派が自ら望む通り、増税を覚悟すべきということになります。
ただし現実には、設問でも指摘されているように、民主党自身も復興増税に強く反
対しています。
そこで、改めて考えてみたい点が2つあります。
(1)世論調査は「民意」を反映しているのか
(2)「民意」はどのように政策に反映されるべきなのか
という点です。
(1)については、サンプル数=1千人程度の調査の信頼性、あるいは質問項目や回
答方式の設定によるバイアスの可能性など、統計上の問題も指摘できます。実際、以
下のように、過去の調査が全て一貫して「国民の多数派による復興増税支持」を示し
ているわけでもありません。ただし、調査の結論を放棄するほどの問題とは言えない
でしょう。
東日本大震災の復興増税についての世論調査
毎日新聞 4月16?17日 賛成58%、反対33%
NHK 5月13?15日 賛成26%、反対31%
日本経済新聞/テレビ東京 7月29?31日 賛成59%、反対32%
むしろ、こうした世論調査に対する本質的な批判は、回答者は回答選択による自身
の利害得失がないため無責任だ、というものです。しかし、その論理でいえば、実際
の選挙での投票も1票の影響力は限りなくゼロに近く、有権者としての選択も無責任
なもの(だから無視しても差し支えない)、ということになりかねません。世論調査
については、サンプル数やメディアでの取り上げ方を見れば、選挙での投票よりも政
治的な影響力があるかもしれません。
ということで、(1)については、世論調査は一定の有意性の下で「民意」を反映
している、と考えることにします。そこで、(2)について、今回のケースで「国民
の多数派が復興増税を支持」という「民意」はどのように扱われるべきか、という点
について考えてみたいと思います。これは、民主制の下で、「民意」=国民の多数派
意見を否定することがどのような論拠で可能か、という検証でもあります。
仮に復興増税支持が「民意」=国民の多数派意見だとしても、復興増税が経済・財
政政策として直ちに選択されるべきではない、という意見は必ずしも少なくないで
しょう。その根拠は直接的には経済学あるい財政学による論拠ですが、その論拠が民
意に優先すると考える根拠は、つきつめれば国民の「無知」という事実になります。
たしかに、今後5年間で新たに13兆円を投入という予算規模の拡大に対して、そ
の政策内容についての乏しい情報(貧弱な政策議論が要因ではありますが)にも関わ
らず、足許での増税への高い支持はたしかに異常ではあります。重要な政策内容への
無関心の一方、面白おかしいネタ=海江田氏の「忍の一字」など、にはメディアも視
聴者も貪欲です。
ただし実は、こうした国民の「無知」自体は、民意の正当性をただちに否定する根
拠にはなりません。「合理的無知」と「集計の奇跡」=「多くの国民は自らの投票/
意見表明の影響力は限りなくゼロに近いため、合理的な判断として情報収集の努力を
放棄する。ただし、彼らの判断の誤りはランダムで集計すれば中立。結果的に、一部
の真剣に選択に関わる知識のある国民の判断によって民意=多数意見が成立する。」
という考え方が成り立つからです。
むしろ、問題とされるのは、国民の判断・意思決定におけるバイアスの存在です。
ここでは、復興増税支持が合理的な判断によるものか、あるいは利他的な行為に対す
るバイアスによるものか、という点が問題になります。後者は、脳内物質による快楽
という報酬で動機づけられるという点では合理的ですが、経済的には非合理的な選択
である可能性があるからです。これは、個々の国民が合理的に判断することが、全体
としての選択の合理性を担保する、と考えると問題となる点です。
しかし、多数派の国民にとって、復興増税支持は利己的な面からも、合理的な選択
である可能性が高いと考えます。実際、増税に対して求められる「覚悟」の程度につ
いては、国民間で一様ではありません。例えば給与所得者では、年間給与額800万
円超の給与を得る所得者は全体の約1割程度ですが、税額では全体の約6割を負担し
ています。従って、仮に所得税増税を前提とすれば、国民の多数派にとっては、実質
的な負担が少なく利他的な行為に対する満足度を高める合理的な選択となる可能性も
あります。
以上のように、復興増税支持の世論については、利他的な行為に対するバイアスと
同時に、現在の税負担の偏りを反映していることも否定できませんが、一部で議論さ
れているような異常で非合理的な意思表示ではないと考えます。さらに、国民が利己
的な観点から個々の選択を行った結果、多数派である層の利害が重視されるのも民主
制の基本です。従って、民主制がより良く機能するためには、ある程度の均質性が必
要であり、利他的なバイアスは補完として重要だと考えます。結論としては、復興増
税支持の「民意」は安易に否定すべきではない=わたしたち国民は増税を覚悟すべき
と考えます。
