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先週の本欄で、大震災の復興事業の財源は30〜50年償還の長期復興債であるべきだと述べた。前回は若干言葉足らずの処があったので、再度この問題を取り上げる。そもそも震災からの「復興事業」とは何か。同じことを再度書くが、復興事業は新しく国富(=国民の資産+国の資産)を生む事業である。日本という国のバランスシートで言えば資産がそれだけ増加するのである。
企業会計で言えば、資産の部に10兆円の設備が増え、負債の部に10兆円の長期借入金(=国債)が計上される。IT産業のように技術革新が急速で、競争の激しい事業の場合は、その設備機器の償却期間は短くなる。それでも技術革新の影響の少ない建築構造物などについては、30年定額償却と長期になる。同じことが、復興事業でも言える。仮設住宅などは短期償却が求められるが、社会インフラの整備費は違う。
例えば、鉄骨コンクリート製のビルや橋梁の耐用年数は60年と言われる。従って、道路整備や橋梁工事などに向けられる、いわゆる建設国債には、これまで60年償却制度が導入されている。一方、単年度に消費される財源に回される特例国債(=赤字国債)は5〜10年償却となっている。今回の復旧・復興事業には、仮設住宅費用などもあるが、その多くは後の世代に残す社会インフラ整備費用が含まれている。
新党日本の田中代表は、国家の資本ストックを増加させるのだから「100年国債」で償還すべきだと言う。そして、「仮に第3次補正予算が10兆円なら、100年分割で1年僅か1000億円。比するに復興財源を5年の短期償還で返済したなら1年2兆円もの負担。増税ありきの硬直した発想。増税ありきの硬直した発想の下、消費性向は更に衰え、デフレスパイラルな震災不況に陥るのは必至」だと指摘している。
今、インフラ整備のために新たに増税すれば、田中氏が指摘しているように、デフレ不況がより一層深刻になるだけである。バブル経済崩壊後20年近くデフレで苦闘する日本経済。96年の橋本内閣の「消費税増税」をはじめ、財務省(大蔵省)主導の財政再建政策が打ち出される都度、逆に日本経済は悪化して、税収が減じ財政がより一層悪化してきた。国難の今、この愚をまた繰り返すのか、ということである。
処で、誰が100年国債を買うのだとの疑問があるだろう。前回、この点についてコメント欄で追記したが、日本には1500兆円とも言われる国民資産がある。中でも高齢者が保有する金融資産は、300兆円以上もあると見込まれている。この金融資産の一部を活用してもらう。そのために、無利子長期の「相続税非課税国債」を発行することだ。これにより30兆円程度の国債発行が可能になるだろう。
戦後の焼け野原から、国民は1500兆円の資産を60余年で蓄えてきた。もちろんこの中には現役世代の資産も多く含まれている。だが高齢者が有する資産は、いずれ相続税の対象となる。国家権力による世代間の資産移動としての相続税の税収は若干減じるかもしれないが、今の世代が後の世代に残す社会インフラ整備の財源として使われるのなら、それは形を変えた世代間の資産移動ということになる。
前回と同じことを書くが、なぜ復旧事業が遅遅として進まないのか。それは事業主体である地方自治体の財政規模に比べ、膨大な事業費を要するからだ。自治体の首長や地方議会議員は、財源が無いのだから動くことが出来ない。その一例が、復興構想会議が挙げた高台での街づくりだ。財源が無くて、どうして高台に新たな街を造ることができるのだ。財源について全く何も見えないから、何も進まない。これが現実だ。
国家百年の大計を考える政治家ならば、財務官僚に尻を叩かれてちまちました増税などは言わない。無利子長期の「相続税非課税国債」を発行するから、復興事業費の心配をするなと、先ずは宣言するだろう。そこで初めて、いろいろなアイデアが日本中から夏雲の如く湧き上がって来るようになる。政治家として最も大切な政治理念を持たない菅直人に、それを期待する方が間違っている。早く辞めさせるべきなのだ。
http://www.olivenews.net/news_30/newsdisp.php?n=111910
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