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2011/7/31(日) 午後 2:50
米国では、オバマ政権が連邦政府の債務上限を8月2日までに引き上げることで議会の同意を得られなければ、国が債務支払不能(デフォルト)に陥るという危機に追い込まれており、日本では菅直人首相の退陣の期限(今国会会期末の8月末と目されている)の8月入りを迎えるのに、菅氏自身は逆に首相続投の意欲をのぞかせているかのようで、政局は手詰まり状態に陥っている。
米国がデフォルトを回避できるかどうかはオバマ大統領と議会(とくに野党共和党が優勢の下院)のぎりぎりの駆け引きを見守る以外にないが、日本の場合には、私見では、民主党が工夫をこらせば菅退陣を実現することが可能である。民主党には政権党として政治の混迷を打開する責任があるのだから、以下で示す方法を含めあらゆる工夫と努力を払う必要がある。
その方法とは、民主党の両院議員総会の決議で菅首相兼党代表の辞任を求め、首相がそれを聞き入れればそれで決着するし、聞き入れない場合には、党倫理委員会などの議を経て菅氏を党から除籍(除名)し、その上で民主党が衆議院に菅内閣不信任案を提出、可決するというものだ。
憲法上は、内閣総理大臣は衆議院で不信任されない限り辞職する必要はないので、菅首相を否応なく辞任に追い込むには、結局は内閣不信任案を通す以外にはない。その場合の問題点は、ひとつは、不信任案はすでに一度去る6月2日に提出され否決されているので、同一会期中での一事不再議の慣行を国会が破れるかどうかであり、もう一つは、次の不信任案はどの党が提出するかである。
一事不再議の慣行については、現憲法にはその規程がない(大日本帝国憲法では成文化されていた)ので、それを守るのか、それにとらわれないかは国会自身の判断によるはずである(当「診断録」7月9日号参照)。この点につき、石破茂自民党政調会長が「事情が変わった場合はもう一度議案が上がるものだ」と指摘しており(上記「診断録」参照)、また小沢一郎民主党元代表も「不信任案は提出者と理由が違えば、一事不再議の原則に反するものではないということは憲法解釈上も多数論だ」と述べている(毎日、7月29日)。ただし、これは小沢氏がいうような憲法解釈の問題ではないが(現憲法にはそのような条項はないのだから)。
では、次に菅内閣不信任案を提出するのはどの党か。それは、小沢氏がいうように提出者が異なる(前回6月の場合とは)ことが望ましいだろう。そして、こんどは民主党が自ら(選んだ)菅内閣を退陣に追い込むことが目的だから、一応この不信任案は民主党が提出するのが妥当だと考えられる。もし、自民党などの野党が再び不信任案を提出した場合には、それが可決されれば次の首相は自民党から出る公算が大きくなるから、民主党員の多くはこの不信任案には賛成しないだろうから、同案は否決されるだろう。
だが、政権与党が自党からの首相に対して議会で不信任案を提出するというやり方は筋違いのそしりを免れない。なぜなら、与党が自党出身の首相を辞任させたいのであれば、与党内でそのことを実現すべきだからだ。ところが民主党規約には党代表を任期中に解任する規程がない。そこで残る手段としては、菅氏を党から除名すること、その上で民主党員ではなくなった菅総理の内閣に対し不信任案を提出する方法が考えられるのだ。
ところで、どのようにすれば菅首相を民主党から除籍できるか。民主党の規約(同党のホームページによる)を研究すると、次のような手続きで事を進めることが出来ると思われる。
まず両院議員総会を開催する。この開催は次の方法により行われる。
@代表あるいは常任幹事会の議決による要請により、両院議員総会長が招集す る(規約第7条5項)
A当所属国会議員の3分の1以上の要請があった場合(同6項)
この二つのうち、@の代表の要請による両院議員総会の招集は、この場合は菅首相に辞職を求める目的の総会であるから困難であろう。そこで、常任幹事会の議決による招集が考えられる。
その常任幹事会は、「幹事長が主宰し、その要請にもとづき、常任幹事会議長が運営する」(第8条7項)。いまの幹事長は岡田克也氏で、自身も菅首相の早期退陣を求めているから、同幹事長が決意して常任幹事会の開催を要請さえすれば開かれる。なお、常任幹事会議長は鉢呂吉雄副代表(旧民社党系)で、この会議の開催に異論はないであろう。
また、Aの国会議員の署名による両院議員総会の開催要請も実現には何の支障もないであろう。
要するに、両院議員総会を開催することは比較的簡単なはずだ。
次に両院議員総会の権限であるが、それは「党大会に次ぐ議決機関」であり、「とくに緊急を要する事項については、両院議員総会の議決をもって党大会の議決に代えることができる」(第7条1項)。その党大会が審議・決定する事項は、「年間活動計画、予算・決算、規約の改正およびその他の重要事項」(第6条2項)であるから、緊急に開催された両院議員総会は、党大会と同様に「その他の重要事項」を審議・決定できるわけである。