外資系運用会社 企画・営業部門勤務:金井伸郎
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■ 土居丈朗 :慶應義塾大学経済学部教授
そもそも、我が国の財政構造は、支出が多いのではなく収入が足らない構造になっ
ています。特に、高齢化に伴う社会保障費の増大により、大震災以前から、この構造
は顕著になりました。そして、それが政府債務残高を未曾有の規模にまで膨張させた
のです。図らずも、今般震災復興のために追加的な財政支出が必要になったわけです
から、追加的な財政支出には追加的な収入確保が不可欠です。
10兆円を超える規模の復興関連支出が必要だと多くの国民が認識するなら、それ
ほどの金額を「霞が関埋蔵金」でごまかすことはできませんから、増税は覚悟すべき
です。しかし、増税の前に、復興関連支出と言いながら、単なる無駄遣いに堕したよ
うな支出はないか、使途を精査する必要があります。また、復興関連以外の財政支出
の中に、不要不急の支出はないか、合わせて吟味する必要があります。復興関連以外
の財政支出を抑制することを通じて、増税の額を抑制することが可能です。復興関連
支出の財源として使うのにふさわしい性質を持つ「霞が関埋蔵金」はほぼありません
から、使えるからといって財源として乱用すべきではありません。あくまでも、財源
は他の歳出の削減と増税が基本です。
7月29日に政府が取りまとめた「復興基本方針」には、所得税や法人税、消費税
など基幹税による10兆円程度の臨時増税は明記できず、「時限的な税制措置」と記
すにとどまりました。この背景には、民主党内で増税反対の意見が多く出されたこと
があると報じられています。しかし、その「増税反対」派は、結局、抽象的な歳出削
減を示しただけか、あるいは単に増税反対を主張しただけで歳出削減にほとんど触れ
ないか、といった様相だったようです。それでは、責任ある議論とは言えません。増
税に反対するなら、それに代わる財源をどうするか、もし財源が確保できなければ復
興関連支出の中で優先度が低いものは削減するのか、そうした収支を「閉じた」形で
の議論をしなければなりません。
今後は、社会保障給付の財源確保、B型肝炎訴訟にまつわる賠償の財源確保、そし
てこの復興財源の確保と、我が国の財政は財源の工面の仕方を国民に問わなければな
らない場面が、これまで以上に増えてきます。歳出削減による財源確保は、増税の前
に必要ですが、それも小泉内閣以降だけをとってもかれこれ10年近く取り組み続け
ており、容易に削減できる余地は小さくなっています(少数の反対を押し切って削減
する余地はあるといえども)。そうなれば、多くの国民が増税に合意しなければなら
ない(せざるを得ない)局面が、今後出てくるでしょう。これは、今まで我が国国民
が(総意としては)増税を忌避し続けてきたツケの1つともいえるでしょう。
慶應義塾大学経済学部教授:土居丈朗
( http://web.econ.keio.ac.jp/staff/tdoi/ )
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■ 杉岡秋美 :生命保険関連会社勤務
民主党内の事情から増税の明記は避けられましたが、復興基本方針には「平成23
年度第3次補正予算の編成にあわせ復興債の発行及び税制措置の法案を策定し国会に
提出する」とありますので、事前の新聞報道等からすると、所得税と法人税の10%
の引き上げが財務省の既定方針のようです。今のところ、大手ジャーナリズムと与野
党の良識派はほとんど増税に傾いていますので、このままだと増税は避けられないと
ころでしょう。
ただ経済実体の進行が早く、増税に踏み切れない可能性も高いのではないでしょう
か。8月に入り、アメリカでは財政支出の削減で合意が成立し、国債のディフォルト
は避けられましたが、今度は景気回復の遅れから長期的なデフレが心配されています。
政府支出を大きく削減するのですからデフレ効果は避け難いのは当たり前なのですが、
アメリカ経済のトピックは景気低下となってしまいました。金融市場も懸念を反映し、
株は暴落し債券価格は高騰しています。
円高ははさらに亢進し、日本政府と日銀は為替介入に踏み切り、あわせて包括的金
融緩和策を強化しています。金融政策はデフレ対策にシフトしていますが、このよう
な状況下で所得税と法人税の増税に踏み切るのは、政治的にも経済的に困難になるこ
とでしょう。
もっとも、基本計画に盛られた復興需要の13兆円の財政支出は、3次の補正予算
から実現化されて行くでしょうから、支出が本格化する来年度あたりにGDPに対し
てプラスの経済効果がある程度期待できそうです。その先は増税のデフレ効果とのせ
めぎ合いが続くことになるでしょう。
生命保険関連会社勤務:杉岡秋美
