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“菅降ろし”Xデーは8・27!民主「4人組」が隠密結束
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110801/plt1108011549003-n1.htm
2011.08.01 夕刊フジ
菅直人首相を引きずり降ろす、民主党内の具体的スケジュールが漏れてきた。仙谷由人代表代行(官房副長官)ら「4人組」は、8月中旬に菅首相を代表から解任し、8月27日に代表選を断行する構えという。政権延命のため、被災地や日本経済を犠牲にしてきた暴走首相に、ついに引導を渡せるのか。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が核心に迫った。
「毎週木曜日の午前11時に、あの『4人組』がこっそり顔を合わせているんです」
こう話すのは、官邸スタッフの1人。
4人組とは、「菅降ろし」を画策する主要メンバー、仙谷氏をはじめ、枝野幸男官房長官、岡田克也幹事長、安住淳国対委員長である。
民主党では、毎週木曜日の午前中からお昼にかけて、鳩山、小沢、野田、前原の各グループの定例会合が集中している。マスコミ各社の民主党担当記者は人数が限られており、やりくりしながら取材に当たる忙しい時間帯である。
それは、見方を変えれば、マスコミの目が分散して手薄になること。隙を突くことができるため、ノーマークで事が運べるわけだ。
官邸スタッフは「公務や党務もあって、常に全員でないときもあるが、基本的に『毎週木曜日には集まろう』ということです。『菅降ろし』のシナリオや国会日程など、いわば水面下の作戦会議を進めているんです」と明かす。
その、4人組会合で先々週あたりから詰めているのが、最後の「菅降ろし」のシナリオだ。
仙谷氏に近い議員が言う。
「いよいよ、8月27日に民主党の新しい代表を選ぶ代表選挙をやる。そこへ向けて、いろいろと動くということが確認されたようだ」
8月27日代表選という日程。菅首相が辞めるそぶりをまったく見せない中で、どんな流れを作るというのか。
先月28日の夜、東京・赤坂の中華料理店に、民主党中間派の1年生議員約10人が集まった。メンバーには官僚出身者なども多く、政策論議を高めようという目的で会費制で食事をしながら勉強会を定期的に開いているのだった。
ところが、この夜の話はいつもと違った。菅首相が居座る民主党に対して、選挙区での突き上げが、もはや我慢の限界にきていることが話題になったのだ。
「街頭で演説をしていたら、まったく足を止めてくれない。たまに聞いてくれていると思ったら、『民主党死ね!』とヤジが飛んできた」
「そんなのいいほうだ。私なんか、うしろから突然、グーで腰のところを殴られた」
「支援者からは『菅さんを辞めさせなきゃ、あんたも同罪。次は入れない』と」
彼らの選挙区は地方という者が多い。このお盆には、選挙区などに帰って地域を回る予定なのだが…。
「盆踊りを1日20カ所ぐらい回るつもりだが、今からそれを考えると本当に怖い。輪に入って踊っていたら、石を投げつけられるんじゃないかとか、完全にそんな空気になっている」
彼らにとっては、早く、「菅降ろし」の具体的シナリオを世に公表しなければ、選挙区すら回れないところまできていた。
このような中堅若手の声は、当然、4人組にも届いている。とにかく、早く菅首相を引きずり下ろす方法を具体的に詰める必要性に迫られていたのだ。
仙谷氏に近い議員が、4人組が描いたシナリオを話す。
「8月6日と9日の広島、長崎での首相演説は世界に向けたものだから、その前に、菅降ろしに公然と動き出すのはさすがに世界の恥さらしになる。そこで、それが終わった10日以降から本格始動だ。まず、岡田さんが中心になって両院議員総会を開き、そこで、菅首相を代表から引きずり下ろす。ただ、民主党には代表解任の規約がないため、総会で規定を作って、即解任の手続きに入って通す。小鳩グループだけでなく、菅グループ以外はみんな賛成するから通る。この時点で、代表選挙の日程を決められる」
