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2011年8月3日 掲載
もう今後は善意のカネは集まらない
義援金3000億 配られたのはまだ4割 残りの6割はどうなっているのか
日本赤十字社と中央共同募金に集まった義援金が、7月末時点で3072億円に達したことが厚労省のまとめで分かった。過去最高だった阪神大震災の時の3倍を超える金額だ。
ところが、実際に被災者の手元に渡ったのは、たったの1225億円と、全体の4割にとどまっている。なぜ、こんなに分配が遅れているのか。残りの6割はどうなっているのか。
「義援金は日本赤十字社から都道府県へ、都道府県から市町村へ、市町村から被災者へというルートで渡されます。被災した15都道県には、すでに2595億円と全体の8割が送られています。しかし、自治体が人手不足に陥っていることもあり、なかなか事務が進まないのです。そもそも、義援金はヤミクモに渡すものではなく、被災者から『不公平だ』と苦情が出ないように公平に配る必要がある。不公平が生じないように調査もしなくてはいけない。時間がかかっているのは、そのためです」(日本赤十字社)
しかし、小さな子供までが「被災者のために」と5円、10円と寄付した義援金を赤十字や自治体の口座に眠らせておくなんて無意味もいいところだ。誰のための義援金なのか。
多くの被災者は、仕事を失い、いまだに収入のメドが立たない。カネに困った被災者が続出し、被災地ではヤミ金が横行している。いま、なにより必要なのは現金なのだ。被災地からも「なぜ義援金が配られないのか」と不満の声が噴出し始めている。
なのに「人手不足」や「公平性」を口実に、集まった義援金の6割も寝かせておくなんて話にならない。義援金は早く渡さないと意味がない。
このままでは、3000億円という国民の善意もムダになってしまう。それもこれも「政治主導」を発揮できない民主党の責任だ。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が言う。
「公平性を重視するのは、行政の習性です。逆に行政が不公平では困る。しかし、公平を期すために、ルールを決め、調査をするから、どうしても実施が遅くなってしまう。義援金の分配が遅れているのも、行政があまりにも厳正な公平主義に陥っているからです。こういう時こそ、政治がリーダーシップを発揮するしかない。不公平を恐れず『俺が責任を取るから大急ぎで義援金を配れ』と指示すべきです。問題が起きたら、後で対処すればいいじゃないですか。ところが、民主党は『政治主導』を掲げながら、誰もエイ、ヤッと決断できない。責任を取りたくないから、自治体に丸投げしている。千年に一度の有事なのに、これではどうしようもない。決断力のある小沢一郎が実権を握っていれば、義援金もスムーズに配られたでしょうが、このままでは1年たっても配り終わりませんよ」
被災者の手元に渡らないのなら、もう今後は善意のカネは集まらなくなるのではないか。
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