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■ 津田栄 :経済評論家
菅政権は、今後5年間、13兆円を投入して行われる復興の基本方針を決定しまし
たが、当初明記してあった財源を巡って、与党民主党内からの強い反対を受けて、発
表時には曖昧になっています。何か政策を打ち出すのであれば、国民が納得するよう
な財源を提示することは、政治において必要なことです。どこからともなく、財源が
湧きでてくるわけではありません。借金だけを積み重ねていけば、いずれ破綻してし
まい、その負担は、結局国民に大きなツケとして回っていきます。そのことを国民は
知っていますから、増税がどこかで行われるという覚悟はしていると思いますし、す
べきだということが、原則として言えます。
とはいっても、財源を論ずるよりも前に、今回の復興基本方針において、大いに疑
問を感じています。内容を見れば、官僚が机上で作った文章です。すなわち、方針内
容は、抽象的な表現に留まり、これまで各省庁が発表してきた施策を寄せ集めたもの
であって、新規的なものが見られません。しかも、各省庁の施策の寄せ集めですから、
全体像としての復興ヴィジョンはどうなるのか、見えてきません。方針ですから、具
体的にとは言いませんが、統合的な復興ヴィジョンの方向性を示すべきではないで
しょうか。
そして、問題は、今回の震災で被災した地域を、その地域特有の視点から、どう復
興させるかという考えがほとんど見られず、むしろ国的レベルの施策が随所に見られ
ることです。ここで、どうして全国的な施策が出てくるのか理解できません。という
より、官僚が作った方針だからこそ、国の全国共通の金太郎飴的な施策の範囲からは
み出すことができず、地域の特性を生かした復興方針という発想ができないのではな
いでしょうか。柔軟な発想ができないという点で、官僚の限界ともいえましょう。
こうした官僚が国という視点で作った復興方針だからかもしれませんが、どうして
復興に13兆円(5年間の事業規模を19兆円として、1次、2次の補正ですでに計
上された6兆円を除く)という金額がかかるのか、その根拠を示していません。この
金額がどうして出てきたのか、関わった官僚や首相、閣僚は説明できるのでしょうか。
あるいは、この基本方針を了承した与党民主党及び民主党議員は理解しているので
しょうか。この方針を読む限り、どうして13兆円かかるのか国民を説得させるもの
は見られません。
これで、財源と言われても、どういった復興の形になるのか見えないのでは、国民
は理解できないのではないでしょうか。まして、財源を明示して国民に示すべきだと
いうのも、おかしいといえなくもありません。新聞やテレビなどマスメディアは財源
を増税で賄うべきだということを言いますが、まず増税ありきできているようで、官
僚に操られているのではないかと疑いたくなります。マスメディアは、最初に、どう
いった復興になるか具体的なヴィジョンを示すように政府を追及するべきではないで
しょうか。
そして、その復興方針、それに基づいた復興プランによって、被災地域の経済・社
会が震災前よりも良くなるのか、あるいは被災地が夢ある明るい地域に変貌するのか
を見極め、その後で、そのためにどうしたらいいのかということで、その方策及び財
源を論ずるべきであるといえましょう。それ抜きで国主導で復興を目指すとなると、
また公共事業中心となり、かつてのバブル崩壊後100兆円ものムダな公共事業をし
て借金だけを膨らませてしまったことを繰り返すように思います。
それでも施策のために資金が必要だということで、財政的に厳しいなか、財源を安
易に増税に頼るのは、税収増を狙って景気悪化を招き、一段と税収不足に陥ることも
ありえます。なぜなら、デフレ経済の進行で給与所得者の所得が減り続け、また生活
保護受給者が増え続け、生活が苦しい国民が増えている一方、企業も世界的に高い法
人税率により競争激化で経営的に厳しい状況にある中で、所得税、法人税、あるいは
消費税の基幹3税の増税で賄うという考えは、経済を悪化させて得られるものも得ら
れないことになる危うい考えではないかと思います。
もしどうしても財源を増税で求めたいなら、国民が納得する復興プランを提示し、
政府が国民以上に身を切ることを示してからでしょう。今政府が抱えている資産、N
TT株やJT株などの株式、その他土地や建物などの不動産もすべて売却するくらい
の覚悟が必要です。法律があるからできないというのは政治の怠慢であり、逆に不作
為による官僚などの既得権益者を擁護していることになります(民主党は、ムダの排
除、資産の売却で財源を捻出すると言って政権を獲得したのですから、今こそそれを
実行すべきでしょう。でなければ、国民をだまして、官僚の言いなりになっていると
非難されても仕方がありません)。
その他、民主党がマニフェストに掲げた、国会議員の削減を早く実行すべきです。
