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「小沢事件」のお粗末な論告求刑と反省の意味を込めた左遷人事の落差
(会員制経済情報誌『現代産業情報』8月1日号より転載)
推論だらけの、お粗末というしかない「論告求刑」だった。
小沢一郎民主党元代表の政治団体「陸山会」で、政治資金規正法違反罪を犯し
たという大久保隆規、石川知裕、池田光智の3被告の論告求刑は、憶測の羅列
のうえに推論を重ねていった“代物”だった。
「〜と推認するしかない」
「〜とみなすのが自然」
「〜と考えるしかない」
確信するに足る材料がないから、こんな表現になるのだが、想像で求刑された
のでは、たまったものではない。
そもそも、04年の政治資金収支報告書に記載すべき内容を05年に記載した、
という期ズレが問われた事件だった。
ところが検察は、「期ズレ」という起訴事実の裏に、「裏ガネを隠す」という
3被告の思惑があったことを証明しようとした。
それは裁判所が、「裏ガネ立証」を求めたからで、検察は証人に「1億円の裏
ガネ」を渡したという水谷建設の川村尚元社長を始め、授受の現場の同席者、
裏ガネの運び人などを次々に呼んで、立証に心血を注いだ。
登石郁郎裁判長は、自ら積極的に証人尋問を行ない、大阪地検事件の証拠捏造
犯である前田恒彦元検事が作成した調書を、「信用が置けない」と、検察が証
拠申請しなかった「前田作成・大久保調書」を職権で採用するなど、「裏ガネ
立証のうえでの有罪判決」に方向を定めているかのような訴訟指揮だった。
司法記者クラブの裁判担当ならずとも傍聴人は、登石裁判長が検察の側に立ち、
「有罪率99.9%」の“刑事司法神話”を守るのではないかと思った。
ところが登石裁判長は違った。検察が、3被告を脅しながら取った供述調書の
肝心な部分を、ほとんどすべて採用しなかった。
その理由を裁判所は、検察側と弁護側の双方に渡した「決定書」のなかで、
「検察が、3被告に強引に心理的圧迫を加え、利益誘導を繰り返したからだ」
と説明した。
そんな調書は認められない──。
検察は焦る。当然だろう。
日本の刑事裁判は調書至上主義である。裁判所は調書をもとに「白黒」をつけ、
検察はその結論に迷いが生ずることがないように、自供を引き出し、「自供調
書」を取っておく。その裁判の前提が、裁判所の“離反”によって崩れてしま
った。
絶対の証拠である「供述調書」を裁判所によって否定されてしまった。これは
裁判にとって、決定的な失策である。味方でであるはずの裁判所が敵に回った。
これもまた、裁判員裁判制度の導入、検察審査会の起訴議決制度など、一連の
司法制度改革の“成果”と考えてよかろう。
裁判所が、有罪を前提に、量刑と執行猶予だけを決める場所なら、公判を長い
月日をかけて行なう意味がない。
検察改革の一環で「全面可視化」が導入され。「否認のままで起訴」が多くな
れば、当然、裁判所は自分の頭で判断を下すわけで、今回の訴訟指揮は、時代
の先取りでもある。
その変化を前に、検察も変わるべきだったのに、起訴したら有罪に持ち込まず
にいられない検事の“習性”は変わらない。それが、推論だらけの正視に耐え
ない「論告求刑」となった。
水谷建設から裏ガネをもらったに違いないから、政治資金収支報告書に虚偽記
載、それを3被告で協議したと推認出来る──。
こんなお粗末な論告で、大久保被告を禁固年6月、石川被告を禁固2年、池田
被告を禁固1年と求刑した。
彼らを刑務所にぶち込んでいいという神経は、どこからくるのだろうか。検察
こそ人権蹂躙、権力乱用罪で裁かれてもおかしくない。
一方で、検察もまた、変わらねばならないという自覚があることは、指摘すべ
きだろう。
8月の人事異動を前に、「小沢事件」の事実上の指揮を取った大鶴基成最高検
公判部長が退官、弁護士になることが決まった。
また、当時、特捜部長として現場指揮にあたった佐久間達哉大津地検検事正が、
8月1日付けで国連極東アジア犯罪防止研修所の所長となった。明らかな左遷
である。
「小沢捜査」に最初から反対だったという笠間治雄検事総長は、現場責任者の
2人に責任を取らせた。
開き直りの「論告求刑」と、自省の意味を込めた「左遷人事」──。一貫はし
ていないが、それもまた変化の兆しと見るべきなのだ。
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