そこで、この両院議員総会では、「重要事項」として、「民主党両院議員総会は菅直人氏が党代表並びに内閣総理大臣の職を8月15日までに(この期限は例示)辞することを求める」との主旨の決議を行えばよいのである。
この決議には法的な拘束力はないが、民主党党員としての菅氏の行動を拘束する効力はある。
以上の党決議を受け、菅氏が代表と総理の職を辞任すれば決議の目的は達成されるが、菅氏がこの決議による党の要求に服さない場合には、同氏は党による処分の対象になる。
党員の処分については、党規約第33条1項は、まず「党員は政治倫理に反する行為、党の名誉を傷つける行為、本規約および党の諸規定に違反する行為を行ってはならない」とした上で、同条2項で「党員が前項に違反した場合」の措置について次のように定めている。すなわち、違反したのが「国会議員または国政選挙の候補者である党員の場合は役員会の発議にもとづき常任幹事会が…当該党員の行為について速やかに調査を行った結果にもとづいて、倫理規則にしたがい必要な執行上の措置を決定する」と。
また同3項では「当該党員の行為が、党の基本理念、規約に反し本党の運営に著しい悪影響をおよぼす場合、国会議員または国政選挙の候補者である党員の場合は役員会の発議にもとづき常任幹事会が…倫理委員会に諮った上で、除籍等の党員の身分にかかる処分を決定することができる」と。
ここで言及されている「倫理規則」は、「倫理の遵守」についての党規約第33、34条にもとづき定められているより具体的な規則である。
この倫理規則第2条では「…党員は、次の各号に該当する行為…を行ってはならない」として、その1号で「汚職、選挙違反ならびに政治資金規正法令違反、刑事事犯等…」を、2号で「大会、両院議員総会等の重要決定に違背する等、党議に背く行為」をあげている。
したがって、上述のような経過で菅首相兼党代表が両院議員総会でその職位からの退任を求められて、これにしたがわなかった場合には、倫理規則第2条2号が定める「党議に背く行為」に該当することになるので、この倫理規則及び党規約第33条(主に3項)により、「除籍等の党員の身分にかかる処分を決定することができる」(規約第33条)。
この処分は手続きとしてはどのように進められるか。党規約第33条は「役員会の発議にもとづき常任幹事会が…倫理委員会に諮った上で、…決定することができる」と定めている。
では、役員会はどのように招集し、必要な決定を行うのか。役員会について定めた規約第9条は、その3項で「役員会は、代表が主宰し、その要請にもとづき、幹事長が運営する」と定めている。ところで、「主宰」とは「人々の上に立ち、また中心となって物ごとを取りはからうこと」(広辞苑)であり、厳密には必ずしも会議を招集することを意味するとは言えない。しかし、この9条であげられているのは代表と幹事長だけだから、結局、役員会の招集者は代表あるいは代表の要請を受けた幹事長と考えるほかはない。
ところが、ここで問題になっているのは代表が処分の対象となる役員会であるから、その代表が招集者となるのは不適切であり、結局、幹事長が招集するのが妥当であろう。
党規約の幹事長に関する条項にも、「幹事長は、必要に応じ役職者等の連絡、調整のための会議を招集することができる」(第13条5項)とあるから、とりあえず幹事長が役員を招集し、その上で出席者の同意を得て、その会議を正式の役員会とすればよいのではないか。そして、その役員会で代表の処分について発議し、それにもとづいて「常任幹事会が…倫理委員会に諮った上で、…決定」(規約第33条、上述)すればよい。
その常任幹事会は、上述したように「幹事長が主宰し、その要請にもとづき、常任幹事会議長が運営する」。ここでも「主宰」となっているが、役員会の場合と同様に、幹事長が招集者だと理解するのが妥当だ。
常任幹事会が役員会の発議を承認すれば、次はその処分案を倫理委員会に諮問するのであるが、同委員会の招集者については別段の規程がないから、常識的に考えて倫理委員長であろう。現倫理委員長はいまは菅首相の即時退陣を求めている渡部恒三最高顧問(元衆院副議長)であるから、倫理委員会がこの処分案を審議、決定することには何の支障もないと考えられる。
こうして、倫理委員会が承認すれば、常任幹事会がこの処分案を最終決定することとなる。
以上、要するに、両院議員総会が菅首相・党代表の退陣を求め、菅氏がそれを受け入れなかった場合には、上記の手続きを経て同氏を党から除籍(除名)することができるのだ。その上で民主党が衆院で菅内閣の不信任案を提出・可決すればいいのである。それが可決された場合、菅氏はすでに党派上は無所属あるいは菅新党(菅氏が結成すれば)の所属で、いずれにせよ国会内少数派となっているから、衆議院を解散して総選挙に訴える力を持たず、したがって菅内閣は総辞職せざるを得ないであろう。
こうした方策を実行する場合の問題は、なによりも、岡田幹事長や仙谷代表代行等の民主党執行部に、あくまで菅首相の退陣を実現しようとする決意(本気度)と行動力(手続きを積み重ねていく努力と力量)があるかどうかであろう。
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