しかも、未曾有の震災という非常事態においては、衆議院で80名減ではなく国会議
員を衆参合わせて100名にまで減らすことくらいすれば、政治家への不信感を強め
ている国民は納得するのではないでしょうか(もちろん、一気にできないでしょうか
ら、何回かに分けてやると国民に約束し、法律で規定すればいいだけです)。もし、
どうしても国会議員のバッジをつけたいと言うのであれば、復興期間10年間給与を
半分(それでも1000万円超、個人的には1/4の平均給与所得者より少し上の5
00万円)で甘んじると国民に約束すれば、国民は理解するのではないでしょうか。
もう一つは、公務員の削減です。こういう状況まで至っては、公務員にも責任を
持ってもらうことが必要です。公務員の人件費2割カットを実行してもいいのではな
いでしょうか。というよりは、公務員の所得を民間並みにしようとすれば、半分にし
て痛みを分かち合うようにしてもいいかもしれません。その上で、所得税増税を行う
のであれば、国民は等しく負担するという意味で、増税に理解を示すと思います。そ
れがいやとなれば、国民が増税を受けながら、一方で公務員はその税金から前と変わ
らない給与を受け取るということで、納得しないのではないかと思います。もし、国
民に増税を求めながら、どうしても変わらない給与が欲しいというなら、最近公務員
に対する国民の目が厳しいことから、人員を半分に減らすなどして、公務員も相当の
痛みを共有する姿勢を見せるべきでしょう。
そして、そうなるのであれば、小さな政府が必然的に実現しますから、行政の相当
のスリム化と効率化をはかることも可能ではないかと思います。極端なことを言えば、
国防、外交、金融などを中心に基本的な国家業務を残して、地方行政組織でもできる
業務は地方に移管するくらいのことをすると、正規の公務員の何倍も存在する独立行
政法人などの組織も必要なくなって、行政にかかるコストを下げることができるかも
しれません(もちろん、地方行政組織も大幅な削減をすることが必要であり、優秀な
国家公務員がそれに代わって行政を行うことにするべきでしょう)。その上で、大胆
な規制緩和を実施して、こうした大震災における復興に民間の資金を利用すれば、復
興費用を抑えることもできましょう。それでも足りなければ、増税すると言っても、
国民は納得して、積極的に応じるのではないでしょうか。
そういった意味で、震災からの復興において、国民は、増税は覚悟しているし、覚
悟すべきだとは言えても、今回の復興基本方針のように抽象的で中身の薄い段階で、
復興費用だけが独り歩きして、その財源を論じ合ってもあまり意味がありません。ま
た国民はそれで増税による負担を問われても、納得して応じるとは言えず、むしろ消
極的な姿勢を見せれば、経済にマイナスに働くことになって期待した税収増は見込め
ないでしょう。やはり、小さな政府を目指して、民間活力を使い、一方で公務員や政
治家が国民以上に犠牲になって、初めて国民の増税への理解が得られるのではないで
しょうか。
最後に、今回のマスメディアの報道は、なんでも増税ありきの姿勢が見られ、どこ
か官僚を利するような、あるいは官僚に与して既得権益を守っているように見えます。
もっと、政府を監視し、批判するような姿勢が必要なのではないでしょうか。マスメ
ディアがそうでないからこそ、権力に執着する菅首相を生み、政治に緊張感が欠けて
混乱と閉塞感をもたらしているのではないでしょうか。
今、国税庁の調査によれば、4500万人の給与所得者で、09年年間平均給与所
得が406万円を下回る給与所得者は1224万人、45%も占めています。ここに
入らない短期の非正規雇用を加えると、もっと多いはずです。彼らの所得を考えると、
増税にどれだけ耐えられるのだろうかと考えます。マスメディアの関係者は、高所得
者が多いと聞きますから、どこまでこうしたことを理解しているのでしょうか。もち
ろん課税最低限で課税されない人も多いと思いますが、所得の多い人に比べればやは
り生活が苦しいでしょう。特に、消費税増税は、彼らにとって厳しいのではないで
しょうか。一方、所得税増税が高所得者ほど課税額が多くなる定率減税だと、不公平
感がでてきます。
また、今後欧米の経済が低迷することになれば、国内景気も悪影響を受けて、国民
及び企業の収入は一段と減少する可能性があります。そんなときに増税となれば、経
済をさらに冷え込ませて、税収はむしろ減るかもしれません。その意味で、小さな政
府、規制緩和、民間資金の活用などを通じて増税をできるだけ避け、それでも財源が
必要であれば、最小限の増税にとどめて、国民に理解してもらい、そのことによって、
失った政府への信頼を取り戻すようにするべきではないでしょうか。
経済評論家:津田栄
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