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原発がほぼ停止する来年夏が正念場だな
そのときには首相は変わっている可能性は高いが
彼のことだから予断は許さないか
http://jp.wsj.com/Opinions/Opinion/node_281717
日本の脱原発−避けられない国民的議論
マイケル・オースリン
2011年 7月 29日 18:46 JST
3月11日の地震、津波、原発事故への対応のまずさにより、自らの政治生命の終わりに直面している菅直人首相は、輝かしい栄光の中での退陣を決意した。首相は先月、日本は原発依存を終わらせるべき、との方針を示したである。
菅直人首相
菅政権はまた、石炭利用の抑制などにより、1990年比25%の温室効果ガス削減を盛り込んだ鳩山由紀夫・前首相の提案に基づく計画についても変更がないことを確認した。こうした首相の計画は、エネルギー生産の新たなグローバル時代の幕開けとなるか、日本経済を壊滅へと導くか、どちらかだろう。
首相の大胆な計画には、多くの国民の支持が集まっている。最近の世論調査では、回答者の70%が「脱原発」を支持している。原発事故をめぐっては、汚染された稲わらを飼料として与えられた牛3000頭の肉から基準を上回る放射性セシウムが検出されたことが明らかになり、ここ数週間、原発に対する社会的な不満は強まるばかりだ。
現在、何千もの世帯が避難生活を続ける一方で、福島第1原子力発電所からの放射性物質の拡散を封じ込める努力が行われている。福島第1のような古い原発には、安全性の向上が不可欠だ。原発に対する国民の不信感が常にくすぶるような国では、今回のような事件から原子力産業が立ち直れない可能性もある。
しかし、経済的現実が、菅首相の大胆な計画を狂わせる可能性がある。日本の全エネルギー消費に占める原子力の割合は11%、発電に占める割合は30%近くに達する。福島の事故が起こるまで、日本は原発による発電比率を総電力需要の50%に引き上げる計画だった。原発54基すべてが停止した場合、日本は、原発による年間発電量2650億キロワット時(Kwh)の代替手段を見つける必要がある。
世界に日本ほど、大胆なエネルギー政策を検討している国はない。ドイツは、2022年までに原発17基を停止するメルケル首相の公約に最も近付いている。しかし、その発電量は、ドイツ全体の20%に相当する1330億Kwhに過ぎない。
つまり、原発停止の影響はもちろん、停止するための最善の方法について、菅首相が頼りにすべき歴史的先例は、世界のどこにも見当たらないのだ。まずは、最初に対処すべき2、3の基本問題について考慮せねばなるまい。消費者と産業の電力需要をどうバランスさせるか、代替エネルギーはどういった形での段階的導入が可能か、エネルギーを送る新たなインフラをどう構築するか、といった問題だ。
「実在する」計画に限っていえば、菅首相の計画は、「スマートグリッド」システムで統合された代替エネルギー源への移行だ。こうしたエネルギー源の多くは発電量が比較的少ないものの、需要量に応じて効率的に配分される。太陽光、水力、地熱など、再生可能エネルギーすべてが原発に代わる選択肢となる。
この計画の推進論者に言わせると、日本はすでに世界で最もエネルギー効率の高い国だ。日本は、1970年代から石油依存度を約半分に減らし、80%だったエネルギー消費に占める石油の割合を今日、50%未満へと引き下げた。
しかし、発電量が世界3位の日本にとって、主要なエネルギー源を短期間で大量に放棄することは、その計画と実行が不適切であれば、経済を破壊しかねない。開発が積極的に推し進められたとしても、代替エネルギーが不足分を補えるかどうかはわからない。08年の水力発電は発電容量全体の8%にとどまった。風力と太陽光はわずか2%で、発電量はたったの4ギガワットだった。
菅首相の行動は、福島原発事故に対する国民の怒りを受けたものだろう。しかし、原発が停止された時、相当量の代替供給を見つけられないとしたら、首相、もしくは次期首相はどう対応するのか。さらに多くの計画をもってしても、日本の蒸し暑い夏を乗り越える家庭の電力需要は満たされないだろう。
その代替シナリオとは、日本が、世界のエネルギー市場で石油・天然ガスの調達を増やすことだ。それは、世界のエネルギー価格を押し上げるだけでなく、輸入原油への依存度を減らしてきた日本の長期的傾向を覆すことになる。企業とエネルギー会社は、エネルギー効率向上の目標にはおかまいなしに、どこであろうと供給確保に素早く動くと思われる。
この結果、日本の消費者にとってエネルギーはさらに高いものとなるだろう。政府はすでに、電力会社による代替エネルギー買い入れ費用を負担するため、消費者負担につながる補助金の上乗せについて検討している。こうしたことで消費財価格は上昇し、予想される原油価格の上昇とともに、一層の内需が必要という時に個人消費を圧迫する。と同時に、それは、急激な円高がすでに輸出企業の痛手となっているなかでの、海外での日本製品の価格上昇を意味する。
温室効果ガスの25%削減に原発停止とくれば、どんなに準備万端のプランナーもお手上げだろう。しかし、この2つの発表は、2人の異なる首相によって、明らかに事前準備も通告もなく、即興で行われたようだ。
それだけでも、日本政府に対する内外の信頼を揺るがすには十分だ。実際、今週の報道は、日本のエネルギー政策が経済活動と世界のエネルギー市場に及ぼす影響について、より具体的な説明を米国が日本に求めたことを示していた。
エネルギーは、今後10年、日本経済を論じるうえで焦点となる可能性が高い。政治的迎合でも空想の飛躍でもなく、真剣な国民的議論が必要だ。日本の将来は、いかにこの議論を最後まで貫くかにかかっていると言っても過言ではない。
(マイケル・オースリン氏はアメリカン・エンタープライズ研究所の日本部長でウォール・ストリート・ジャーナル電子版のコラムニスト)
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