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2011年8月 7日 (日)
米国債格下げを米国債売却根拠として活用すべし
S&Pが米国国債の格付けを引き下げた。この影響が警戒されているが、金融市場はすでにこの情報を織り込んでいると思われる。
そもそも、これまで、米国の国債が最上級に格付けされてきたことが不自然なのである。米国は巨額の財政赤字を計上し続け、しかも、その赤字を国内資金で賄えない状況を継続してきた。
何度もドル危機を繰り返していたその主因は、米国が財政と経常収支の巨額赤字を計上し続け、米国債務の返済についてのリスクが強く意識されてきたからだ。
このような構造を持つ米国国債が最上級の格付けを維持してきたのは、格付け機関が米国籍であったり、米国と強い関係を有してきたからに他ならない。
そもそも、格付け機関の格付けなど現実の後追いの役立たずのものである。つい最近のサブプライム危機でも格付け機関が問題金融商品の格付けを引き下げたのは、問題が破裂してからだ。機関投資家はデリバティブ金融商品の格付けが最上級だということを根拠に、この問題金融商品に巨額を投入していたが、問題が破裂すると、格付け機関が後追いで格付けを引き下げ、そのことが価格暴落を加速させるというメカニズムのなかで、巨額損失を激増させたのだ。
つまり、格付け機関の格付けなど、信頼できる代物ではないのだ。
日本政府が保有する1.1兆ドルの外貨準備。その大半を日本政府は米国国債で保有している。この巨額の米国国債は日本に何をもたらしてきたのか。
本ブログで繰り返し指摘しているように、日本政府はこの外貨準備で巨額の損失を計上し続けている。自民党は民主党新政権が実行した子ども手当、高校授業料無償化、高速道路料金無料化、農家個別所得補償などを「バラマキ4K」と表現して批判しているが、自民党政権が生み出してきた巨額の為替損失をどのように評価するのか。
国会が重大問題として取り上げるまで、私は何度でも繰り返す。本ブログでも「外国為替資金特別会計」のカテゴリーを設けてこの問題を取り上げてきた。
2007年から2011年の4年間だけを考えても、外貨準備での為替評価損失は45兆円に及ぶ。4Kがバラマキで無駄だと言うなら、この為替損失はどうなるのか。
45兆円は国民の血税をどぶに捨てる背信行為である。責任者はその責任を明らかにし、国民に謝罪する必要がある。
今回の震災復興に際して、政府は19兆円の財政支出増加を提示した。しかし、被害の規模は極めて大きく、復興費用としては30兆円から50兆円の規模の資金が必要ではないかと思われる。
その財源を論じているが、外貨準備での損失がなければ、そっくり現金でそのすべてを賄えたのだ。外為介入の権限は財務省にある。財務省は為替損失で45兆円もの基調な財産を吹き飛ばしておいて、どうして国民に復興税などの要求をできるのか。
いまからでも遅くない。日本政府は外貨準備の規模を最小に縮小するべきだ。償還期限を迎える米国国債を米国国債に再投資せずに円資金に転換して活用すべきとの意見もあるが、より迅速に行動するには、米国国債を売却するのがよい。これ以上、為替損失で血税をどぶに捨てないようにするには、これを急がねばならない。
S&Pが今回、米国国債の格付けを引き下げた一因に、日本政府が米国国債を売却する可能性を認識し、それを阻止することにあるとの見方も成り立つ。
米国国債市場の基盤が不安定であることを強調すれば、世界的な金融不安を引き起こしかねない日本政府による米国国債売却を阻止できると考えたというものだ。
日本政府はこの格下げを逆に活用するべきだ。貴重な外貨準備資金を格付けの引き下げられた米国国債に過大に投入することはできないことを強調すればよい。
米国は日本が米国国債を購入した時点で、米国国債の発行残高を帳簿上、消滅させているのではないか。つまり、日本政府が購入した米国国債の代金は、米国政府に納付された、日本の植民地税と米国が捉えている可能性だ。
日本政府が購入した米国国債購入代金は、日本が米国に上納する植民地税だと米国が捉えている可能性だ。
S&Pが格付けを引き下げたのは、この状況で日本政府が米国国債を売却すれば金融市場の波乱が一段と拡大する。この状況で日本政府が米国国債を売却する勇気があるか。植民地の日本にそのような大胆な行動などとれるはずがない。これが米国の基本スタンスなのだ。
対米隷属の菅政権、そして、自公政権に対米隷属を脱し、日本国民の利益を尊重する行動などできるはずがない。米国はそう高を括っているのだと思われる。
日本は日本の意思を持たねばならない。米国は重要な友好国であるから適切に対応する必要があるが、日本が米国に隷属するいわれはない。日本は独立国として、どの国に対しても、主張するべきことを主張してゆかねばならないのだ。
国会は、数千億円の子ども手当、高校授業料無償化、高速道路料金無料化、農家個別所得補償など、大きな意義を持つ有用な政策を批判する前に、45兆円の外貨準備為替損失を徹底的に追及するべきなのだ。
私たちは操作されている情報空間のなかに身を置いているが、そのなかから真実を見抜いてゆかなければならない。
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