では、なぜ27日なのか。
「初めは、野党にどんな妥協をしてもいいから、お盆前に3法案を通し、代表選は20日という案が話し合われていた。ところが、公債特例法案は自民党の抵抗で簡単には上がりそうにない。そこで27日になった。第3次補正予算を考えても、来年度の予算概算要求を考えても、今月中に決着をつけなければギリギリだからだ」
しかし、党代表は辞めさせても、首相の地位は国会が決めたことであり、本人が辞めないといえば、まさに総代(総理・党代表)分離の状態になってしまう。
そこで、不信任案が絡んでくる。
「次は内閣不信任案だ。今国会内で、もう一度、野党が出してくるならそれに乗る。もし、一回閉じて、9月早々の臨時国会冒頭で出されれば、もちろん賛成する。それまで、しばらく総代分離だが、こうした一連の動きが現実に出てくれば、さすがに菅首相も自ら身を引く覚悟を決めるだろう」
これに加えて、4人組の会合では「お盆明けに主要閣僚が辞表を出す。3人から4人まとまって出すことになる」といったシナリオも確認されているということで、菅首相へのあらゆるプレッシャーが話し合われている。
菅首相の天敵、小沢グループや鳩山グループにとっても、「菅降ろし」の動きが大詰めを迎えつつある。こちらは、内閣不信任案をもっと強硬に考えている。
小沢氏は、先週3日間に分けて、同グループの議員と会食した。今週も3日間に分けて同じような少人数の会合を行う予定だ。その席で、小沢氏は1人ひとりにこう説いている。
「お盆前後までには、いろいろな動きが出るかもしれない。しかし、お盆が明けても事態が動かなければ、いよいよ、議員1人ひとりが考えて行動しなきゃならない。覚悟をもう一度、しっかり持とう」
行動とは、何を意味するのか。同グループの若手議員は言う。
「小沢さんは『菅は辞めない可能性が高い』と言った後、『内閣不信任案は、提案者と理由が違えば(同一会期中に)二度出せる』と言っていた。覚悟とか行動というのは、内閣不信任案をわれわれ与党から出そうという意味だ。いまコアな小沢グループは70人。ここは覚悟を決めている」
このように、仙谷氏ら4人組も、小沢グループも、ともにお盆前後を境に動き出すことになりそうなのだが、双方には多少の温度差がある。
民主党ベテラン議員は「仙谷さんたちは、『菅降ろし』の後、300議席のまとまりをなんとか維持しながら『大連立』や『世代交代』という次の展開にもって行きたい。だから、菅さんが不信任可決後に解散することには警戒感を持っている。一方の小沢さんは、民主党を政権交代時の民主党に純化したい。菅首相が解散するならそれも良し。それを機に、政策的な旗を立てて新党を作るハラを固めている」と解説し、こう続ける。
「菅首相が素直に退陣や総辞職すれば、その後の代表選を舞台に、4人組と小沢グループの対立が再び起きる可能性はあるが、とにもかくにも、まず、菅さんを退陣させなければ、国民の支持率は1ケタになり、そもそもの民主党が崩壊する。だから、菅降ろしまでは、謀らずも共同歩調という構図ではある」
このところ、永田町は妙なバランスのもとで、まるで凪のような空気が漂っている。
菅首相はなかなか辞めない。これを、与党内では「降ろそうとしているのに、降りない方が異常だ」と言い訳できる。野党も、攻めていればそれで体面を保つことができる。要は、すべてを「菅首相のせい」にしていれば、混とんとした政局に迷い込むことなく、議員のわが身は安泰なのだ。政治がこうだから、官僚もその隙に入り込み、相対的に力を再び持ち始めている。
私はこうした空気を危惧する。被災地や国民は、どれだけ「場当たり首相」のおかげで放置され続けるのか。「菅降ろし」ののろしに本気度を求めたい。
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